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舞え!蝶のように 四話

袋詰にされて連れて来られたミコ。


現れ出たのは?!

ドラゴンライダーは、その身体に宿した龍と呼ばれる魔法の化身を発動させて変身を遂げる。


一般にはそう・・・だが。


力ある翔龍騎ドラゴンライダーには、属性のある従属隷獣が付き従っていた。


フルメタルの身体。

高い戦闘能力。

そして主人に対する従属性。


主人をサポートする龍は、必ずその身を挺して守護するとされた。



で?



こいつは?



「しまったぁ!よそ見してたらどっかに行きやがった?!」



狐モドキが慌てて飛び降りて来たが、


「この辺りだとは思うんだが、どこへ消えやがったんだ?!」



背中の羽根をバタバタ羽ばたかせて周りを探している。


どうやらミコを見失ってしまったようだ・・・・


「これは拙いゾ・・・どうしよう」


こんな隷獣も居るようですね。






袋詰めにされたまま放り出された。


「痛ってぇー、人をゴミ扱いしやがってぇーっ、ふーんだ!」


投げ出されたミコが袋の中で暴れていると。


「ゴッフゴッフ!」

「フゴーフゴー!」


袋が開かれ摘まみだされる。

豚の様なオークに。


「なんだよ、もう行き止まりかよ?

 そんじゃー村娘さん達の処迄連れて行けよ!」


救出に来たミコが本来の目的の為に言い募ると。


「あっらー!新入りさんなの?」


女の子の声が聞こえた。


「へっ?!」


オークに邪魔されて観えていなかったのだが、どうやら問題の娘がいるようだった。


「新入りさんいらっしゃーい!」


すこぶる元気そうな声がミコを迎える。


「へっ?!」


声の女の子を観ると・・・


「あなたもメイドになるんでしょ?着替えはこの奥にあるから」


「はぁ?!」


眼が点・・・


「どうかしたの?ほらほら早くしないとお客様に迷惑じゃないの?!」


「・・・・・・?」


確かに。

目の前に居る少女はメイド服を着ている。

しかも、片手に捧げ持っているのはグラスボール。


「フギフゴー!」


奥に居るオークが少女を呼びつける。


「はいはーい!リキュールでしたわよねぇーお待ち同様ですー!」


振り返った少女が答えた後、


「あなたも就職難だったんでしょ?あんな鄙びた村で暮らすより此処の方がずっと楽しいわよ!」


「・・・な・・・ん・・・だ・・・てぇ?!」


走り去る少女を見返し、意味が解らないと眼を廻す。


「ここは・・・一体・・・どこで・・・どうなってるんだ?!」


村長は確かに襲われたと言っていたが。

村に行って襲撃跡を観た訳では無かった。

娘達を連れ去ったとは言ったが、老若男女全てに被害があったとは言っていなかった。


「まさか・・・とんでもない勘違いをしているのでは?」


周りを見回すと、どう見てもいかがわしい気配もない。

オークと言えば、繁殖にだけ女性を連れ去るとも聞いていたが。



 ガヤガヤ ワキワキ アイアイアイ



魔物達の間をメイド少女達が駆けまわり、手に手にボードを捧げ持っている。



「ここは・・・どう見ても唯の酒場クラブ

 というか・・・メイド喫茶だったのかぁ?!」


なんてこった・・・・

人攫いのオークは強制スカウトマンだった?!

でも、働かされているだけには見えないのだが?


これでは討伐する意味がないではないか?


「でもまてよ?娘さん達に給料は支払われているのか?

 と、いうより。

 なんの為のメイド喫茶なんだよ、おい?」


混乱するのは当然だが。


「この状況を誰かに説明して貰わなきゃ・・・」


がやがや煩いオーク達。

軽やかに舞うメイド達。


此処が一体なんの施設だと言うのか。

誰が仕切っていて、目的は何処にあるのか。


「そいつはなぁ、オレっち様の目的だからだよ!」


不意にかけられた声に振り向く。


「お前さんも働いてみたいのか?それとも一緒に楽しむのかい?」


声の主を探す・・・のは、必要なかった。


「何だよお前は?!」


金ぴか燐の服を纏った、オークがそこに座っていたから。


「オークの癖に、何をふんぞり返っているんだよ?!」


金ぴか燐のオークは、二人のメイドに囲まれてオレンジジュースを飲んでいた・・・


オ?オレンジジュースだと?!



挿絵(By みてみん)



「お前さん・・・ここが何処だか知らずに来たのですか?」


・・・・


「オレっち様のクラブに遊びに来たのじゃないのですか?」


・・・・


「ここに用があるのなら働くか、金を払うか。どっちかだけですよ?」


・・・・


・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・・


言いたい事はそれだけ?


じゃあ、反撃してもいいかな?



「言わせておけば、勝手な事を!

 誰が好き好んでこんな場所まで来るか!

