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3

そして放課後、


「白雪さん、ちょっといいかな」


と、般若のような顔をした数名の女子たちに呼び出された。


「な、何の用でしょうか」

「大事な話があるの、ついてきて」

「はあ……」


有無を言わせぬ物言いに不穏な気配を感じつつも、当然逆らうことなんてできず、おずおずとついていくしかなかった。

移動中も逃げられないように予防しているのか、前後左右をがっつりガードしていた。




しばらくすると、校舎の裏庭についた。

普段から人通りの少ない場所だ。当然、自分たち以外に人のいる気配はなかった。

確かに、誰かに聞かれたくないような「大事な話」をするには最適な場所だとは思うけど。


「……それで、話とは何でしょうか」

「はあ?決まってんじゃん」

「というと……?」


すると、女子たちが一斉に私を囲い込む。

そして、


「!?」


(蹴られっ……!?倒れる!)


絶妙に膝裏を蹴られ、バランスを崩して倒れてしまう。


「うっ」


倒れると同時に、四方から何度も蹴りを入れられる。


(痛い……!)


上の方から、笑い声が聞こえる。


「あはは!いい気味!」

「悪い子には罰を与えてあげないとね!」

「ちょっと優しくされたからって調子に乗りやがって!」


蹴られている間、私はどうすることもできずただ身体を丸めるしかなかった。




どれくらい時間が経っただろうか。ほんの数分かもしれないが、体感的には永遠とも感じてしまうほど酷く苦痛な時間だった。

さすがに疲れたのか、荒い息づかいと共に女子たちが私から少し距離をとる。


(やっと終わった……のか)


私はぐしゃぐしゃになった髪、土まみれになった身体を上半身だけゆっくり起こし、リーダー格と思しき女子に視線を向ける。


そして、その視線に気づいた彼女はあの台詞を放ったのだ。



「アンタみたいな地味子が、気安く『王子』に近づいてんじゃないわよ!」



こうして、冒頭の話に戻るのである。


~~~~~


幸いにも大きな怪我はなかったので、そのまま帰宅した。まあ、土まみれの姿なので周囲の視線はなかなか痛々しかったが。

もう1つ幸いなことに、他の家族がまだ帰宅していなかったので、変な心配をされることもなかった。

家族がいないのを確認した後、すぐに制服を脱いで洗濯機の中に突っ込み、洗剤を入れて起動ボタンを押す。服だけでなく身体にも土がついているので、そのままシャワーを浴びることにした。


「ふぅ〜……」


ようやく一息つくことができた。


(長い1日だったな……)


席替えに始まり、ペアワークの授業、そして、


(あれは俗に言ういじめだよね……)


今までも陽向関連で女子に睨まれる機会は多かった。けど、今回のような派手なパターンは初めてだった。

おそらく、陽向が事前に根回しして事を起こさないようにしてくれてたんだろう。そういうところ意外と目ざとい奴だから。

しかし、今回いじめの火種になったのは雨宮くんだ。陽向ではない。だからこそ、女子たちは行動できたのだ。それほどまでに雨宮くんの影響は大きかった。


ーー雨宮冬貴です。隣、よろしくね


ふと、席替えの時の彼の微笑みを思い出す。

今なら、あの時何故懐かしい気持ちになったのか、ペアワークの時に既視感を覚えたのか、理解できる。

なぜなら、


(雨宮くん、前世で婚約者だったレイン王子にそっくりだ……)


雨宮くんとレイン王子は、髪色を除けば双子かと思うほどその容姿が瓜二つだったのだ。

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