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02 杉井縁
私が受け持つクラスの中には、三人のとんでもない生徒がいる。
その中の一人が、杉井縁。
彼は今どきの若者だ。
「せんせ、せんせーってば」
甘えたような態度で、授業を真面目に聞いてもらえない。
でも、このくらいの年ならよくある事だろう。
「俺、せんせーにもっとイイ事教えてほしいな」
勉強より遊び。
難しい事より楽しい事。
普通なら普通で大いに結構。
否定はしない。
けれど今は授業中だった。
「静かに」
「せんせ、怒った顔も美人だね」
私はどうにか彼に、授業に集中してもらうように言うのだけど、真面目に聞いてもらえない。
「今度デートしようよ」
「廊下に立ちたい? 分かったわ、すぐに追い出しますね」
「おっと、照れてる?」
ちがいます。