第23話 レンゼ山の温泉街へ
この作品はカクヨムに投稿した物です。
フローラたちは麓の町を暗いうちから出発し、レンゼ山を登りレンゼ山の温泉街を目指します。
翌朝、まだ暗い内に起床し、レンゼ山の温泉街を目指します。
「まだ暗いよ……」
「仕方がありません、フローラ様の足を考えたこの時間に出発しないといけません」
「今から登っても……昼に前にはつくよ……」
「念のためです」
トリシャ様は眠い目をこすり、まだ日の出前に出発する事に対して文句を言っていますが
アルニルが言っているように、わたしの足と体力を鑑みてこの時間に出発となりました。
「これはお食事ですので、道中にある休憩場所でお食べ下さい」
「ありがとうございます」
「整備された道でございますが、まだ暗いのでお気をつけて」
「はい、気を付けます」
「荷物は持ちましたので、出発しましょう」
「そうですね。では、行ってまいります」
「行ってらっしゃいませ」
宿の主人に見送られ、温泉街に向けてレンゼ山を登ります。
温泉街までは子供の足でもこの時間に出発すればトリシャ様のおっしゃる通り昼前に到着します。
ただ、わたしは普段は馬車移動で歩く事が少ないので余裕を取ってこの時間に出発しました。
山道は整備されて馬車も通れない事もありませんが、途中に馬車が通れない
狭い場所があるため徒歩でしか登る事が出来ません。
荷物はアランとアルニルが持ちますので、わたしは身軽であります。
最初は比較的緩い登坂で、気温も低いぐらいなので汗ばむ事はありませんが
日が昇り、明るくなると気温も上がり始めて汗ばむようになってきました。
そして、行程の2割程の所までくるとわたしも息が上がってきました。
「つ、疲れてきました……」
「道しるべだと、100の内の20なのでまだまだですね」
「姫様、丁度休憩できる場所だから、貰った食事を食べよう」
「水場もありますからますね」
この場所は休憩場は整備されており、綺麗な湧水も湧いているので水場になっています。
わたしたちは休憩をし、宿の主人から貰った食事を食べますが
「食べるのは半分にして、残しておくんだよ」
とトリシャ様がおっしゃりました。
「どうしてですか?」
「体力を消耗すると、途中で空腹で身体が動かなくなるんだ。
だから、半分残しておいて途中でまた食べるんだよ」
「そうなのですね」
「食事だけでなく、果物も下さりましたが、甘いものは体力の消耗防止と疲れに良いです」
宿の主は果物も下さりましたが、甘い物は疲れに良いのですね。
「この水はかなり冷たいですね。このままの飲むとお腹を壊しそうですね」
「姫様、水筒に入れてしばらく温めてから飲んだ方がいいね」
「そうですね」
水筒に湧水を汲んで、しばらく歩いてから飲む事にします。
水は宿から持ってきた分がありますが、予備も会った方が良いです、
「これから行程の案内もあります」
アルニルが案内板を見つけて読んでいますが、水場はここの他に2か所ありますが
飲める水が汲めるのは、あと1ヶ所だそうです。
そして、休憩場所は3か所あり1か所は温泉があるそうです。
「温泉もあるんだ」
「ただ、足だけを入れる温泉みたいだよ」
「足だけか……」
「トリシャ、温泉街に着けば好きなだけは入れるんだからいいじゃないの」
「そうだけど……」
足だけしか浸けれない温泉と聞いて、トリシャ様はがっかりしますが
温泉ならとにかくは入りたいの訳ではない様です。
「では、出発しましょう」
「そうですね」
アランの掛け声で出発をします。
登山道には道しるべがあり、全部で数字が描いてあり全部で100ありますが
20の休憩場からある程度経ちましたが、まだまだ35です。
「まだ35ですね」
「日時計だと、一時経ってるね」
「す、すません……に、20までは半時でしたのに……」
「姫様、坂道も急になってるから仕方がなよ」
「案内板では一時では40なので、ちょっと遅いけですが、時間はりますので」
「そ、そうですね」
「それに、ここは水場があるから、顔を洗おうよ」
「トリシャ、この水はて飲むどころか触れるのも良くない様ですよ」
「そうなんだ」
35の道しるべがある場所にも水場がありますが、ここの水は飲んだり触ったり
しないように立札に書いてありますが、酸が強いためと書いてあります。
ただ、トリシャ様は試しに舐めてみますが、舐めると同時に顔を歪ませました。
「う、すごく酸っぱい……」
「そうなのですか?」
「うん、そしてなんかピリピリする……」
「わたしも試してみます」
アルニルも水に触れますが
「なんか、手にしみてピリピリします」
といいます。
