第20話 フローラの入浴
この作品はカクヨムに投稿した物です。
レンゼ山の麓の町に着きましたが、温泉所なので温世回です。
無事にレンゼ山麓の町に到着しましたが、泊った宿にはレンゼ山で湧いている温泉が引き湯されています。
この温泉は明日行く温泉とはまた別で、町から比較て近い場所から湧いており
冬が非常に寒いこの辺りでも冷めない温度だと、トリシャ様がおっしゃていました。
「引き湯だけど、温泉だからは姫様も一緒に入ろうよ」
トリシャ様に誘われましたが、トリシャ様であってもアルニル以外の方と
一緒に入浴するのは抵抗があります。
アルニルも正体がわかった後でも、今までどおりなので安心できます。
「トリシャ様でありましても、裸を見せるるのは……」
わたしはこう言いますが、トリシャ様はわたし……といいますか
わたしの胸を見て、ため息をつきます。
「姫様はご身分だけでなく、お身体も立派ですからね」
トリシャ様がめずらしく、丁寧な口調で言いますが……わたしの胸を事でしょう。
「トリシャってまだ体型をきにしてるんだ」
「き、気にはしてないよ。ただ、立派なあれは気になるよ」
「ま……わたしは何も言えないけど」
2人ともわたしの胸元を見て言いますが、確かにわたしの胸はかなり大きい方です。
お母様もふくよかな方ですが、胸の大きさはわたしほどではありません。
あと、ふくよかと言ってもお母様は太っている訳でもありません。
わたしは身長が低い方でありますが、均整がとれた体型なのです。
単に胸の大きさが目立つのです。
「そんなに胸を見ないでください」
「見ないでっていっても、その大きさでは嫌でも目に入るよ」
「そうですよ」
「だからといって、まじまじと見ないでください!」
あまりにも胸を見るので、わたしは背中を向けます。
「怒らないでよ、姫様」
「怒ってるのでなく、恥ずかしいのです」
「確かに、胸をまじまじと見るのは失礼いたしました」
「別に良いです。ただ、一緒に温泉には入りません」
わたしが一緒に温泉に入らないといいますと
「1人で入れるのですか?」
とアルニルが言いますが、確かに1人では入れません。
いえ、入れないこともありませんが、服を着たり脱いだりするのは
アルニルをはじめとした侍女が手伝っていますし、髪の侍女に整えてもらっています。
そして、この旅もアルニルが身の回りの事を全てしいます。
「そうですね……アルニル、ご一緒してください……」
「わかりました」
「それなら、あたしも一緒に入るよ」
「そうですね、3人で入りましょう」
「それじゃ、早速行くよ」
トリシャ様とアルニルは温泉に入る準備をすると、3人で温泉に向かいます。
温泉は屋内の浴室と屋外のお風呂があります。
まずは屋内の浴室にはいりますが、トリシャ様が屋外にも行きましょうと
おっしゃりますので、屋外のお風呂に行きます。
「この辺りはこの時期でも夜は冷えますね」
現在は春の終わりで間もなく初夏になる頃ですが、山の上の夜は冷えます。
「それがいいんだよ、露天風呂は」
トリシャ様はそう言って、温泉に浸かりますが露天風呂というのですね。
「ん~、気持ちいね~」
トリシャ様は温泉に浸かり、気持ちよさそうにしています。
なので、わたくしも温泉に入りますが、この温泉は白く濁った湯です。
そして、魔素が濃い場所でいた臭いもします。
「魔素の濃い場所とと同じ臭いがしますね」
「ああ~魔素の匂いね~」
「はい、そうです」
「魔素って言ってるけど、温泉からするから自然な物だよ~」
「そのようですね」
「自然な物と言っても~有害だったり~猛毒だったりするから~自然の物でも危ないよ~」
「そうですね」
トリシャ様は何時もよりも、ゆったりした口調で話しますが、それだけ温泉が心地よいのでしょうか。
確かに、温泉は心地よいですし、身体も温まります。
「トリシャは温泉好きだからね」
「そうなのですか?」
記憶をたどと、トリシャ様が温泉に行きたいとおっしゃている場面が何度もありますた。
「エルフの森に温泉が湧いてるから~エルフは温泉が好きなんだよ~」
「そうだったのですね」
「そうだよ~。ただ、王国のエルフの森だけで、他の地域は違うらしいけど~」
王国のエルフの森と言うことは、王国以外のエルフに出会ったことがあるのでしょうか。
「王国以外のエルフに出会ったことがあるのですか?」
「あるよ~他国からエルフ同士で貿易はしたから~」
「エルフも貿易をするのですか?」
「貿易っていって~物々交換だけどね~」
「そうなのですね」
「エルフだけで暮らす場合はお金は使わないけど~人間と暮らすとなるとお金がいるから~それでお金を稼いでるんだよ~」
エルフは狩猟と採取、そしてその土地特有の物で貿易をしてるそうです。
なので、以前は物々交換で暮らしてたそうですが、人間と関わるようになり
エルフにもお金を稼ぐようになったそうです。
「ま~こんな話はいいとして~温泉を堪能しようよ~」
トリシャ様はそうおっしゃり、目を細めて温泉に浸かっていますので
わたしもそうする事にします。
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一方、フローラたちが温泉に浸かっている頃アランは。
「何でお前がここ居るんだ!」
「落ち着いて、剣をしまってくれ」
「窓から入って来た賊の言う事が聞けるか!」
