白い巨塔はタピオカの味 八話
エクセリアにはまだまだ、良く解らない事があるようです。
闘い済んで・・・ミコは院長ミートに訊くのですが?
「魔物ベット君、しっかり捕まえておいてね?」
翔龍と分離したミコが、元の姿に戻って頼んでいる。
ー ううむ、言ってやった方が良いのか。このまま悦に見ていれば良いのやら?!
看護師服はマノアに因ってボロボロにされていたのだが、
思い出さないのかミコは平然とリュートに背を向けている。
破れてしまっている服のまま、狐モドキに無防備な後ろ姿を晒して。
ー うん、黙っておいても実害が無いし・・・ま、良いか!
鋼の状態から戻った狐モドキは、自己完結したようだ。
「で・・・?マノアは捕まえる事になったけど。
本来の目的である魔王の手下はどこに居るんだ?」
魔物ベットに拘束された、婦長として潜り込んでいたマノアを横目で見てから頭を捻ると。
「それだよ、リュート。
ボク達はその為にここに来たんだから。
魔王の情報が欲しいから、看護師に化けていたんだから」
「いや、看護師になってたのはミコだけだから。
俺は医師や看護師の中に居ると読んでたんだがなぁ?」
と言う訳で。
二人は部屋の外に居る3人に目を向けた。
そもそも、院長であるミートが怪しいと睨んでいる。
マノアは手下くらいにしか思っていなかった、最初から。
だけど、どうやら目論見は見当違いだったようなのだ。
魔王の手先は院長では無いと見た。
で?聞いてみることにした。
「隠れてないで話を聞かせて貰いましょうか?」
「そうそう!院長は何のために私服を肥やすような真似をしているんだ?
事と次第によっては、王国査察官に陳情するぞ?!」
看護師に化けて(?)内情を探っていたミコと、患者を装って金を出した狐モドキが詰問する。
部屋に入って来たのは院長ミートとカクさんスケさんの3人の取締役達。
「うむむ。先ずは婦長に化けた不埒モノを捉えてくれたことに感謝しよう。
君達には強請る気が無いと分ったが、目的はなんじゃ?
我々田舎の医院に何を求めにやって来たのじゃろうか?」
二人の若い医師を後ろに、院長のミートが訊き返して来た。
「それはね、この医院に魔王の手下が居るという情報を受けたからさ。
なんでも法外な医療費を求めているそうじゃないか・・・いいや、求めたよね?
その大金の使い道は?魔王軍の資金に使っているんじゃないのか?」
ミコがビシッとミートを指して咎め立てると。
「なんと無礼な!
このお方をどなたと心得る、畏れ多くも・・・」
スケさんがまたまた口上を足れるのを停めて、院長ミートが言い切ったのは。
「確かに魔王軍に組みしたのかもしれん。じゃが医者としての行いだと思って欲しいんじゃ」
医者として?!
それは一体どういうことなのか?
続けてミートは言うのには・・・
「儂はかねてより、人と魔物が共存する世界を夢見て来たのじゃよ。
人が医療を受けられるのに魔物は受けられない。
人は金を代価に医療を受けられるが、魔物は金銭を持たないから受けられない。
そんな差別が赦されるのか?
人だから、魔物だからといって、苦しい事には偽りがないというのにじゃ。
じゃから儂は人も魔物も同じように医療を受けれる、この医院を開設したのじゃ。
皆が平等に医療を受けれるようにと・・・願ったのじゃ」
なんと?!この狒々爺は神の如き博愛精神を持っていたというのか?
あまりの理想境発言に、ミコも俺も眼を丸くするだけで反論さえも忘れて聞き入った。
「しかしじゃ。
魔物は知っての通りお金という概念がない。
一部の魔物には金に執着する者が居るというが、殆どの魔物は金銭を持たない。
医療を受けたくても金が無いというだけで受けられない・・・貧しき人達と同じなのだ。
じゃから儂はこう考えたのじゃ、医療を施すにも薬剤を買わねばならん。
医療費を工面するには、一部の金持ちからせしめないとならんのだと。
特にアコギに儲ける商人や貴族、それに一部のハンターからのぅ」
魔物ハンターであるミコ達が、魔物を倒して生計を立てているのにも反発しているのか、
じろりと睨んだミートに気後れしてしまうミコだったが。
「魔物達を平等に扱うなんて・・・魔王軍に利する行為だとは思わないのか?
