第15話アランの騎乗
この作品はカクヨムに投稿した物です。
宿を出て2日目の目的地へ向かが、アランが馬車から離れてたので
フローラたちはアランの騎乗について話し、アランが追い付くために馬車を止めたのだった。
本日も朝早く宿を出発します。
宿の主から途中で食べてくださいと、食べ物を受け取りました。
「どうぞお気をつけて」
「朝早く、お見送りありがとございます」
「料理がおいしかったよ」
「帰路も泊まりますので、お願いします」
「それではいってらっしゃいませ」
宿の主に見送られながら馬車が走りだし、その後をアランが馬でついてきますが
アランは馬車に着いて行くのがやっとです。
「騎士くん、馬が乗るのがあまりうまくないよね」
「馬車についてくるのがやっとという感じですね」
「乗馬や馬上での戦いを訓練しているはずなんですが……」
騎士は馬に乗れることが条件で、馬上で戦う訓練もしています。
また、長距離の移動も馬を使うので、騎士を5年やっていれば
騎乗技術はそれなりにあるはずなのですが、アランは騎乗は出来てますが
馬をあまり上手に扱えていませんね。
「落馬しないか心配だね」
「それは大丈夫だと思うのですが」
「馬は人を見ると言いますから、乗馬がうまくなのかもしれませんよ」
アルニルはこう言いますが、乗馬の技術は個人差がありますが
だとしても騎士ですので一定以上の乗馬技術はあるはずです。
ただ、アランの乗り方を見ていますと、馬に弄ばれている感じはします。
「これならわたしが馬に乗った方が良さそうですね」
「姫様が馬に乗るのは危ないよ」
「そうですよ」
「本当に乗るかは別としまして、アランが離れているので馬車を止めましょう」
御者に馬車を止めていただくと馬車を降りてアランの元に行きます。
「フローラ様、どうかいたしましたか?」
「アランが馬車から離れたので一度止めました。あと、アランの騎乗がぎこちないので
わたしが代わりに馬に乗ろうかと思いまして」
「こ、この馬は近衛騎士隊の中でもじゃじゃ馬なので、扱いが難しいのです」
「そうなのですか?見た所、気性が荒い感じはしませんが」
「今は大人しいですが、この馬に乗って何人も振り落とされています」
見た感じでは騎手が荒い馬とは思いません。
試しわたくしがなでた所、とても大人しいですし。
「このように大人しいではありませんか」
「た、確かにそうですが……」
「じゃじゃ馬かどうか、試しに乗せてください。こう見えても馬に乗るのは上手いのですよ」
「だとしても、落馬してお怪我をしたら大変です!」
アランは大きな声を出しますが、確かに落馬をしたら大変です。
しかし、どうしてもわたしはこの馬に乗りたくなりました。
「じゃじゃ馬かどうかは乗らないとわかりせんよ」
「し、しかし……」
「落馬ぐらいの怪我ならあたしが治せるから」
トリシャ様も馬車を降りてきましたが、先ほどのアランの声がしたからでしょう。
「だとしても、最初から怪我しない事にこしたことはありません。
フローラ様は勇者の生まれ変わりですが、美しい姫でもあるです」
アランに美しい姫と言われて、少し照れてしまいます。
「でも、これからは魔族と戦うんだから、落馬の怪我どころじゃない怪我もするよ」
「た、確かにそうですが、戦いでの負傷は致し方ありませんが、落馬の怪我は事前に防ぐ事が出来ます」
「戦いの怪我だって、あたしが護れば防げるよ」
「だとしても、フローラ様を馬に乗せる意味はありません」
アランも引き下がりませんが、わたくしが馬に乗る意味は確かにありません。
それに、ここで口論をしていても時間の無駄ですし、賊に襲われるかもしれませんので
ここはわたしが引きさがります。
「アラン、わたしがわがままを言ってすみませんでした。本日の目的地は昨日よりも遠いので、先を急ぎましょう」
「わかりました。自分もフローラ様に言い過ぎたかもしれません」
「いえ、わたしを諫めるのも騎士の役目ですので、むしろ恐れずよく言いました」
「ありがとうございます、フローラ様」
「騎士くん。ちゃんと馬に乗るんだよ」
「わ、わかっていますよ、トリシャ様」
わたしとトリシャ様は笑いますが馬車に戻ると、再び馬車を走らせます。
そして、馬車の行く道はいつしか山道になっています。
「そういえば、この辺りは賊が出やすい場所だそうですよ」
「ま、賊が襲ってくるのは旅のお決まりだね」
「トリシャ様、賊が襲ってくるような事をいないでください」
「あたしを襲ってくる賊がいるんだから、王家の紋章がついた馬車なんて襲ってくださいって言ってるようなものだよ。
でも、賊がでたらあたしが一網打尽にするけどね」
「トリシャ様、王家の馬車を襲う盗賊はいないと思いますよ」
「王族の馬車を襲うのはバカが裏で誰か操っているのがいるかのどらかだよ、トリシャ」
「へー、そういうものなか」
トリシャ様を襲う賊がいましても、王家の紋章がついた馬車を襲うのはこの国にそういません。
襲うのはアルニルが言う愚か者か裏で糸引いている者がいるという事です。
ただ、そうであってもこれから通る場所は賊が出る場所と言いまので
賊が襲ってこない様にアルテイル様に祈りますが……こっちの方が何故か不安です。
もし、賊が襲って来てもトリシャ様がいますので、正直な所そう不安はなかったりはします。
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「お頭、こんな所を王家の紋章がついた馬車がいますぜ」
「どれどれ、見せてみろ」
遠眼鏡を覗くと、王家の紋章がついた馬車と護衛の騎士が乗った馬がいる。
「護衛の騎士がいるって事は、王家の人間みたいだな。何か言い合いをしてる様だがが」
「お頭どういたします?」
「いくら俺でも、王族を襲う程バカじゃない。しかし、護衛が1人と言うのは気になるな」
王族が乗る馬車にしては、護衛が騎士1人なのもおかしい。
もしかしたら、王族のふりをした小悪党なのか?
いや、この国で偽の王族なんてすぐばれるような事をするバカはいない。
ということは、本物の王族の様だが……なぜこんな所にいるいのか気になるな。
「いや、やはり襲う……いや、何故ここにいるか話を聞くか」
「わかりやした」
「言っておくが、話を聞くだけから怪我をさせたり、物を盗るんじゃないと言っておけよ。破った奴はその場斬り殺すともな」
「へい、わかりやした」
部下に残りの連中を集合させたが、馬車が走り出したので道を先回りする。
道は山道になり、カーブが多いため賊にしか知らない道で先回りができる。
俺は部下連れて、先まりをすると真ん中に立って馬車を止めたのだった。
お読みいただきありがとうございます。
アランは馬に乗るは決して下手ではないものの、気性の荒い馬に乗っています。
なぜこの馬に乗っているのは……またのちの話で。
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