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青春は色あせない。  作者: 田中らら
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心の中の思い出

朝はいつもより早く目が覚めた。


バンガローの中がとても寒くてみんな早く起きていた。

木々の影になり日差しがバンガローに当たらないのでとても寒かった。


私たちは少しだけの荷物をまとめてバンガローを後にした。


宿泊施設に行くと先生が待っていた。


「大丈夫だったか?よく眠れたか?」


「寒かったです。」


「食堂で朝ごはん食べて温まって来い!」


「は〜い!」みんなで足早に食堂に向かった。


食堂は温かく白米と魚、卵焼きとウインナーの香りがした。


幸せな香り。


私たちは朝食を済ませて、みんなでエントランスホールに集まり、

部屋に荷物を運んでから、いつもの学習室に向かった。


暖かい日差しが心地良く、

いつもより居眠りしている人が多かった。


「平和だな」私は小さな声で言った。


昨日の夜のことは夢だったのかもしれないと思うほど、

いつも通りの1日だった。

みんな何も無かったように勉強をしてスポーツをした。


それからの2泊はあっという間に過ぎた。


帰る日になりみんなで荷物をまとめて、施設の方々にお礼を言ってバスに乗った。


クーラーの効いたバスは、観光バス独特の香りがした。


そしてバスはゆっくり山を下り始めた。


2日前に歩いた道だ、

明るいと同じ道とは思えないほど緑に囲まれたキレイな道だった。


だいぶ下ったところにコンビニはあった、

引き帰った場所から30分以上は歩かないとコンビニは無かったのだ。


あの日の夜出かけたメンバーもみんなコンビニを見ていた。


「だいぶ先だったのか・・・」という気持ちはみんな同じだった。


高速道路に乗りバスの心地良い揺れでみんな、睡魔に襲われて爆睡していた。


気がつくと千葉県に戻っていた。



これが私の青春の思い出の1つ。


10日間で学んだことは多かった。


そして思い出もたくさん出来た。


みんなで一緒にお風呂に入り、

同じ物を食べて同じことを学んだ。

みんなで同じ髪型にしたり、

好きな人の話しをしたり、

誰にも言ったことが無かった悩みを打ち明けたり、

些細な不安を吐き出したり、苦手な子の話しをした。


はじめは不安だった「あまり話したことの無い女子」とも仲良くなり、

このままここで生活出来ると私は確信してほどだった。


人はどんな場所にでも順応出来る。

人はどこでも生きて行ける。

と感じることの出来た10日間だった。


25年過ぎた今でもスチャダラパーの今夜はブギー・バックを聞くとあの時の思い出が蘇る。


滅多に聞くことが無い曲だけど(笑

時々どこかのお店で流れていると私の記憶スイッチがONになる。


たまには過去の思い出にスポットライトを当てることも必要。


悲しい、辛い、苦しい、怖い過去の記憶は、色濃くのこり私を脅かしてくるのに、

楽しい、嬉しい、面白い記憶は色あせてしまう、

だからこそ時々ライトを当てて、蘇らせることも大切だ。


あの時のコンビニ探検メンバーと、もう20年以上は会っていない、

みんな何をしているかな、あの時の星空を、あの時の蛍を、あの時の道を今でも覚えているだろうか?


みんなの心の中にある共通の記憶。


私は今でもその記憶が色濃く残っている。


おわり

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