 大体オークの癖に何をやってるんだよ!」


ミコが怒鳴る。


「観て判らんのか?喫茶クラブですが・・・何か?」


ミコの口が開いたままになる。


「だ、だからっ!メイド喫茶は何の為にやってると訊いたんだ!」


反撃をかわされたミコが食い下がる。


「観て判らないのですか?金儲けの為ですが・・・なにか?」


・・・・・・・・・・・・・がっくり。


「にゃははははははっ!帰る!」


いや、待てミコ。

肝心な事を忘れていないか?


「はっ!そうだった。口車に乗せられていた。

 お前は何が目的でこんな商売をしてるんだ?!」


「金儲けの為ですが・・・なにか?」


・・・・・


「も、もう一回訊くぞ!

 娘達はさらってきたんじゃないのか?!

 僕と同じように袋詰めにして連れ込んだんじゃないのか?!」


びしっと指を差して言い放ったミコに、


「うん?袋詰め?

 ああ、オークの運搬方法は客人に袋へ入って貰うんだが。

 知らないのか?

 掻っ攫うのにいちいち袋詰めにする手間をかける訳がないじゃないですか!」


・・・・・でわっ、あれは?


「アンタァ、もしかしてとんでもない客なのでは?」


・・・・・そうかもしれない。


「勘違いにも程がありますよ、お嬢さん。

 お銭がないのなら働いて返して貰わなきゃいけませんねぇ。

 わざわざ店先に居た引き込みに連れて来るように言ったんでしょ?」


・・・・そうだったかな?


「オレっちとしては働く気のない人には来て貰いたくは無いのですがね。

 オーク件費としてこれ程はかかったのですから、支払ってもらいますよ?」


何処から出したのか、算盤を弾いて見積もりを見せつけて来る金ぴかオーク。

見せられた額は途方も無かった。


「ばっ。馬鹿な!ふんだくりじゃないか!」


・・・・もはや、ミコもオークの口車に填められたのか。


「嫌だと仰るのなら仕方がありません。働いて返して貰うだけですから」


「嫌だとかそんな問題じゃない!お前に払う義理は無いってだけだよ!」


拒むミコを観て、金ぴかオークが眼で合図すると。


「いけませんねぇ、払うべきものを払っていただかないと客人」


「駄目ですよぉ、ちゃんと請求証に掛かれた額を払っていただかないとぉ」


黒服を着た・・・女の子が立ち塞がる。


「はぁ?!なにそれ・・・おいしいの?」


普通はオーク仲間が黒服役だろって突っ込みたいのだが。


「あ、そうそう。こちらは当ホールの用心棒さん達です」


金ぴかオークがいけシャーシャーとほざいた。


「逃げようったって逃がさないんだから!」


「ちゃっちゃと制服を着て働くんだよ!」


・・・・なんだこれは?!

なぜ人間がオークの用心棒なってる?


「待てよ!働くったって何年かかるんだよ?そんな額を返すには?」


さっき示された途方もない額(今回の依頼料の3倍!)を思って訊き返すと。


「あれ?ご不満でしたか?僅か数時間で払い終えれますが?」


「えっ?!あの巨額を・・・か?」


なにかの言い間違いかと思ったが。


「巨額?いえいえ、当ホールは善良請求ですが?

 あなたがた人族とは金銭感覚が甚だ違うというだけでしょう?」


そうなのか?


「そーなのよぉー!だから私達も喜んで働かせて貰ってるのー!」


黒服がにひひと笑う。


「高給取りになった気分なのよねー!」


もう一人の黒服も満足げに笑う。


「スカウトの同僚から最初聞いた時は疑ったけど。

 月給をいただいた時には辞める気なんておきなくなったわよ!」


黒服の娘達は、うんうん頷き合ってる・・・


「・・・・と、言う事は。

 ブラックでも何でもないという事なの?」


「あったりぃーまえだぁーのぉ、くらっかぁー」


たらたら汗が流れ落ち、眩暈に襲われるミコ。


「ブラック?何の事でしょう?

 先程も言いました通り、当ホールは明瞭会計ですから!」


騙されたと気が付いた。

村娘達は救出・・・出来る訳がないと。


村娘は自ら働きに来た、貧しい村で働くより余程儲けられるのだから。

村長は人手不足を何とかする為だけに、オークの退治を図ったのだと。


「これじゃー、村長の方を退治しなきゃならないじゃないかぁ!」


両腕を掴まれたミコが、自分の浅はかさを罵る。


「なんてこった!人間の方が、魔物よりよっぽどたちが悪い!」


支払う持ち合わせが無かったミコが吠える。


「おっぼえてろよぉー!」


・・・・ミコ、それじゃー悪役だよ?





で?




「くっそーっ!ミコ今行くぞ、無事でいてくれよ?!」


リュートは焦りながら入り口を探し続けていた。


何してんだよ狐モドキは?!

にゃんと?!

これは一体?


どうなるのでしょうか?


次回 舞え!蝶のように 伍話

ミコ・・・何やってるんだよ?え?!バイト??

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