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白い巨塔はタピオカの味 伍話

マノアは何を探っている?

マノアは何を狙う?


マノアは・・・巨乳・・・・・?!

看護師長は仮の姿。


潜入捜査も早いモノで半年を越えていた。


「あの子が来て、やっと尻尾を掴むチャンスが訪れたわ」


くるくると奔り回るミコを眺めて、マロンデッシュを頬張る。


「あの子の目的が何であれ、院長のミートミツクリが尻尾を晒すのは時間の問題。

 私はその瞬間を捉えて、動かぬ証拠とするだけ・・・」


クロワッサン生地を平らげ、看護師長が嗤う。


「ミコの目的が私と同じではないのを祈るだけ。

 もし、同業者だったら・・・手柄を取られる前に始末するだけ・・・」


歪めた口元から零れるのは。


「この病院の売上って、私を満足させてくれるかしら・・・ね?」


看護師長マノアの狙いとは、果たして?







「ミコぉ、もうやめてくれよぉ?」


情けない声で狐モドキが頼んで来る。


「そんな事言ったって。毎回すっとぼけてはおけないだろ?」


看護師のミコを見上げて目を瞑る狐モドキの幼馴染リュート


「それじゃーぁ、いくからね?」


「逝くのはいやだなぁ・・・・」


狐モドキの身体を押さえて、ミコが体温計を構える。


「はい、あ~ンっ!」


促されたリュートが怯えながら口を開け・・・



  ズボッ!



「げぼぉっ?!」


体内に水銀の体温計が突き立った。

・・・かわいそうに・・・


「はいっ!今日はおりこうさんでした!」


数分の後、ミコが検温を終えて愁眉を開いた時には。


「げほっごほっ!なじぇ、胃の中迄突っ込まれなきゃならんのだ?!」


息も絶え絶えのリュートがむせび泣く。


「そりゃーリュートが魔法生物だからじゃない?

 マノア看護師長がそう言ってたもん、魔法生物の体温は身体の芯で測らなきゃいけないんだって!」


だからって、胃の中迄突き刺すのか?


「看護師長は口が駄目なら下の方から突っ込んでも良いって言ってたんだぞ?

 それでも良かったのリュートは?嫌だろ、ボクも嫌だし」


・・・想像するだけで失神するわ!


「はぅ?!」


想像してしまったようだな。気絶したリュートのヤツは・・・


「あ。また気絶したの?じゃぁ、集中治療室に運ぶよ?」


失神した狐モドキをわざわざ移動式寝台に放りつけ、さっさと寝台車を治療室へと転がしていくミコ。


「そろそろだと、思うんだけどな?どう思うミレニアさん?」


躰に宿った女神ミレニアに様子を訊ねる。


「「あー、退屈だった。そうね、私の見た所も同じよ。きっとあっちから正体を現すと思うわ」」


女神は警告とも報告ともとれる言い方で教えて来た。


「そっか、じゃあリュートには犠牲になって貰わなきゃな」


ミコは細く笑んで狐モドキを見詰めるのだった。


・・・え?!リュートを犠牲に??





俺が目を覚ますと、身体がベットに立てられていた。

両手両足を括られた状態で。


「ああ、魔法のベットさんか。いつもありがとうね」


狐モドキが謝意を告げると、ベットから延びたモフモフの毛がフリフリと揺れる。


「いやいや。本当の事だから。感謝するよ」


ベットに立てられたままで、リュートが話していると。



「この狐モドキなVIP様ですよ院長」


二人の医者に付き添われた院長が部屋に入って来た。



「彼はこちらの請求金額を全て呑まれておられます。

 我々には神様のようなお方でありますよ」


スケーッさんと呼ばれた医者が教えると、ミートミツクリ院長は深々と頷く。


「こういう大金持ちがもっと来てくれれば、診療代に悩まずとも済むのですが」


カクさんと呼ばれた医者が、院長に耳打つ。


「そうですじゃ!もっと高額請求を鵜呑みする金持ちを、入院させなければいけないのぅ」


院長のミートミツクリが尤もだと言わんばかりに笑う。



<やはり、医院そのもので仕組んでいたか?>


悪いうわさが広まっている医院の実態を観た気がした。

こいつ等は高額な請求を飲ませ、暴利を貪っているらしい。


<後は証拠を集めるだけだな・・・>


それは自分に出された診療請求書を確認すれば出来ると思う。


<それと、高額診療がなぜ金持ちだけに行われているのか。

 暴利を貪ったうえに、どこで使われたのかも調べないとな>


医者達が呟いているのを聞こえないふりをして、俺は考えたんだ。



「そーか!お前達は金持ちからふんだくって私利私欲に奔っているんだな!」


折角狐モドキが聞き耳を立てているというのに、大声で叫ぶ者が。


「私利私欲の為に患者から金をむしり取るなんて!

 医者の風上にも置けない奴等だな!」


・・・あーっ?!そこまで言っちゃうの?!


「馬鹿!ミコっ、まだ早いって!」


・・・ああ、リュート。それを言っちゃあ、お終いだよ?


「なんだお前達は?!我々が何をしたって言い張るんだ?!」


惚けたのか、カクさんが言い返して来る。


「惚けても駄目だよ!今言ってたじゃないか。

 高額請求をしているって、金持ちの患者からむしり取っているって!」


ミコが指先を突き付けて、真っ向から言い放った。


「人聞きの悪い事を言うな。

 我々は必要な者から高度な医療を行い、払ってくれる者から頂いているだけだ。

 誰にも文句を言われる謂れは無いぞ!」


スケーッさんも、真っ向から言い返して来る。


「ほらみろ!やっぱりむしり取っているんじゃないか!

 その金を懐に入れて、何に使ってるんだよ?!」


疑いの目でしか観ていないミコが、真相を迫り、


「私利私欲の為、罪なき人からむしり取った罪は重いぞ!」


院長に向けてびしりと言い切った。


「確かに我々は高額な医療費を請求しているのじゃ。

 じゃがのぅ、それには訳があるということなのよねぇ・・・」


年寄かニューハーフか判らない言葉使いの院長がポツリと話した。


「あなたってもしかして王国の捜査官か、なにかなのぉ?

 バレちゃったものはしょうがないけどぉ、黙っててくれなかのぅ?」


・・・なんか思いっきり勘違いされてるが?


「そうじゃ、あんたが捜査官なら。給料を倍にしてもいいんだぎゃ!」


・・・どこの方言だよ?


ミコと対峙する院長が提案して来る。


「そんなので釣られませんから。それにボクは捜査官とかじゃないから!」


それに看護師でもないと。

言う前に・・・


「捜査官だったら、あなた達のうわまえ分をそっくり払って貰えるのかしら?」


もう一人が部屋の中に入って来た。


「きっと素晴らしい金額を貯め込んでいるのよねぇ?」


看護師長マノアが、見下すように3人の医師に言い放つ。


「私が福祉医療省の内偵だと知ったら、どうするのかしらねぇ?」


マノアは着ていた看護師服をバッと脱ぎ去った。


「おおっ?!」


看護師服の下から現れたのは・・・


「私は内偵官のマノア。人呼んで<パイーンツのマノア>!」


黒のレオタードに身を包んだ、スーパーボデコン娘が嘲笑っていた。


挿絵(By みてみん)



・・・なんだと?!不埒すぎる!!いや、けっこう・・・



気絶しまくりのリュート。

まぁ、相手が悪かったと諦めるんだな。


しかし、ミコみたいな看護師には出遭いたくないな・・・



次回 白い巨塔はタピオカの味 六話

遂に牙をむくナイフ使いマノア!狙う歯病院の闇金?!

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