「なんでしょう、レモンなどに酸っぱい物に触れた感じですね」
「ああ、そうかも」
「つまり、水に酸っぱくなるものが混じっているのですか?」
「説明書きにもありますが、この水は酸があるので飲めないそうです。
そして、人によっては肌が荒れるので触れないでくださいと書いてありました」
説明書きには酸が混じっているので飲めないそうです。
「理由はわからないけど、この水はダメみたいだね」
「そのようですね」
「先程の場所で汲んでおいて良かったですね」
「そうですね」
20の場所の休憩場で水を汲んでおいて良かったです。
しばらく、この場所で休憩して出発します。
45の道しるべを過ぎると、坂はさらに急になりさらに歩は遅くなります。
ここもで平気な顔をしていたアランも息が上がって来ており、きつくなっています。
「流石にここまで来ましたら、自分もきついですね」
「む、昔の王族は……ここを輿で……登ったそうです……」
「190年前はここに離宮があったよ」
「そ、その離宮は……100年前に……廃止されました……」
「そうなんだ」
「か、管理と……い、行き来が……大変な……ためです……」
「フローラ様、話ますと余計に疲れますよ」
「わ、わかり……ました……」
ついつい説明してしまいましたが、話すと余計疲れるので出来るだけ静かに登ります。
しかし、高さが増した事と急な登坂を登っているため、わたしだけではなく
アルニルやトリシャ様も息が荒くなってきました。
「や、やっと……75まで来ました……」
「こ、ここが最後の休憩場所と……水場だよ……」
「さ、流石にきついですね……」
「……と、とにかく……休みます……」
75の道しるべの休憩場所までやって来ましたが、まだ残り25もあります。
ここまで45の休憩場所から一時半かかかりましたが、太陽は真上に昇り
すっかり昼になっています。
「太陽の高さからもうお昼だね」
「昼前に着くと言ってましたが、あともう少しですね」
「す、すみません……わたしが……足を引っ張ってしまって……」
「フローラ様、気にしないでください。わたしたちもきついですから」
「そうだよ。だから、姫様は気にしなくてもいいよ」
「あ、ありがとう……ございます……」
アルニルとトリシャ様は気を使ってくださっていますが
息は切れているものの、余裕があります。
そして、アランもわたしたちの荷物を運んでいますが、汗はかいていますが
それでも平気な顔をしています。
「騎士くん、意外と余裕だね」
トリシャ様がアランに話しかけますと
「余裕ではありませんよ、余裕な振りをしているのです」
と答えましたが、それでも荷物を運びながら山道を登って来たので
男性だけあって体力はありますね。
「だとしても、すごいよ。これだけの持つを持ってながらだし」
「これが騎士の役目ですから」
「騎士も荷物運びをするんだ」
「多分……します」
アランは自信なさげに答えますが、騎士は荷物運びをしませんからね。
本来ならばポーターを雇いますが、手配の関係もあり雇っていません。
なので、荷物はアランとアルニルが運んでいますが、最低限の物だけなので
2人で運べる量でではあります。
「まだまだ距離はありますが、ここから先は坂道は緩やかで平坦になるようですから、フローラ様がんばりましょう」
「わ、わかりました」
「その前に、残ってる食べ物を食べないとダメになるよ」
「あと、ここの水場と足だけをつける温泉がありますね。2か所目の水場はここの様です」
「温泉はちゃんと浸かってこそだよ」
こちらの水場の水は飲めるので、2か所目の水場はこちらでした。
そして、トリシャ様は足だけ浸かる温泉は認めないようですが、アランは試しに温泉に足を浸けます。
「足だけでも、十分気持ちが良いですよ」
「騎士くんはまだまだだね」
「でも、気持ちは良さそうですね」
「まさか、姫様も?」
「ええ、少しだけです」
「フローラ様、拭く物をお出しします。あと、お召し物が濡れないように
めくりますので、失礼いたします」
アルニルは拭く物を出し、スカートと下に履いているものをめくりますが
考えてみたら、アランの前でこの姿ははしたないですね。
「今気づきましたが、この姿ははしたないですね」
「フ、フローラ様、見てませんので気にしないでください」
「アラン、すみません」
「わたしが間に入りますので」
アルニルはアランとわたしの間に入りますが、身体の大きなアランからしたら目隠しになっておりません。
アランはわたしをちらっと見ると、顔を赤くして顔を横に向けました。
「やはり、フローラ様のそれですかね」
「アルニル、それ以上は言わない様に」
「わかりました」
