ファイティング・スィーパーズ! 六話
ネクロマンサーが言うには?
もしかして魔王って・・・商売してるのか?
まさかとは思うが。
魔王の存在を知る要素ではあるのだが。
俺もミコも、俄かには信じられない話だった。
ドワールの持っている領収書に記された相手が、まさかのミコの姉だなんて。
自筆らしい<MIKO>と署名の上に、魔王の刻印が重なっている。
それが本当なら、俺達が探し求めている魔王とか言う奴は?
「おいドワール!どこから送り届けられたんだよ?
通信販売で買ったというのなら送り状がある筈だろ?」
そうだよ、送り先が判れば辿りゃぁいいんだ。
「そんなもん当に捨てたわい!」
あっさり切り捨てたなドワール。
そんじゃぁ・・・やれ、ミコ。
グイっとドワールに詰め寄ったミコが、右足を引き付けると。
「もう一度だけ訊くぞ。通信販売の相手を、購入先を教えろ」
最後通牒を突きつけたミコに、怯えたのか。
「そ、それは・・・このカタログに載っておる相手からじゃ!」
またもあっさりと答えやがる。
ドワールが取り出した分厚いカタログ。
そこには怪しげな広告が満載されているし、商品も・・・
「なんだよコレは?!どれもかしこも黒魔術用品ばかりじゃないか!」
人を惚れさせる呪い薬やら、呪い殺す人形とか・・・
「じゃから!それは魔王商会のカタログなんじゃ」
・・・あ、そういうこと?
・・・って?!
「魔王商会だぁっ?!なんだよそれは?」
思わず聞き咎めるミコに、ドワールの野郎が。
「なんじゃ?!そんなことも知らんのか?
黒魔術界じゃ有名な店じゃぞ?通信販売だけでなく手広く商いしておる」
・・・知りませんよそんな店があるなんて。
「それ、カタログの裏に所在が載っておるじゃろう?」
ひっくり返してみたら、言われた通りに書いてあった。
「なになに?エクセリア大字東・・・1番地の0・・・って。
そんな場所がある訳ないだろーがっ!」
番地がゼロ・・・って、存在しないじゃないか!
怒り狂うミコに、ドワールが首を振ると。
「また惚けおって。
魔王の番地などがある筈がないではないか!
これは飽く迄もエクセリアに存在する証しに過ぎんという意味じゃ。
魔王の居場所が判れば、誰彼と訪れてしまうじゃろうが!」
・・・確かにそうだと思う。
「愚かな腕自慢やら勇者気取りの輩がわんさと訪れる・・・営業妨害にも程があるぐらいにな」
・・・まぁ、そうなるな。
「それを防ぐ意味もあるんじゃろうて。
住所は未確認じゃが、ほれ。間違いなく通信販売は成立しておるんじゃぞ」
懐から取り出したドワールが、俺達に差し出したのは間違いなく魔王商会から買った石。
「そこに載っている宛先に依頼すれば、届くんじゃ。
先ず間違いなくその住所は存在しておる証じゃぞ?!」
・・・ゼロが有効だってか?
いや、その前に大字東ってどこだよ?
「ワイバーン運輸にでも訊いてみたらどうじゃ?
あそこなら大字東がどこなのかを知っておる筈じゃ」
なるほど、配達業者に問い合わせれば・・・って。
「そのワイバーン運輸って、どこにあるんだよ?」
そう。配達業者自体が謎じゃないか!
「知らんのか?お前達ギルドの子会社じゃろうが!」
・・・また。初耳ですけど?!
「リュート・・・もう良いかな?」
ミコが聞き飽きたのか、俺に言いやがった。
「「ああ、大体分かったからな」」
足を引き付けていたミコに促した。
「「やっちまえ」」
「なっ?!教えたら許してくれるんじゃなかったのか?!」
ドワールが恐怖に怯えて咎めて来やがったが。
「僕達は赦すけどね、死んだ人達は赦さないだろ?」
きっぱりと言い放ったミコが。
「だからさぁ、悪に加担した罪は重いんだよ」
キックのターゲットを見下ろして・・・
ドゲシッ!!
蹴りを噛ましてやったんだ。
「死ななかっただけで感謝して貰いたいもんだ」
翔龍に戻った俺が、気絶したドワールに言ってやった。
「だけど、暫くは臭い飯を食わなきゃならねぇよ?」
翔龍騎の奥義を見せられたドワールは、恐怖の内に気を失った。
頭部から僅かに外れた蹴りの衝撃波で、ダメージを喰らって気絶したようだ。
「リュート、これで良いかな?」
そこ等に会った魔法のロープでふん縛り、ミコが立ち上がると。
「後はサエぽん達に合流するだけだな」
専務を押さえに行った男の娘サエと、合流しようと俺を促したんだ。
「そうだな、それとギルドの方にも訊かなきゃならないだろ」
ドワールから聞いたのが正しければ、魔王の足取りを掴めるかもしれない。
「ワイバーン運輸か。
そんなのがギルドの子会社だなんて・・・今迄誰からも聞いた事なかったよな」
運送会社自体には文句を言うつもりはないけど、魔王商会については別だぜ。
「もしも魔王商会が、本当に魔王の手先なら。
僕達が向かう事の出来る唯一の手がかりだよね」
そう!そうなんだぜ!
