白い巨塔はタピオカの味 七話
変身!
そうですっ、ミコは翔龍騎<ドラゴンライダー>なのです
いきなりだが、説明せねばなるまい!
ミコは白竜と女神ミレニアの力に因って変身出来るのだ。
鋼の魔法衣、ドラゴンライダースーツを纏える少女へと成れる。
それには幼馴染で白竜の力を宿すリュートが必要となる。
普段は金色の腕輪に宿る狐モドキでしかないが、ミコの求めで翔龍状態となる。
翔龍になった狐モドキのリュートの姿は、鋼の翔龍へと変わるのだ。
鋼鉄の躰、鋼の翼を持つ、龍と化す。
強大なる異能を身に纏い、主であるミコの身体を包み込む。
白竜と女神の力を宿した翔龍リュートが、ドラゴンライダーであるミコと一体化する時。
現れるのは鋼の魔法衣を纏う翔龍騎、白金のミコ。
リュートの意志を宿したヘッドギアを着け、ショルダーガードで防御する。
ナックルガードは岩をも砕き、両足に履かれたライダーブーツは鋼をも撃ち抜ける。
今、降臨したのは少女の姿を残す鋼の翔龍騎。
栗毛の髪を靡かせた、鋼の装備を身に纏う翔龍騎ミコの姿となったのだ。
「ボクをこの姿にしちゃったら、もうお終いだよ?」
びしっとマノアを指差し、口上を放つドラゴンライダーミコ。
「リュートに刃を放った罪、その身体で償って貰うからね?」
・・・おおっ?!ミコが狐モドキを想ったのか?
「それよりボクを裸同然にした罪・・・万死に値するから!」
・・・結局そっちかよ?!
構えるミコに、マノアはいとも簡単に。
「お終い?!子猫ちゃんがどうやって止めれるというのかしら?
私には次元回廊から出るメスがあるのよ?いくらでも湧いて出て来るのよね・・・コレ!」
再びマノアの手にはメスが数本現れる。
「じ、次元回廊だって?どこの世界なんだよ?!」
「・・・ここ」
びっくりするというよりは、呆れてしまう。
マノアの手術刀は、異次元から湧いて出るのか?
って、いうより。どんな異次元なんだよそこは?!
「ふっ!このマノア様が放つナイフから逃れられると思ったの子猫ちゃん?
切り刻んであげましょうか?それとも無残に裸を晒してみる?」
・・・それはナイスかも?!
「ミコ・・・ちょっとだけマノアのナイフ受けてみないか?」
・・・真に受けたか?狐モドキよ?!
「翔龍騎ミコがナイフ如きでどうにかなるなんて思われるのは癪だからさ」
・・・おおっ?!マジか?大丈夫なのか?
「リュート、危なくないの?怪我するのは嫌だからね?」
「まぁ・・・観ておけよ」
いや、見ておけってアンタ。危ないだろ?避けなきゃ刺さるんじゃねぇの?
「そのナイフが当てられるのなら、当ててみろって言ったんだ!」
おおっ?!避けるのか?避けきるって言ってるんだな?
ヘッドギアのリュートがぼそりとミコに言う。
「と、言う事で。ミコにはしっかりとナイフを避けて貰うからな」
「へっ?!ボクに避けろって?損なぁ?!無茶言わないでよ?」
・・・結局こうなるのか?
「なにをごちゃごちゃ言ってるのよ?
どっちでも良いじゃないっ、そぉーら、いくわよぉ?!」
ミコ達が内輪もめしている傍から、マノアがナイフを閃かせた。
シュンッ!!
一瞬で4本のナイフが飛んで来た。
ミコの胸を的にしたナイフが・・・4本も。
ー なる程ね。これが翔龍騎ミコの能力って訳か!
飛び来るナイフを観て呟けるほどの余裕を感じられた。
4本のナイフが切っ先を向けて飛んでくる・・・のが、スローモーションのように観えた。
ー これなら避けれる?いや、もしかしたら・・・
右手で掴んで観た。
一本一本を、確実に。
「これが翔龍騎の力って奴さ。
どうだい?これで分かっただろう、マノア!」
リュートに成り代わって、ミコが言い切った。
掴んだ4本のナイフを床に落としながら、余裕の笑みを浮かべる。
「なんだと?!信じられない?
子猫ちゃん如きに破れる筈が・・・無い筈」
自信満々だったマノアの顔から微笑みが消え、焦りが表に現れた。
「な、ならば!ここからが本番よ!乱れ撃ちを喰らってみなさい!」
構え直したマノアが再びナイフ投げを敢行しようとするのを停めるミコ。
「無駄だってば!ボクも知った処なんだけど。
マノアさんの動きは見切っているんだよね、だからもう辞めた方が良いよ?」
さっきまでとは正反対になった。
マノアが余裕をなくし、ミコが余裕の笑みを浮かべている。
ー 調子に乗ってるけど・・・まぁミコも判っているんだよな?
またまた説明せねばなるまい。
翔龍騎ミコには制限時間があったのだ!
変身を続けるには、相当の魔力が必要だった。
しかも、その魔力は宿る白竜と女神の状態により消費され、一定時間で消耗し尽くす。
つまり、魔力を無くしたミコの変身は解かれる事になる。
今日のミコは最初から魔力の消耗が激しかった。
残された制限時間は僅かに2分・・・・
「辞めろですって?!子猫の分際で命令するなんて!
けしからんっ娘だわね、ミコって!」
そう叫びつつもナイフで斬りかかるマノア。
「無駄だってば!この爆乳婦長っ!」
・・・それは言ったら駄目なやつですよ、ミコさん。
左手でナイフを振り払うマノア。
しっかりと観ていたミコが避けつつ、身体を沈ませる。
「はぁっ!」
一声吠える翔龍騎が、身体を捻ってナイフごとマノアの手を蹴り上げる。
半後ろ廻し蹴りとでも言おうか、捻った腰の力で突き上げた左足がナイフまでも吹き飛ばす。
「なんだ・・・と?!」
マノアは何が起きたのか観えなかったのだろう。
高速回転をかけたミコの身体が、続けて左空手チョップをマノアの胴体に打ち込んだ。
「ぼげっ?!」
めり込む手、胴体をくの字に曲げたマノアが堪らず噴き跳ぶ。
ドゴッ!
噴き跳んだ先にあった魔物ベットに突っ込んで意識を喪ってしまったようだ。
「あ~あっ、だから言わんこっちゃない!」
「ミコ・・・お前って情け容赦ないな相変わらず・・・」
ヘッドギアから言われても、ミコは気にもせず。
「勝利!ヴぃ!!」
勝利ポーズを決めているのだった・・・・
・・・ホント容赦ないな・・・(怖い)
あっさりって、イワナイデ。
ダッテ・・・翔龍騎なんだもん。
生身の人間に勝てる訳無いから・・・
で?!
ミコさん?リュート君?!
依頼は完了したの?
次回 白い巨塔はタピオカの味 8話
いよいよ次回でお終い?!いいえ、カクヨムとは違うのだよ!




