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第22話 アルテイルの供物

この作品はカクヨムに投稿した物です。


アランがエモリーが置て行ったお酒を持って、フローラたちの部屋に来ました。

ただ、全員お酒を飲まないのでどうするか悩んだが、アルテイルの供物として捧げる事にしました。

アランのノックにアルニルがドアを開けるますと、アランはお酒を持っていました。


「アラン君、そのお酒はどうしたのですか?」


お酒は荷物の中に入っていませんし、途中で買っても居ませんからアルニルが聞きますと


「実は……エモリーが持って来たのです」


と答えますが、つまりエモリーが来たという事です。

アランはエモリーが窓からアランの部屋に侵入してきましたが

ひと悶着あった後に、エモリーがお酒を置いて行ったそうです。


「そのような事があったのですね」

「何が目的がわかりませんが、高級な酒を置いて行きました」

「うーん、正規に購入した高級レゼ酒だね」


トリシャ様は魔法で盗んだ物でない事を確かめました。

レゼ酒というのは、レンゼ山の麓の町で作られている高級なお酒です。

原材料は山葡萄でありますが、山葡萄自体は山には多くありますが

レンゼ山の山葡萄は寒冷な気候のために甘みが強いです。

その山葡萄でお酒を造り、さらに蒸留したのがレゼ酒です。


また、蒸留しなかったものはレゼワインと呼ばれています。

レゼワインも生産量が少ないため高級品ですが、レゼ酒はそのレゼワインを

蒸留し最低5年熟成させたものなので、さらに高いのです。

ただ、現在は山葡萄の栽培に成功したため、以前よりも安くはなりましたが

それでも、生産は量は少ないため現在も高級なお酒です。


「トリシャ様はそのような事できるのですね」


アランがトリシャ様に聞きます。


「だって、このスタンプを作ったのあたしだし」

「そうだったんですか!?」


アランはトリシャ様の言葉を聞いて驚いています。


「このスタンプは魔王を倒した後、しばらく王都にいたけど暇だったし

高級品の偽物対策を考えてくれって頼まれから作ったんだ」

「そうだったのですね」

「あたし独自の魔法とエルフの法式だから、人間が真似するのは無理だよ。

すくなくとも、あたしが生きてる間はね」


トリシャ様はどうだって言わんばかりに胸を張りますが、200年経っても

このスタンプの偽造は出来ていないので、トリシャ様が言う通りです。


「でも、このレゼ酒どうします?」

「そうだね、正規購入とはいえこんなアルコール度数だ高いお酒はあたしはのまいよ」

「わたしもお酒は飲みません」

「自分も飲みません」

「わたしもです」


結局、全員お酒を飲む事ができませんでした。


「それじゃ、どすうる?商人に高く売りつける?」

「トリシャ、フローラ様が出来る訳ないでしょ」

「それに、アランの物ですから」

「そうですが、自分も困ります」

「それならば……アルテイル様の供物にしましょう」


誰も飲めないのならば、アルテイル様の供物にすればよいのです。


「そんな事が出来るのですか?」

「実はアルテイル様とお話が出来る魔石があるのです。

また、この魔石を使って供物を捧げる事も出来ます」

「そうでしか」


この宿に到着しましたら、アルテイル様に到着した事をお話するつもりでしたので

丁度良かったです。

そして、アルテイル様に魔石の事を話していけないとも言われていませんから、大丈夫と思います。


わたしは部屋のテーブルに座り、魔石をだしてアルテイル様とお話します。


『やっほー、フローラ~お久~』

「お久しぶりです」


アルテイル様は相変わらず明るいですが、これを聞いてアランが


「こ、この方が本当に女神アルテイルなのですか!?」


と目が丸くなっています。


「そうだよ、これがアルテイル」

「初めは皆こうなるよね」


トリシャ様とアルニルはアンディ時代にアルテイル様に会っていますので驚きません。


『そうだよ~。アランくんは、はじめましてだね』

