番外編 ライラとシューキの出会い
シューキsideです。
しばらく更新しないですみませんでした。
言い訳をすると、学校で忙しかったからです。
ほんとごめんなさい。
その日は9年前の、とても暑い夏の日だった。
じりじりと照りつける日差し。
そんな中で遊んでいる子供達。
俺はその様子を窓辺から見ていた。
「シューキも遊ぼうよ!」
女の子が外から誘ってきた。
この子はたしかリンシュル。
多分俺より少し年上の7、8才頃。
1人でいる俺を心配して誘ってくれているのだろう。
誘いはありがたいが、俺は他の子供達みたいに走り回りたいとは思わない。
それより本を読んでいたい。
本はここにはあまりなかったが、領主様が町で
寄付してくれるのを募集したらしい。
そのおかげで今までなかったものがたくさん来た。
それは本だけでなく、服、紙、小物などたくさん。
今まで見たことない物の山に思わずはしゃいでしまった。
「ごめん。また今度」
笑顔を浮かべ、優しく返す。
こうすればだいたいどうにかなる。
「でも、運動もしないと体に悪いよ?」
しかし、この子は引いてくれなかった。
「今は本を読んでいたいから」
「本は後でも読めるでしょ、遊ぼうよ」
「また今度ね」
「今度っていつ?」
「うーん・・・いつかね」
「今日は天気も良いよ」
「暑いのは好きじゃないから」
「じゃあ、涼しい日に遊ぼう」
しつこい。
言っていることはたしかに正しいが、俺は遊びたくない。
さっさと諦めてくれれば良いのに。
嫌だって言っているのが分からないのか?
「まあ、いつかね」
心の中の言葉を押し込み、笑顔を作る。
リンシュルはむっとすねた顔になった。
あ、やばいかも。
「良いからほら!あそぼ!」
なんでそんなに遊びたがるんだよ・・・。
「リンシュル、どうしたの?」
他の数人の女子がくる。
「シューキに遊ぼうって誘ったのに遊んでくれな
いの」
「えー?シューキ、遊んであげなよ」
「なんで断るの?」
女子ってなんで数人で1人を責めるんだろう。
しかも、こっちの話を聞かないし。
「今は本を読んでいたいから」
「後でもできるでしょ?」
「遊びなよ」
だから今読みたいんだって。
良いから君達だけで遊んできなよ。
そう言おうと思った言葉はもうひとつの声で引っ込んだ。
「どうしたのですか?」
「院長先生」
優しそうなお婆さん、院長先生が介入した。
「シューキに遊ぼうって言っているのに遊んでくれないんです。」
俺が悪者みたいな言い方しているけど被害者俺だからね?
「おや、そうなのですか。
シューキ、なぜあそんであげないのです?」
「今は本を読みたいんです」
今までの会話だけで3回くらい言っている。
「ほう、本を読むのは良いことです。
あなた達、今日は諦めなさい」
「・・・はい」
リンシュルは不満そうな顔をして頷く。
「シューキ、少し時間を頂いて良いですか?
話したいことがあるのですが・・・」
「はい」
院長先生からの話なら仕方ない。
本を閉じて院長室へ一緒に行く。
「何の話ですか?」
「行けば分かりますよ。
ああ、そこのボタンきちんと止めなさい」
「はい」
外れていた1番上のボタンを止める。
行けば分かる、身なりをきちんとするということは引き取り手の話だろうか。
少なくとも誰かしらには会うのだろう。
トントン
「連れて参りました」
院長先生がノックをして入る。
俺も続けて入るとそこには老人がいた。
服が上等そうなので裕福な家の方なのだろう。
「その子が?」
「はい。
シューキ、こちらの方は前領主様ですよ」
「前領主様?」
なんでそんな偉い方がここに?
「私はエアド・レンハムという。
よろしく」
「シューキです、よろしくお願いします」
握手を求められたので、笑顔を作り、手を出して応じる。
「さて、早速本題に入ろう」
いきなりか。
まあ、この人は忙しいのだろう。
それにしてもこの方は何の用でここへ来たんだ?