何かは言いませんが、目立ちますから仕方がありませんが気にせず足を温泉につけます。
足だけでも温泉に浸かりますと、身体が暖まりそして疲れた足が楽になります。
トリシャ様は足だけ温泉に入るのは認めませんが、わたしやアルニル、アランは
足を浸けるだけでも満足できした。
そして、残った食べ物を食べ、温泉街まであと少しなので力を振り絞ります。
最後の休憩場所を過ぎてからは道が比較的平坦になりましたが
先程浸かった温泉によって、足も少し楽になりました。
「足が少し楽になりました」
「足だけでも温泉に浸かると違いますね」
「ええ、体も温まりましたし、楽になりましたね」
わたしたちは足を温泉につけて楽になった事を話していますと
トリシャ様は
「あたしも浸かればよかったかも……」
とつぶやきましたが、後悔しているようです。
「トリシャ、温泉街に着けば好きなだけ温泉に入れるよ」
「そうだね」
「現在、90の道しるべがありましたので、あと少しです」
気付けばもう90の道しるべを過ぎましたが、あと少しです。
周りに木々はありませんが、平坦な広い場所になり道も石畳になってきました。
そして、95の道擂るべを過ぎますと……温泉街の入口の門が見えてきました。
「門が見えたという事は、もう温泉街かな」
「この門は聖域を意味する門らしいでから温泉街の入口はまだです」
「95まで来ましたから、すぐですよね」
「さ、急ぎましょう」
門をくぐると、みな自然に足早になります。
疲れもありますが、その疲れも忘れています。
石畳を進むと最後の100の道しるべが見えると、温泉街の入口の門に到着しました。
「やっと着きました……」
「フローラ様、温泉街に着きましたが、宿に向かいますよ」
「そうでしたね」
門に着きましたが、宿泊する宿に向かわないろなりません。
門に到着したの喜びのせいか、急に力が抜けてしまいましたが
宿に向かう足取りが少し重いです。
「姫様、温泉に入るから急ごうよ」
トリシャ様は早く温泉に入りたいためか、足取りが軽いです。
なので、わたくしも急に重くなった足を動かし、宿に到着しました。
「宿に到着しましたね」
「そうですね、やっとです……」
予定では昼に前着く予定でしたが、午後といいますか夕方になってしまいました。
それに、疲れましたので、本日は温泉に入ってゆっくりしたいと思います。
「フローラ様、宿の主が部屋にご案内するそうです」
「わかりました」
宿の主に部屋に案内されますが、この宿は王族も使う宿なので
王族用の部屋があり、その部屋に案内されます。
そして、この部屋にわたし、アルニル、トリシャ様の3人で泊まります。
「騎士くんも一緒に泊まればいいのに」
トリシャ様がこう言いますが
「自分がこのような部屋には泊れません。それに、女性ばかりですし」
「わたしは前世は男だったけどね」
アルニルはそう言いますが
「それは前世のお話で、今は女性ではありませんか」
と呆れながら言います。
「そうだけど、男の気持ちはわ・か・る・よ」
アルニルはアランをからかうようにいいます。
「その言い方はなにか引っ掛かりますが、自分は別に用意された部屋に行きますので」
「もう、もう少し乗ってくれればいいのに」
「山を登って来て疲れいますし、何かあった時のために休んでおきますので」
アランはわたしたちの荷物を置くと、部屋を出ていきました。
「騎士くんの事はいいとして、姫様、温泉に行こうよ」
トリシャ様は一刻も早く温泉に入りたいようですが、わたくしもしばらく休みます。
「すみません、わたしはしばらく休みます」
「わたしも少し休むから、トリシャだけで入ってきたら」
「わかった、行ってくるよ」
トリシャ様は温泉の用意をすると温泉に向かいました。
わたしとアルニルはベッドで休んでいます。
「はしたないですが、疲れましたのでここまま横になります……」
「フローラ様、お疲れ様でした」
「アルニルもゆっくり休んでください……」
「わかりました」
わたくしはベッドに横になると、そのまま眠ってしまいました。
そして、目を覚ますと温泉から戻って来たトリシャ様と……見知らぬ
シスター姿の女性が一緒に居ましたが、この女性が最後の中もイザベラでした。
お読みいただきありがとうございます。
レンゼ山の温泉街に着きました。
温泉街はレンゼ山の中腹ぐらいにある温泉街で、建物が建てられる平地があります。
元々、温泉と水が湧いているのもあり、聖職者がレンゼ山の山行の拠点になったのがはじまりです。
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@shiizu17