魔物は人を襲う獣だとは思わないんだね?」
倒して来た魔物との闘いの中で受けた疵を思い出したミコが、知らずの内に手を握り締める。
「人に害し、人を殺める者だと知っても・・・手を指し出すと言うんだね?」
俯いたミコがミートに問い質す。
「そうじゃ、喩え魔物と言えど苦しむ者に手を指し伸ばすのが悪いというのなら。
儂等医者は患者を見放す事になる・・・医者は務まらんと考えておるんじゃ」
きっぱりと持論を展開する院長に、翔龍騎が問う。
「滅ぼされる者にも手を指し伸ばせと。
苦しんでいる者には、人も魔物も無いと・・・そう言いたいんだね?」
「如何にも。エクセリアに住む者は皆平等であらねばならんのじゃ。
人が魔物を救い、魔物が人を襲わなくなれば。平和は必ず訪れる・・・筈じゃ」
院長ミートは言い切った。断言した!
「もう一つだけ。
この医院には魔物は来るけど暴れないのは?
本当に医療を受けたいと思ってやって来るんだね?」
「邪な魔物が来ても、直ぐに判るみたいじゃ。
ここには敵なんて居ないのじゃと・・・な。
自分達に仇名す人間なんて居ないのだと分ってくれるようじゃ」
ミコは握り締めていた手を解いた。
「そう・・・じゃあ、あの時ボクは敵意を剥き出しにしていたから。
アイツ等は酷い目に遭わせたってことなんだ・・・そうだったんだ。
女神ミレニアがチェンジしてくれなかったら、ボクは壊されていたんだから」
呟いたミコが、ふっと視線をリュートから逸らして。
「ミコ?!何の話だよ、今のは?」
狐モドキが不審そうにミコを見上げると。
「なんでもないよ、リュートは知らなくて良い話だから。
それより魔王の配下がどこに居るかだよ、今の院長が言ってたことから考えて。
どこにも気配を感じられなかったし、魔物だって大人しいし・・・無駄骨だったかなって?」
誤魔化す様に苦笑いを浮かべるミコが居る。
幼馴染である俺にも話辛い、何かを隠しているようだ。
しかも翔龍として行動を共にしていたのに・・・だ。
ー 何かがあったのは間違いないが。
俺に知られたら困るような事なのか?
いつか、ミレニアにでも問い質してやるか・・・
狐モドキは無理強いをしても答えないだろうと踏んで、搦手からの攻略を図ったのだ。
「それじゃー、ミート院長。
この医院には魔王の情報がないんですよね?
ボク達は魔王を倒さなきゃいけない訳があるんです。
魔王と呼ばれる者の存在を知らなきゃいけないんですけど・・・知らないですよね?」
先ずは無理だろうと思ったが。
無理を承知で訊いてみた・・・ら?!
「ああ。それなら
魔物達に訊いてみればどうじゃろうか?
もしかすれば何かの情報を持っているかも知れんぞ?
なにせここには翔龍騎までもがやってくるんじゃしな」
「なっ?!なんですとぉ?!」
当たって砕けろとは、良くいったモノだ。
というか、初めから訊いておいたらどうなんだよ?
「ど、どういうこと?魔王の居場所が判るの?」
「それも含めて。聞いてみれば良かろうに?
ここに入院しておる魔物は、皆協力的じゃぞ?」
・・・
・・・・・
「なんだってぇ?!」
顎が堕ちてる・・・ミコと狐モドキ。
「「呆れたわ・・・こんな事ってあるのよねぇ・・・・
私が言うのもなんだけど、神は居たようね。こんな田舎医院にも」」
ミコに宿るもう一つの存在。
女神ミレニアは神の存在を示しつつも、アンチョコ本を片手にタピオカラテを呑んでいた・・・
・・・タピオカラテだと?!けしからんっ!
田舎の医院に別れを告げたミコ達は、一路ギルドマスターの元へと戻っていく。
手にした情報を元に、新たなる旅路へ向かう為。
これから起きる魔王軍との戦いに想いを馳せつつ。
「でもぉ、リュートぉ。
今度も・・・儲けが消えちゃったねぇ・・・・」
「それは言わない約束でしょ・・・おっかさん・・・・」
しょげかえる二人の影がエクセリアの大地に伸びていた・・・
また・・・タダ働きでしたか?
NEXT Job こんてぃーにゅぅ
結局・・・魔王は解らずじまい。
手懸りはどこにあるのでしょう?
カクヨム版ではここで終わりでしたが・・・
本家<なろう>ではまだラストJOBが残っています。
次回 ファイティング・スィーパーズ! 壱話
おやまぁ、今度は掃除人?!どこを掃除するというんだ?
ここで次回からの特報ですっ!
いつもお世話になっている御両人に出演を依頼しました。
お二人供快諾して頂きました事を、心より感謝申し上げます!
さて?どなたなのでしょうか?
それは・・・まだ言えませんっ!アシカラズ




