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夢色はモノトーン   作者: 文月 彩楽
4/6

act4 美夕(みゆう)はいつでもバクを追う

りさ達が帰る時、今日もあの公園に寄り道する事にした。

純和じゅんな永愛とわに教えてあげたい事があるのだ。

永愛とわさーん!

もしかしたら、永愛とわさんの願いが叶うかもしれない‼︎」

「えっ⁈ どういうこと?」

「今、うちの学校で話題になってる“怖い”チェーンメールがあって、“式神”っていうんだけどね。 その内容が、


このメールを受け取った人は、☆時間以内に¥人に同じメールを回して下さい。

もし果たされなかったら、このメールの発信者の式神があなたの元に訪れます。

そして、あなたの身体のどこかをいただきます。


っていうすごい怖い内容なの。この式神になりきって、誰かを怖がらせてみたら?」

「えっ?永愛とわさんの願いって、誰かに怖がってもらう事だったの?」

「うん。そう。前話さなかったっけ?」

「聞いたけどなんか実感なくて…(こんな感じのいい人怖がってもらうなんて…)」

「2人ともありがとう。あ、それより、みかちゃんが向こうで待ってるっぽいわよ。行ったげなさい。私もここから動けない訳でもないんだし。」

「えっ、あ、そうですか。わかりました。ありがとうごさいます」

公園を後にして、りさと純和じゅんなは高架下の脇道を通って行った。


しばらく行くと、高架下の柱の根元の部分に寄りかかって座って本を読んでいる少女が見えてきた。

「みかちゃーん。おーい」

「あ、純和じゅんなさん、りささん」

みかはりさや純和じゅんなに話があるそうだ。

「実は、私、最近ケータイ買ったんです。 メルアドも作ったので、今度交換しませんか?」

「あ、うん! もちろん!」

「交換しよう!」

「じゃあ、私達これで。帰るね」

「あのっ… ちょっと待っていただけませんか?」

「え? うん。いいよ。」

「実は…ほんとに内緒なんですけど、」

みかは周りを見渡して、声をひそめる。

「私、実はロボットなんです。」

「ん?」

今日はエイプリルフールではないけど…? どっちにしろみかは面白い嘘をつこうとするタイプではない。

「私は今年の2月あたりに 意識を持ったんです。誰が私を作ったか分からないし、私が生活するためのお金も誰が出してくれているのか分かりません。

目覚めた時には 基本的な生活の知識は すでにプログラミングされていて、銀行のお金の引き出し方も 後からデータが送られてきました。

私の周りにあったのは、電子書籍が読めるタブレットと、可愛いメス猫2匹でした。」

「…。」

2人は絶句してしまった。知り合って間もない、可愛い容姿をしたこの少女が、いきなり“自分はロボットだ”といってくるなんて。

今までは みかの内気で穏やかな面しか見えなかったが、実は みかは そういう性格ではなかったのかもしれない。


みか としては永愛とわからもらった勇気を 気が変わって もやもやした毎日がまた続く未来になる前に、使ってしまおう と思って告白したのだが、やはり言わなくてよかったかもしれない。


…しばらくの間 その場を沈黙が支配した。


「…、本当なの? みかちゃん。」

「…。はい。」

それを破ったのは純和じゅんなだった。


「キャハハハッ あ、やっほ〜‼︎ 純和じゅんな! 何やってんの? あれ? りさまで!」

部活帰りの友達たちが騒ぎながらこっちへむかってくる。

「やっほ、うん、ちょっとね。」

「じゃあね。また会おうね」

それだけ言って、人の波の中に飛び込んでいく りさと純和じゅんなをみて、みかはやっぱり2人は自分と違って、2人に 自分がロボットだという事を言うのは、もう少し先でも良かったような気がしてきた。


☆*☆*☆*☆*☆*☆*☆*☆*☆*☆*☆*


「トレゾワ! いい加減に止まるよろし!」

純和じゅんなたちと別れ、自分のマンションのサブエントランス(純和のマンションのエントランスと向かい側にあるので、登下校の時 都合がいいのだ。)には、聞き覚えのある 甲高い声が響いていた。

「あの…、ごめんね 美夕みゆう これって夢なわけ?」

夢使いの美夕みゆうがいると言う事は、これは夢なのだろうか? みかが言っていた事も…。

「あっ、りさ! トレゾワを捕まえるの 手伝うよろし!」

「えっ、」

そんな事言われても、今はあの時のストラップも持ってな…

「これを使うよろし!」

美夕みゆうが投げてきたのは、手作りなのか 多少歪んだドリームキャッチャーだった。

手にそれをかかげ、とびっきりの優しい声で、

「こっちへ おいで。」

とトレゾワに語りかける。

この前と全く同じだった。 荒ぶるバクはりさの声に振り向き、突進してきたところを美夕みゆうが捕まえる。

「りさがいてくれて よかたある。 ありがとね!」

「ううん。大丈夫。」

少しの間「このドリームキャッチャー手作りなの?」とか、「りさを真似しようとして作ったけど、最初のうちしかうまくいかなかたね。」とか雑談していたが、りさは はっとして本当に聞きたかった事を口走った。

「ねぇ、これって夢なの?」

「え? ここは地球 満月の世界軸。りさのあるべき現実世界ね。」

「じゃあ、なんで あなたが見えるの? 夢使いは現実に出てくる事もできるの?」

「あ、そういえば そうあるな。夢使いは基本的には人や動植物の夢の中にいるけど、どんな空間でも移動出来るし、バクを追ってて亜空間やら別の世界軸やら、色々通る事があるね。

普通 現実とされる世界では 人間には見えないはずあるが… りさ、なぜワタシの事見える?」

「そうだよね… 私もそこを聞きたいんだよ。 特に霊感とか第六感もなさそうだし…」

「分かりかねんあるな。」

まぁ、今 美夕みゆうが見えている事は事実だし、自分の中に何か眠れる力があるとしても、それは 自分が選ばれて授かった力だと思うから、その時はその時だ。

「じゃあ、何か夢に関する悩みがあったら夢の中で呼ぶよろし。またね」

「あ、まって。 今、聞きたい事があるんだけど…」

「何あるか?」

「自分の夢の事じゃないんだけど…

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