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舞え!蝶のように 七話

さぁ!闘うんだミコ!


・・・って、もしもぉーし?

闇の翔龍騎ドラゴンライダーが身構える。


変身した姿は、いぬにも似た鬣のあるけだもの


狛犬のような鬣を震わせる翔龍騎ドラゴンライダーダルマン。


店の中で姿を現した闇は、ミコを睨みつけ戦闘態勢を執る。


「待てって言っただろーが!店を壊す気ならこちらにも考えがあるぞぉ!」


横合いから金ぴかオークが必死に止める。


「お前は黙っていろ、コンドー。

 俺様の邪魔はさせはしないぞ!大人しく観ていろ!」


ダルマンはミコから眼を放さず、店主に命じた。


「あのなぁ、オーク店長の言う通りだぜ?

 店の中で魔法戦を戦ったら、滅茶苦茶になっちまうぜ?」


鋼の翔龍ドラゴニスが他の客・・・魔物を観て。


「まぁ、俺は構わんけど。ミコが外で闘えって言うからな」


主であり幼馴染でもある、ミコの言葉に従うと言ってやった。


そのミコはダルマンには目もくれず、金ぴかオークに視線を注いでいる。

怒り・・・いや、焦りか?


ミコは何か不思議な力を感じて、店長を見詰めている。


「関係ねぇな、この店が潰れようと客の下々の輩がくたばろうが。

 魔王様に報いれなきゃ、滅びてもしょうがねぇだろーが!」


嘲笑うダルマン。

呆れたような顔を向ける翔龍おれ


ミコは順々に観て行き、そして店長の顔が変わったのに気付く。


ー やっぱりな。あの店長・・・普通のオークじゃないと言う訳か・・・


ダルマンの一言に、オークが表情を変えていた。

それは唯の魔物・・・オークでは無かった。


「ちょっと、言葉が過ぎやしませんかねぇ?

 黙って聞いてりゃ・・・許せませんなぁ・・・しみったれ」


怒りに顔を赤らめていたオークが俯き、ダルマンに言い放った。


「この店は癒しを求めてくる同胞がお客様なのです。

 その仲間を巻き添えにしても構わぬというのであれば・・・

 お前との契約も無効ですな、ダルマンとかいう魔王の犬よ」


「なっ?!貴様っ、オーク如きの分際で!

 我等魔王様配下の翔龍騎ドラゴンライダーに、楯突く気か?!」


オーク店長に言い返したダルマンが、観ている前で・・・


「ほほぅ・・・並みのオークじゃないとは思ったが・・・」


リュートが感心したように呟く。


「うーん・・・金ぴかオークは隠れ蓑だったのか?」


感じていたのがこれだったかと、ミコも頷く。


金ぴかのスーツが破れ、鋼鉄の内張り装甲が現れる。

鋼の魔斗衣まとういが現れる・・・


「一応オークじゃなく、翔龍騎ドラゴンライダーの仲間なのかな?」


顔形はあまり変わらない豚顔のままだが、鋼の魔斗衣を着た姿はオークとは違い筋肉隆々。


「ありゃーかなりのパワーヒッターだよな・・・たぶん」


リュートも感心したように<コンドー>と呼ばれた魔獣の力を想像する。



「なっ?!貴様が?まさかの翔龍騎だと?」


ダルマンが驚愕する。


翔龍騎ドラゴンライダーとは違うが・・・な。

 俺はこの世界に来る前から嫌いだったんだよ、上に諂う奴等が。

 自分の力で金儲けしない奴等の事が、大嫌いなんだよ!」


・・・


あの。



金ぴかオークさんも・・・ですか?

まさかの異世界転移者・・・だと?



ポカンと見詰めるミコと翔龍おれ


二人にお構いなく、コンドーはダルマンに掴みかかると。


「この店は壊させたりしない!お客様に迷惑を掛ける輩は排除する!」


どこかで聴いたような言葉を吐き、ダルマンの首根っこを摘まんで店の外に向かっていく。


「やめろっ、放せ!放しやがれ!」


抓まれたダルマンが身悶え逃れようとしたが、


「大人しくしてないと・・・捻り潰しますぞ?!」


圧倒的力の差を見せつけるコンドーに、ダルマンは抓まれた猫のようにおとなしくなる。


店の外に向かうコンドーを見送ってしまうミコに、


「おいミコ!このままじゃぁ放り出されて逃げられちまうぜ?」


慌てた俺が今回の事件を請け負った本当の理由を思い出させると。


「そ、そうだった!奴を捕まえて吐かせなきゃ!

