異世界の青の少女
目が覚めて、白い天井が目に入る。
夢をみていた。
悲しい夢を。
"私"の好きな人達が皆泣いて、苦しんでいる夢。
その人達が誰だったかは覚えていない。
"私"の名前も。
覚えているのは森と、泣いていた男の子、
そして、私にそっくりな、
赤いずきんをかぶった"私"。
あの"私"は光に包まれ何かを呟いていた。
あれは何を言っていたのだろう。
あの夢はなんだろう。
そんな目覚めの悪い朝からこの土地での3日目は始まった。
その日、私にこの世界について教えてくれる人と初めて会った。
「初めまして。ルライラック・トゥエニハと申します」
その人は18くらいの青の髪の可愛い人だった。
「初めまして。カエデです。よろしくお願いします。」
その後メイドさんがその人のことを説明して部屋から出ていき、2人になった。
この人はレンハム家の分家の人だそうだ。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
しばらく沈黙だった。
「「あの、」」
そして、ハモった。
私は表情を変えなかったが、ルライラックさんはきょとんとした顔をした後笑った。
かわいい。
「そちらからどうぞ」
「あ、はい。」
ルライラックさんは少しの間難しい顔をして考えると、
「あの、カエデちゃんって呼んで良いですか?」
と言った。
私は目が点になる。
「別にいいですけど」
とりあえずそう答えるとルライラックさんは
パァァっと顔を輝かせた。
うん。かわいい。
「だったら、敬語じゃなくて普通のしゃべり方にしませんか?
私のこともライラって呼んでください。
あ、カエデちゃんがよかったらですけど・・・」
「うん。わかった」
「ほんと?!良かった〜敬語ってあまり好きじゃないの」
「まあ、好きって言う人はあまりいないだろうね」
「そうだよね!そう思うよね!あ、そうだ、カエデちゃんがさっき言いかけたのは?」
「あ、ええと私のことなんて説明されたのかなって・・・」
「ん?ええとね、事故にあって記憶喪失になったって」
「・・・」
なるほど、確かにそうした方が良いだろう。
「でもね、優しい良い子だって」
「・・・へー」
多分今、顔赤いと思う。
普段誉められないから。
「それでね、私、話してみたいな、って思ったの。」
ライはふふっと笑う。
よく笑う子だな。
かわいい。
「ねえ、カエデちゃん、私と友達になってくれない?」
「・・・」
「カエデちゃん?」
「あ、いや、そんな事言われたの久しぶりで、
それに、う、嬉しい」
「そう?良かったー。」