その黒鷲は空を舞う 〜かつて英雄と呼ばれた男は今再び空へ舞い戻る〜

　大地が浮遊し、雲の海が広がる世界。人類の移動手段は気球やアリスという意思疎通により人類に飛翔能力を与える生命体が主流となっていた。
　その世界には、ときおり雲海から出現し、空を泳ぎながら人や家畜を捕食する、竜という謎の生命体が存在していた。
　誰もが安心して空を飛べる世界を夢見て、リーク・アルートは軍属となり、アリスとともに竜を討伐することを決意する。誰よりも自由に空を翔け、幾度となく国を守ったリークを人々は賞賛した。
　だが、7年前、とある事件をきっかけに彼は軍を引退し、姿をくらましてしまう。
　英雄の失踪に周囲が困惑する中、当の本人は、他国との国境付近にある田舎で、近所の子供たちにアリスを用いた飛行方法を教えていた。このまま余生を過ごそうと考えていたリークだったが、ある日突然、旧友が彼を訪ねてくる。
　竜が急激な増加傾向にある上、敵対関係にある皇国が不穏な動きをし始めているというのだ。王国軍に戻ってきてほしいと頼み込む旧友を頑なに拒むリークだったが、旧友に貸しがある彼は、ちょっとだけならと最終的には承諾することとなった。
　しかし、事態は彼が思うよりも深刻なもので──────！？
これは、地球とはちょっとどころかかなり違う世界で繰り広げられる、1人の男の物語である。
　

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