「は、はい、初めまして、女神アルテイル」

『も~堅いよ~』

「自分はこれが普通なので」

『わかったよ~。で、フローラ、何の用かな?』


わたしはアルテイル様にレンゼ山の麓の町に到着したので

レンゼ山の温泉街に行く前に今間の出事を報告しました。


『いろいろあったね~。でも、ここまで来たら大丈夫だよ』

「はい、無事ここまで来ました」

『レンゼ山は神の力が通りにくい場所だから、今夜のうちに話したんだね』

「はい、そうです」

『今までの事は見てたけど……」


アルテイル様は黙ります。

しばらくの沈黙が流れたあと


『わたしも温泉に入りたい~!!!』


と叫ぶとベッドの上で暴れる音も聞こえて来ました。


『もう、羨ましい!温泉なんて400年前に地上に降りて以来行ってない!』


さらにベッドの上で暴れる音がしますが、ドサっと音がしたと思いまいたら

「うっ」という声も聞こえ来ました。

音と声からベッドから落ちたのでしょう。


「アルテイル様、大丈夫ですか?」

『な、なんでもないよ。女神はベッドで駄々をこねてベッドから落ちるような事はしないかね!』


アルテイルからは誤魔化しているが、音と声からバレています。

ただ、ここはあえて


「そうですね」


と答えました。


「流石姫様だね」

「フローラ様もわかってるけど、あえて言わないんだよ」

「これが女神アルテイル……女神アルテイル……」


わたしの後ろではトリシャ様とアルニルがひそひそ話し、アランは

アルテイル様がこのような性格なので、ぶつぶつ言って現実逃避をしています。


「400年前に地上に降りたと言いましたが、女神降臨伝説は本当なんですか?」


王国には400年前にレンゼ山に女神アルテイルが降臨したという伝説があります。


『本当だよ。レンゼ山の温泉にちょっと行っただけだけどね』


アルテイル様は400年前にレンゼ山の温泉に来たそうですが、これが女神降臨の答えでした。


『レンゼ山の温泉は女神でも気持ちよかったよ~。

あと、ご飯もお酒も美味しかったけど、特にレゼ酒は美味しかったよ~』


アルテイル様はお酒が美味しかったとおっしゃりますが、ちょうど良かったです。


「お酒ならありますよ」

『え、本当!?』

「はい、レゼ酒を頂きましたが、わたしを含め飲める者がおりませんので

アルテイル様の供物にしたいと思いまず」

『え、本当!』


アルテイル様はお喜びになりますが、それと同時にベッドの上で跳ねる音も聞こえています。


『ねぇねぇ、早く、早くお供えして!』

「慌てないでください、今やりますから」


わたしはレゼ酒の瓶に魔石をかざすと瓶が光、酒瓶が消えました。


『わー、レゼ酒だよ!しかも、50年物の最高級のレゼ酒だよ!』


アルテイル様は呼び込むが、早速開封した音がしました。


『うーん、いい香りだね、バニラの香りがするよ。グラスを取ってくる~』


アルテイル様はグラスを取って来ますと、お酒を注ぐ音がします。


『んー、いい色だね。アルコール度数は高いけど、この香りがいいんだよ~』

「アルコールが高いですが、飲んで大丈夫ですか?」

『大丈夫、大丈夫、こっちから話す事ないし~』

「こちらも、全てご報告しました」

『そう、それじゃ今晩はここまでかな~。こんな高いレゼ酒を貰えてうれしいよ~』

「味わってくださいね」

『それじゃ、おやすみ~』

「おやすみなさい」


アルテイル様との話が終わりましたが、トリシャ様がアランを正気に戻しいます。


「騎士くん、話は終わったよ」

「……はっ、自分は一体……」

「アルテイルがあんなだったから、意識が飛んでたみたいだね」

「ここまでショックが受けるとは思わなかったけどね」


アルニルもアランがアルテイル様の本当の姿を知って、ここまで驚くとは思っていませんでした。


「話は終わりましたよ」

「あれは現実でしたか……」

「アラン君が貰ったお酒ははアルテイル様に捧げましたよ」

「そ、そうですか」

「50年物のレゼ酒だったそうだけど、そう買えないよね」

「ご、50年物のレゼ酒ですか!?」


