第100話 崩落現場に到着
この作品はカクヨムに投稿した物です。
トリシャはフローラの袖を引っ張りますが、羽毛の防寒着を着たがります。
トリシャ様はわたしの裾をまた引っ張りますが、なんでしょう?
「トリシャ様、今度は何ですか?」
わたしが尋ねます。
「姫様の着ているものがすごく気になる。あたしも着てみたい」
とトリシャ様は答えます。
確かにこの羽毛の防寒着は、気になりますね。
わたしも、このように軽くて、暖かいものは他にありません。
なので、誰でも気になりますよね。
ただ、わたくしの大きさのものなので、トリシャ様には大きいです。
「良いですが、トリシャ様には大きすぎると思いますよ」
わたしがこう言いますと
「それはわかってるよ。でも、どうしても気になるから、お願いだよ」
トリシャ様は「お願いだよ」とおっしゃるぐらい、サイズが合わなくても良いので、どうしても着たいようです。
ただ、これは貴重な試作品なので、わたしだけでは決められません。
「わたしは良いですが、貴重な試作品なので、わたしだけでは決められませんよ」
わたしは、トリシャ様にこのように伝えます。
「それじゃ、こっちの……町長だっけ、町長がいいと言えばいいんだよね?」
トリシャ様がこう言いますが、町長をちらっと見て言います。
「そうですね。これは借り物ですので、町長の許可があれば良いですよ」
わたしは町長を見ながら、こう言います。
「王女殿下、トリシャ様にお貸しするぐらい、かまいませんよ。
それに、元々トリシャ様にもお貸しするつもりでしたので、トリシャ様の分もありますよ」
町長がこう言いますと、女性職員がふたたび、袋をごそごそして、トリシャ様の分を出します。
「トリシャ様にも、お貸しします」
町長はサイズが違う、羽毛の防寒着を手渡します。
トリシャ様はそれを受け取りますと、ニコニコしながら着はじめます。
しかし、馬車は曲がりくねった峠道を走っています。
そのため、トリシャ様は着るに着られません。
「馬車がすごく揺れる……」
トリシャ様は馬車が揺れるので、防寒着を膝の上に置くと、わたしにしがみつきます。
「このような道を上っていく峠道ですので、峠を越すのも大変です。
ただ、道幅はとても広いため、断崖の上を通っても落ちる不安はありません」
町長はこのように言いますので、外を見ますと、いつの間にか馬車は断崖の道を走っています。
そして、周りには積もった雪があります。
雪が降ったと言ってましたが、こちらは山の陰になるので、融けずに残っているようです。
「雪がありますね」
わたしが雪があると言いますと
「はい、すでに雪が積もっています。この辺りは日陰なので、とくに融けずに残ります。
そして、間もなく、崩落現場に到着します」
町長は、間もなく崩落現場だと言います。
地形は急峻となり、道には石が転がり、馬車の速度が落ちます。
そして、しばらくすると、馬車が止まります。
「到着しましたが、安全のために崩落現場の手前で馬車を止めます」
町長は安全のために、崩落現場から離れた位置にある少し広くて平らな場所に馬車を止めます。
「ここから、歩いていくのですか?」
わたしが、町長に尋ねます。
「そうなりますが、崩落自体は現在も徐々に進んでいます。
ですので、崩落現場の手前の、崩落状況が見える安全な場所まで行きます」
町長は現在も徐々に崩落が続いているので、手前の安全な場所から崩落状況を確かめるそうです。
「わかりました。では、状況を確かめに行きましょう。
あと、トリシャ様は防寒着を着てくださいね」
わたしは笑いながら、トリシャ様にこう言います。
「わかってるよ。でも、膝の上に置いただけで、すごく暖かいから、とても楽しみだよ」
トリシャ様も子供のように笑いながら、防寒着を着ます。
「すごく暖かいし、軽くて、かさばらないのがいいな。ねえ、これもらえないかな」
トリシャ様はこうおっしゃいますが、貴重な試作品なので無理です。
「トリシャ様、さすがにそれは無理ですよ。
差し上げたいですが、王女殿下とトリシャ様の分しかありませんので、お許しください」
町長も苦笑いしながら、こう言います。
「冗談だよ。でも、羽毛ってこんなに暖かいんだ。エルフも森の鳥でも作れないかな……」
トリシャ様は、エルフの森の鳥でも作れないかと考えます。
「トリシャ様、エルフが住んでいる森の鳥と、渡り鳥の羽毛は違いますよ。
渡り鳥の羽毛は、寒さに耐えるため、通常の鳥よりも暖かくなっているようです」
町長は、羽毛の違いを説明します。
「そうなんだ。考えてみたら、暖かかったらエルフがもう作ってるか」
トリシャ様も、羽毛が暖かいことを知っていたら、エルフが既に作っているとおっしゃいます。
エルフは森のものを使い、工夫して、道具を作ります。
なので、エルフが羽毛の暖かさに気づいたら、何かしらの方法で作っていると思います。
「暖かい防寒着もありますので、現場を見に行きましょう」
「そうですね」
わたしとトリシャ様は、町長から借りた羽毛の防寒着を着て、馬車の外に出ます。
馬車は広くなっている場所に止まっていますが、道の先は断崖です。
端には雪かきをした雪が積み上げてあり、地面も凍っている場所もあります。
そして、町では吹いていなかった風もあり、体感はさらに寒いです。
「うう……寒いよ……」
トリシャ様は、風があるので震えます。
「そうですね。さらに高い場所になりますので、この風は冷えますね」
セーターと防寒着で身体は暖かいですが、手先や顔、耳が寒いです。
風も冷たく、肌を刺す寒さです。
「風がありますし、雪もありますから、冷えますね。
手袋はありませんが、ニットの帽子はありますので、お使いになりますか?」
町長は手袋を準備していませんが、ニットの帽子はあるといいます。
「お願い、借りるよ。あと、馬車にフード付きの上着があるから、取ってくる……」
トリシャ様は馬車に戻ると、リタさんの店で買ったフード付きの防寒着をさらに上に着ます。
そして、ニット帽も借りますと、暖かそうな顔をします。
「風も通さないし、暖かくなったから、見に行こうか」
トリシャ様は着こんで暖かくなったので、現場を確かめに行きます。
「では、こちらです」
わたしたちは町長の案内で、崩落現場が見える場所へと行きます。
「こちらになります」
崩落現場が見える場所に来ますと、この先の道がごっそりなくなり、崖になっているのでした。
お読みいただきありがとうございます。
羽毛の上着はトリシャも気になっています。
そして、森の鳥で作れないかと考えるものの、羽毛の種類が違うので作れないと説明されます。
ダウンとはやはり羽毛の種類が違うですよね。
崩落現場に到着したが、道がごっそりなくなるほどの規模です。
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@shiizu17