「確かにそうだったな。ただ、別に盗みに入ったり、騎士様に危害を加えに来た訳じゃない」
「本当だな?」
「ああ、信じてくれ」
「……宿で騒ぎを起こすと迷惑がかかるので、剣を収めるが良からぬことをしたら問答無用で斬る、覚悟しておけ」
「ああ、わかった」
と窓から侵入したエモリーとひと悶着ありました。
「で、何しにきたんだ」
「特に用はないが、騎士様は男1人で寂しいと思ってちょいと酒を持って来た」
エモリーは背中の袋から酒瓶を出す。
「その酒はレゼ酒じゃないか。おまえ見たいのが買える物でないがもしかして……」
アランはエモリーが盗んだ物と思い、剣を再び抜こうとする。
「まてまて、剣を抜く前に話を聞け。盗んだ訳じゃない、ちゃんと買ったものだ」
「本当か?レゼ酒は王都でもそう手に入らない物だぞ」
「騎士様はわかってないな、この酒はこの地域で作ってるんだよ。
しかも、王都より……いや、王都には行った事ないから王都での値段は知らないが
この辺りなら100も出せば買える」
「この酒が100ゼーニ?王都なら最低でも1000ゼーニはする物だ。そもそも本物か?」
「それは王都で売る様に作られた高級品で、これは安くはないがこの酒としては安いやつだ。
庶民が普段買う酒にしてはちと高いが、なんとか買える値段だ」
「そうか、信じる。信じるが、受け取れない」
アランはレゼ酒を受け取るのを断るが、盗品の可能性もあるが
実はアランは酒が飲めないのである。
「もしかして、飲めないのか?」
「盗品の可能性もあるが、酒は飲めない。騎士学校で無理やり飲まされたが、ぶっ倒れて大変な事なった」
「そうか……残念だな」
エモリーは残念がる。
「と言う事だ、ここから立ち去るんだ」
「せっかく来たのに、もう帰るのはつまらない」
「本来だったら、窓から侵入してきた時点で斬られてもおかしくはないんだぞ」
「そうれもそうだ。ただ、やはりこのまま帰るのはつまらないからちょっと話を聞かせてくれ」
「内容による」
「そうか、じゃあ……あの3人の中で、誰が好みなんだ?」
「!?」
エモリーの言う3人とは、もちろんフローラ、アルニル、トリシャの事である。
アランは誰が好みと聞かれたが、ただただ黙っているだけであった。
「おい、何か言えよ」
「何かといっても、そんな事は考えた事ない」
「そうか?女が3人いるんだぞ、気にはなるだろ」
「あくまでも護衛対象であって、色恋など考えていない」
「まったく、騎士様はお堅いね。別に構わないが、俺は姫さんが好みかな」
エモリーはフローラが好みだが、外見はもちろんあの大きな胸がまたいいそうだ。
「王女殿下をそのような目で見ているのか?」
「姫さんと言っても、女は女だ。それに、美貌ってのは外交の武器にもなるんだよ。
現に、王妃は美貌を使って、外交をしているだろ?」
「た、確かにそうだが……」
「女って言うのは、見た目がいいだけで武器になるんだよ。
それに、本当の美人はってのは男だけじゃなくて、女も見とれるもんだよ」
「……確かに」
アランはエモリーが言う事は正しいと思うと同時に、賊にしてはわかっていると思った。
「な、おまえ……賊になる前はどこにいた」
アランはエモリーに質問をするが
「別にいだろ、どこだって。今は旅人を襲う賊、それだけだ」
と答えをはぐらかす。
「それならそれでよい。ただ、王族への敬意と、戦った時の剣の構えや捌き
からして平民出身とは思ない」
「ま、それなりに学がある事は認めるよ。ただ、昔がどあれ、今は部下を率いて賊をやってる、ただそれだけだ」
「わかった」
「なんか、嫌な気分になっちまったから、俺は失敬するよ」
「ああ、帰って欲しかったから、そうしてくれ」
「ああ、じゃあな」
エモリーは再び窓から宿を出るが、アランの部屋は2階であった。
そして、窓には鍵をかけていた、どうやったわからないが窓を開けて入って来たのであった。
「まったく、油断も隙もない男だ。それに、酒を置いて行かれても飲めないって言っただろ」
置いていかれた酒を見てアランはそう言うが、ラベルを見ると……やはり高級品なレゼ酒であった。
そして、購入を示す印が押されているが、このお酒は偽物が多いため
正規の店で買った事を示す印が押されるのである。
その印は毎年変わる上、魔法も施されているので偽造は難しいと言わている。
「本当に買った物の様だが……」
酒が飲めないアランであるが、騎士は高級品の偽造の捜査も行うので知識がある。
騎士として若手であるが、戦いは空回りして苦手であるが今日は不思議と戦えた。
正直、自分でも驚いたが、これは今後の自信になる。
「せっかくなので、トリシャ様にでも差し上げますか」
アランはレゼ酒をもって部屋を出て、フローラたちの部屋へと行くが入浴中のため
ノックをしても返事。
アランは仕方がないので、再び自分の部屋と戻るのであった。
お読みいただきありがとうございます。
温泉は引き湯ではありあすが、温度が高く冬でも冷めない温泉です。
泉質は硫黄泉で白く濁っています。
高い山の中の冬でも冷めない温泉なので、源泉はかなり熱いです。
風呂に入れる時は冷ましてありますが、普段は温いお湯にゆっくり入るのフローラには熱いです。
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