まさかここから養子をとるわけではないだろうし、前領主様なら使用人も足りているだろう。
孤児院のことについて話し合うため?
でも、それなら俺を呼ばない。
いったい何のためにここに?
「単刀直入に言うと、我が孫娘の友達になって
やってほしい」
「・・・はい?」
前領主様の孫娘?
あの魔女候補の?
その友達に?
「我が孫娘は魔女候補だろう?
そのためか友達がいないのだ。
孫娘が友達がほしいとねだってきた。
だからここに来て、君を引き取ろうということだ」
なるほど。
魔女候補様は友達がほしくて、その友達に
俺がなれと。
・・・なんで?
友達になるためなら俺以外でも言いんじゃないの?
魔女候補様って女の子なんだし、それこそリンシュルとか。
「あの、なんで俺なんですか?」
俺が聞くと前領主様は難しい顔をした。
眉を寄せていて、つり目なので怖い顔になっている。
「・・・ここはレンハム家が管理しているのを
知っているか?」
「はい」
ここは、というより領地内の孤児院は領主家が管理している。
「私は孤児院に何か問題や変わったことがあれば
言うように言っている」
問題や変わったこと?
それが何か関係あるのか?
「・・・あ」
あぁ~、大いに関係あった。
そういえばそうか。
それなら納得がいく。
「気付いたか?」
「はい。・・・ステータスですよね」
ステータス。
それは自分の魔力や使える魔法、スキル等を示すものだ。
この国では5才になると魔法鑑定をする。
貴族様は個人だが、平民は領地の魔法鑑定を受ける子供を集めて一気に鑑定する。
魔法鑑定を受ければどこでもステータスを見れるようになる。
俺も今年の誕生日に魔法鑑定をしたんだが、
少し・・・いや、かなり異常があった。
白いページに手を置いた途端、緑の光が輝いたのだ。
白い光以外が輝いたのはこれまで一度もなかったらしい。
その場にいた人が皆驚いた。
中には怯えている人もいた。
しかも、内容も異常だった。
どんな内容かというと、
シューキ
人間
レベル35
称号:リンハイムの孤児
魔力:300000
使用可能魔法:風属性魔法レベル3
水属性魔法レベル5
土属性魔法レベル6
光属性魔法レベル1
結界魔法レベル2
身体強化レベル2
スキル:幻術スキル
レベル4
掃除スキル
レベル2
学力
レベル1
こういう感じだ。
自分でも見た時に驚いた。
5才なのに大人も驚くような珍しい、高レベルな魔法が使用できるなんて。
「そうだ。
だから君になったんだ」
領主様は頷く。
院長先生は少し不安そうな顔だ。
俺のこれからの生活を心配しているのかもしれない。
「君のことは使用人として引き取る。
孫娘の話し相手という感じだ」
使用人として。
でも、話し相手ということは仕事という仕事をしなくて良い。
かなり良い条件だ。
「どうだ?引き受けてくれるか?」
「はい。もちろん」
リンシュルの時と同じように笑顔を作る。
身分的に断るなんてできないし、なるべくにこやかにしておいた方が良いだろう。
「そうか。では、早速手続きを」
「はい」
前領主様がほっとした顔でそう言うと、
院長先生といくつかの紙を持って話をする。
「シューキ、引き取られる日にちに希望はありますか?」
「いえ、特には」
「なら、あなたは1週間後、前領主様のお屋敷に引き取られるとこになります。
あとはこちらでの話だけですので戻って良い
ですよ」
「はい」
「あ、そうそう」
戻ろうとドアの方を向くと、院長先生の声に
引き止められる。
「リンシュルとも、遊んでおやりなさい。
最後なのですから」
「・・・はい」
正直気は進まないけど。
ここにいられるのも最後だと思うとまあ、良いだろうという気になる。
この孤児院は拾われてからの2年間、物心ついた頃から暮らした俺にとっての家だ。
最後の思い出づくりでもしようかな。
この1週間くらいは皆と一緒に走り回ろう。
1週間後、俺は前領主様の孫娘に会い、非常に驚くのだが、それはまた今度。