魔王が<MIKO>だというドワールの言葉が真実なら、それを確かめなきゃならない。
「それと・・・なぜ魔王が商売なんかやってるのかも知らなきゃいけないだろ?」
魔王が商売するエクセリアって・・・どんだけ人間臭いんだよ。
「まぁ、それもこれも一杯調べなきゃならないって話だよな」
頷いた俺が、ミコを背に載せて。
「そうだよな!今回は外れナシってこと!
後は落とし前を専務やオーナーからせしめれば完遂!」
・・・やくざかよミコは。
言ってる事は危ないが、間違っちゃいねぇよな。
「それじゃぁ、その前に。
ニャタさん達を人間に戻してあげようか、ミレニア」
俺はついぞ忘れそうになっているミコに知らせたんだよ。
ついでに女神のミレニアにもね。
でもね、件の女神はこう言いやがったんだ!
「「ふぁ~っ?もう終わったの?もう本寝の時間だからぁ、お休みぃ」」
待て待て待て!
寝るんかぁ~いぃっ!
部屋の中では人間が群れていやがる。
女神のアンチョコにより、人の姿を取り戻したニャタさん達が・・・だ。
「うええぇっ・・・気持ち悪い・・・」
「おえぇ~っ、まだ吐き気がする」
文句言っちゃ罰が当たる・・・訳はないけど。
人間に戻す方法というモノを聞いた時はびっくりしたが、本当にこんな方法で元に戻るなんてなぁ。
「ニャタ大丈夫?」
リンさんがニャタさんの背中を摩っている・・・
「うえぇっ、胃の中が空っぽになったわ」
ニャタさんが呻いてる・・・仕方ないが。
「まさか、女神様にこんな方法で人に戻されるとは」
真っ青になってる人に戻ったニャタさんは、リンさんと同じ年くらいの女性だった。
さっきまでアンテッドコボルドのニャタさんだったのに・・・だぜ?
ピンク髪のニャタさんを介抱するリンさんが手の平くらいの女神を怯えるような顔で観て呟いた。
「まさか、胃の中にある宝石を吐き出せだなんて。
まさか鉱石油を呑ませるなんて・・・悪魔の所業じゃないの?」
そうなんだよ、ミレニアがやったのは魔法でヒマシ油を呑ませるという偉業?!
「ほぉーほほほっ!人間に戻れたんだから感謝しなさいよねぇ!」
そう言ったミレニアだが、部屋の惨状をどう思ってるのか。
群れ集った人達の痛い目が、ミレニアに冷や汗を掻かせていた。
「ともかく!僕達はあなた達に言っておきます。
もう二度と会社の命令だからって人間を捨てないでください・・・次は無いですからね!」
ミコがリンさん以外の人へ向けて言い放った。
「でないと・・・次に会ったら魔物として処分しちゃいますよ!」
そういうことだ。
人間辞めたら掃除の対象になるんだからな。
「それから!このブラックな企業に残るのも考え物ですから。
間も無く僕の連れが専務とオーナーを押さえに行く手筈です。
ボクも違約金を払って貰いに行きますから、どうなるかは知りませんよ」
掃除人としての契約を解除し、嘘をついて雇われたのだから。
ギルドに対しても違約金を払う義務があると仄めかしたんだが。
「もし・・・会社が潰れちゃったら給料は?」
そっちかい?!
「管財人に申し立てるしかないんじゃないのかなぁ?」
俺がきっぱりと会社が潰れると言い渡しておいたら。
どよめきが起きると思いきや・・・
「そうだ!集団訴訟に訴え出よう!」
なんだか盛り上がっておられるようで。
内部告発を集団で訴えると意気投合したようだ。
「まぁ、皆さんでよく考えて行動してくださいね」
あっけにとられたミコが匙を投げた。
「これだから社畜は怖いんだよねぇ。
いざとなったら集団で闘おうとするから・・・反旗を翻されたら会社も堪らないよねぇ」
確かに・・・そうかもしれんが。
その原因を造ったのは会社だろ?
「まぁ、僕達には関わり合いがないから」
ほっとくんかぁーい!
・・・仕方ないけどね。
「じゃぁリュート。ボク達もサエぽんに合流しよう!」
「んだな。違約金をせしめて、とっとと帰ろうぜ」
がやがや沸き返る経理部の部屋を後に、俺達はオーナーの居る別館に足を運んだんだ。
そこでサエが何をしていたのかを知る事になるんだが。
それは次回ってことで!
魔王の宝石が販売されてるなんて?
エクセリアは一体・・・・Orz
成宮りん様、ねこたまこと様。
ご出演ありがとうございましたー!今しばらく出演の機会がございます。
引き続いて・・・お願い申し上げしますぅ・・・
成宮りん様のページはこちら
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ねこた まこと様のページはこちら
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次回 ファイティング・スィーパーズ! 七話
サエはどこに居る?何をしている?・・・って?!またかよ・・・・




