act1 出会い
群像劇を書いてみたくて書きました。
作者が中学生なので、まだまだな所が多いと思いますが、どうか暖かい目で見守ってください。
とある年の5月。ゴールデンウィークもとうとう最終日で、新幹線もほぼ満席だ。
朝の6時から夜の12時まで休む事なく いとこ達に引きずり回された3日間を思い出しながら、窓側の席に座った少女はうたたねをはじめた。
– 彼女の名前は 雨森 りさ (あまもり りさ)
ふと目がさめると、目の前をピンク色の影がよぎった。りさ は無意識に そのピンク色の物体を目で追う。動きが速くてよくわからないが、形はアリクイのような気がする。
すると、
「トレゾワ! 待つよろしっ!」
と、なぜか昔の中国人のような口調の かん高い声が聞こえてきた。
–オレンジ色のチャイナシャツと クリーム色のズボンを身につけた、小学4年生くらいの女の子だ。
月の上を歩くかのように ふわふわとジャンプを繰り返しながら、車内を素早く飛び回るアリクイを追いかけているように見える。
最初は ぼうっ と追いかけっこを見つめていただけだったが、もう何十分も行ったり来たりしているのを見ていると、なんだか女の子がかわいそうになってきて、自分も何か手伝えないかと思った。
すかさず辺りを見回すと、リュックに付いている ドリームキャッチャー のストラップが目に入った。 急いでストラップを取り、それをかかげて、
「こっちにおいで!」
と叫ぶ。
なぜこのストラップなのか自分も分からないが、少しでも女の子の役に立ちたい。
アリクイは、くるっ とりさの方に向きを変え、突進してきた。 それに気付いた女の子はりさの前にジャンプして、みごとアリクイを捕まえた。そして、りさに向き直った。
「トレゾワを引きつけてくれて、大感謝‼︎
ワタシ、夢使いの美夕ね。
みゆと呼んでもいいある。
これはパートナーのバクで、トレゾワね」
「こんにちは。この子トレゾワって言うんだね。私は 雨森りさって名前なんだ。」
そこで新幹線の到着のメロディが流れ、本当に目が覚めた。
新幹線を降りた後も、新幹線の中に美夕のかげを見た気がする。
こんにちは。私、佐咲みかっていいます。
ちょっと古めのアパートで2匹の猫と一緒に暮らしている人型ロボットです。
誰が私を作ったかは不明です。生活をするためのお金も誰が出してくれているのか分かりません。不安だらけの毎日です。
ですが、ありとあらゆる本を読みあさる生活というのも、悪くないな、と思うんです。
本屋さんで買ってくる本もあれば、電子書籍の本もあります。
私と同い年くらいの女の子達は、中学校って所に通って、友達と一緒に勉強したり、おしゃべりしたり、部活っていうスポーツや手芸などの文化に触れながら、青春という時期を過ごすらしいけど、今のところ興味はないです。
あたし、水沢 純和。I LOVE CATな中学1年生!
まったく、ゴールデンウィークは、最終日まで家でまったりしたかったのに、お使いを頼まれて外に出なきゃいけなくなっちゃった。
あゝ、あたしの愛しい飼い猫モモちゃん! あたしが帰るまでご飯食べちゃダメよ!
心の中であれこれ モモへの想いを語っていたら、大きい荷物をそれぞれかかえた、りさとその両親が歩いてくるのが見えた。
「やっほー‼︎りさ。今、旅行の帰り?」
「うん。そっちはお使い?」
「まあね。じゃ、バイバイ」
「またね。」
実は、あたしとりさは小学校から知り合いで、マンションが隣だから毎日一緒に登校してるの。で、中学でのクラスも隣なんだ。
お使いがすんで、辺りも薄暗くなってきたから、ちょっと近道して近所の公園を通ったの。そしたら、
「ちょっと、いいかしら」
って声をかけられて、振り向いたら、あたしの中学校の制服を着た、あたしより年上の女の子が。黒髪ストレートの美人で感じのいい人っぽかった。
「はい。なんでしょう。」
「あなた、私の事が見えるのねっ!」
「…はあ…?」
勝手に感激するお姉さん。
話を聞いていくと、(勝手にペラペラ喋り出した事は、ご本人の名誉のために話さないわ!)お姉さんの名前は 玉村永愛さん。
去年の夏、部活の合宿の肝試しお化け役に立候補し、当日に向けて試行錯誤しながら準備するのが楽しかったそう。でも、当日は体調不良で肝試しに参加できず、無念でこっそり会場に向かおうとしたところ、道に迷った上、周りがよく見えなくて崖に気付かず、そのまま。ーーという事らしいの。
「全て私の不注意のせいだという事はよく分かっているわ。…でも、少しだけ、少しだけ誰かに…怖がってほしくて…。」
「あぁ。その雰囲気だと怖がってもらうのは難しそうですね。」