50年物のレゼ酒と知って、驚きますがアランは


「50年物のは1本1000ゼーニどころか1万……いえ、場合によっては10万ゼーニはしますよ」

「そんなに高いんだ」

「10万って、4人家族がゆったり暮らせる2階建ての家を買えるお金だよね」

「ええ、王都でも立派な家が買えます。盗んだ物ではないと言ってましたが……」


アランはエモリーが盗んだ物と考えているようです。


「でも、盗んだらあの印は押せないよ」

「正規に買ったものを盗んだのでしょう」

「そうでもないよ。だって、エモリーがちゃんと買った証拠があるから」

「そうなのですか?」

「あの印は買った者を名を刻む事が出来るからね」

「名前は後から刻めませんか?」

「無理だよ。あたし独自とエルフの術式だから、人間は真似できないって言ったよね」

「た、確かに言いましたが……」

「盗賊だから、奪ったお金で買ったんだよ」

「そうかもしれませんね……」


アランはトリシャ様の言葉を聞いて、どちらにしてもまっとうな方法で買ってない事に気付きました。


「でも、女神アルテイルは供物として受け取ったから問題ないよ」

「そういえば……酒がありませんね」

「アルテイル様が供物としてお受け取りしましたからね」

「話せるだけじゃなく、そのような事が出来るのですね」


アランは感心しますが、トリシャ様が


「姫様、ちょっとその魔石を貸してくれないかな」


と聞いてきましたのたが、トリシャ様なら大丈夫なのでお貸しました。


「アルテイルちょっといいかな?」


トリシャ様が魔石に声を掛けますと


『にゃにかにゃ~』


と酔ったアルテイル様の声がしましたが、わたしでなくても使える様ですね。


「さっきおのお酒だけど、盗賊が奪い取ったお金で買った物みたいなんだ」

『え~ちぐぁうにょ~えみょにーが自分のおにゃねでかったんにゃお~』


酔って呂律が周っていませんが、どうやらエモリーが自身のお金で買った物だそうです。


「女神アルテイル、本当ですか?」

『くぁみしゃまは~うしょつかにゃいにょ~』


神様は嘘をつかないと言っていますが、以前色々誤魔化してると言ってましたよね……。


「た、確かにそうですね」

『そりぇに~ぬしゅんだもにょとかにゃと~こっちにこにゃいにょ~』


盗んだ物などでしたら、アルテイル様の元にはいかないようです。

なので、アルテイル様が手にしたという事は、エモリーが自身のお金で買ったという事です。


「つまり、エモリーがちゃんと買った物だと」

『そうにゃにょ~わかったにゃかにゃ~あたしは~こりぇでねるにょ~



アルテイル様はお休みなると言って、お話が終わりました。


「らしいよ。あ、姫様ありがと」


トリシャ様から魔石を受け取りしまいます。

そして、アランもアルテイル様の話を聞いてため息をついています。


「騎士くん、そういうことだから食事をして、温泉に入って眠ろうよ」

「そうですね。空腹ですからね」

「姫様、ここの名物は川魚料理がおすすめらだよ」


トリシャ様は何時手に入れたかわかりませんが、名物案内を取り出しました。


「川魚料理もよいですね。お店には食べには行けませんんので、注文してもらいましょう」

「わかった、それじゃこれを5人分頼んでくる」


トリシャ様はわたしたち、アラン、そして御者の分を宿の主人に頼みにいきました。

そして、届けられた料理を食べ、アランは温泉に入り、わたしたちは眠りにつき

明日のレンゼ山の登山に備えるのでありました。

お読みいただきありがとうございます。


アルテイルの供物は魔石を使いますと、物理的にアルテイルの所に転送されます。

さらに盗んだ物などは転送されないので、アルテイルの所に届いた時点で正規の物となります。


次回はレンゼ山に登り温泉街を目指します。


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@shiizu17

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