 魔王が何処に居るのかを!魔王がどんな奴なのかを!!」


二人を追って店外まで出る。

コンドーに摘ままれたダルマンを捕らえる為に。




「ほらっ、ちゃんとミカガミ料は払ってやってるんだ!

 今度からはちゃんと客として来るんだな、さもなきゃー・・・次はこうだ!」


ダルマンの左肩に着いていた装甲を、簡単に握り潰したコンドー。

その力に翔龍騎ドラゴンライダーダルマンでさえも恐怖に震えあがる。


「ば・・・バケモンかお前は?!

 このダルマンの装甲を、握り潰すだなんて?!」


「はぁ?!装甲?

 こんな紙切れがか?

 それでよくも翔龍騎ドラゴンライダーを名乗れるものだな?」


コンドーの方が圧倒的に力上位である。


ダルマンが弱っちいのか。

コンドーが強過ぎるのか?


「オトトイ来やがれ!

 もし、商売の邪魔をするのなら容赦はしないからな、コンドーがいつでも相手になってやる」


自分を示し、闇の翔龍騎ドラゴンライダーダルマンに言い放った。


「ちっ、覚えていろぉよぉ!」


逃げ出すダルマンが、元の威勢はどこへやら。

負け惜しみを投げて逃げ出した。


「ええ、お客様なら覚えておきますよ。ええ・・・」


頭を下げたコンドーは、元のオークに戻って応えた。






コンドーから逃げ出したダルマン。

林に駆け込もうとした足が停まる。


「そいつはどうかな?二度とあの店には行けないと思うけど?」


闇の翔龍騎ダルマンは、白銀の翔龍騎ミコに眼を向く。


「逃げ帰ろうったって、そうは問屋が卸さないよ?」


いつの間にか廻り込んでいたミコが木立の中、木を背にして佇んでいる。

いや、待ち構えていると言った方が善いのか。


「貴様・・・どうやって?」


廻り込んだのか・・・そう言いたげだ。


「あれ?そっちを訊くの?

 僕の姿じゃなく?・・・へぇ~っ?」


腕を組んで嘲笑うミコ。


「きっ、貴様ぁっ?!俺を何だと思ってる?」


「うん、オークに追い出されて逃げ帰る・・・駄目な翔龍騎ドラゴンライダーダルマン?」


相手を怒らせ、我を失わせる作戦か?


「僕となら闘えると思ってるんだ?」


いや、ミコ。自信過剰なのは君の方じゃ?


「言ったな小娘の分際で!それなら今ここではっきり白黒つけてやる!」


ミコに突きかかるダルマン。


「そう?じゃ・・・滅ばないように手加減してあげるよ?」


狗の翔龍騎ダルマンが狐モドキだったリュートを思い出し、勝てると考えたようだが。

ミコに宿っているのがまさかの白竜であることに気付く筈もなかった。


「うるさいっうるさい!これでも喰らいやがれ!」


手にした得物・・・鞭を振り回してミコに打ち付ける・・・が。


「とぉっ!」


瞬時に飛び上がったミコに、いとも容易く避けられてしまう。


「ああっ?!跳んだり飛んだり!」


背にしていた木が真っ二つに折れたが、飛び上がったミコにはなんのダメージも無い。


「じゃぁ、こっちからもいくからね?」


くるっと身を捻ったミコの足がダルマンに向けられて。


翔龍ドラグナーキィーック!」


軽く撫でるぐらいの強さでダルマンに蹴りを入れた。




 ドシッ 




ヒット!


いとも容易く・・・ダルマンは噴き跳ぶ。


「これぐらいじゃ滅びはしないだろ?

 お前も翔龍騎ドラゴンライダーを名乗るのなら・・・」


たったの一撃。

それだけで戦闘能力を奪う事が出来るとも思ってはいない。


「さぁ、これで分かっただろ?

 お前なんかには勝つ事が出来ないのだと。

 オークにさえアシゲに扱われるお前になんて、僕が倒せる訳も無い事が!」


びしっと噴き跳んだダルマンを指差すミコ。


「ぐっ・・・がぁあああああっ?!」


倒されたダルマンが吠える。

いよいよここから本格的戦闘に縺れ込むのか?!




  チュド~ンッ 



爆焔が・・・ダルマンを包んだ?!


「・・・・ほぇええぇっ?!」


ー ・・・やっちまったな?ミコ


相手が弱すぎたのか、ミコのキックが強過ぎたのか?


一言も魔王の事を聴きだせないまま、闇の翔龍騎ドラゴンライダーは噴き跳んで滅びを迎えた。


「えっ?えええええええぇっ?!」


モクモクと煙を揚げて潰え去った魔王の配下。


「そ、損なぁ?!嘘だろぉっ?」


ちょっと・・・軽く蹴っただけなのに。


ー ミコ・・・キックは駄目だ。キックは・・・


ライダーキックの威力は、白銀の翔龍騎ドラゴンライダーにとっては奥義。


いくら軽く蹴ったにしろ、奥義は奥義。

必殺には変わりが無いのだから。


「早く言ってよリュート!停めてよミレニアさんっ?!

 ど、どうしよう・・・やっちゃった・・・」


後の祭り・・・

損な子を地で往くミコ・・・


ー まぁ、やっちまったもんはしょうがねぇな?


いつもの事だと、リュートが鎧の中で肩を竦める。


ー ・・・ふぁああっ、ん?何か言ったのミコ?


女神は・・・お昼寝していたようだ。


「あああああっ?!/(^o^)\ナンテコッタイ」


頭を抱える白銀の翔龍騎ドラゴンライダー


「また・・・サエぽんにお金をせしめられちゃうヨぉ?!」


今回の件でも、同僚の男のに情報料を支払わされたミコが自分を呪う。

農村付近に魔王の下僕が居る事を教えたのはサエ。


その見返りは高くついたというのに・・・


「あああっ?!どっかで儲け話はない?

 ・・・そうだ!いっそのこと金ぴかオーク達を駆逐して魔法石になって貰おうかなぁ?!」


・・・


・・・ミコ、早まるな?!


「おっほん、罪なき魔物を滅ぼすのは罰が当たります!

 私の先達が眼を光らせておるので・・・却下」


目覚めたミレニアが即座に否定すると。


「そうだよなぁ、一番責任がある人が稼がなきゃなぁミコ?」


強制的に変身を解かれたミコに、狐モドキに戻って言ってやったよ。


「うう~っ、どうやってだよ?!魔物退治くらいしかここらへんで儲け話はないじゃないか?」


女神と狐モドキに言い募っているミコの後ろから。


「どうです?いっその事バイトじゃなく派遣ってことにすれば?

 登録は無料ですから、時間給も高待遇しますよ?」


いつの間に?

金ぴかオークが忍び寄っていた。


「あのねぇ、もうここには来ないから!

 いくら高給だっていっても、翔龍騎ドラゴンライダーがバイトだなんて・・・」


金ぴかオークが算盤を弾いて。


「これでどうです?

 なかなか他では払われない額と、自負しますが・・・ね?」


弾かれた金額は・・・







「はぁーい!3番テーブルオーダー入りまぁーす!」


軽やかに、舞う様に。


茶髪が靡く。


「ほほほっ!なかなか覚えが早いし、なにせ翔龍騎ドラゴンライダーがメイドなのだからな。

 評判になる筈だとは思ったが・・・うほほっ!」


魔物の支払額にウハウハ状態の金ぴかオーク。


「あははっ!メイドって結構似合ってるかもぉー!」


働く意欲を掻き立てられたのか。

それとも・・・


「これでも僕って翔龍騎ドラゴンライダーなんだよぉー、みなさーん!!」


・・・

明るく笑顔を振りまくミコに、魔物がスタンディングオペレーションする。


「みんなぁー!また来てねぇっ!」


・・・アイドルかよ?!


挿絵(By みてみん)



スタンディングオベーションは終わらない?!

あああ、損な。

ミコはやっぱり・・・駄目な子でしたね、ええ。


困った事にバイトが板についていますが・・・なにか?


さて、次回のジョブに行く前に。


次回 舞え!蝶のように 8話

サエぽん狂喜!その食べ物は???

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