変化勝負
頭に葉っぱを乗せた子ダヌキと子ギツネが変化勝負をしている。
「じゃあ、僕からいくよ。」
「えい。」と人間の姿に変化してみせた子ギツネ。見事なもので、それはどこから見ても人間であった。
「どんなもんだい。」
と得意気。
「凄いや。でも僕も負けないよ。」
今度は子ダヌキが「それ。」と人間の姿に変化する。その姿を見て、子ギツネが言った。
「この勝負は僕の勝ちだね。」
「何でさ?」
「だって尻尾が見えてるもん。」
見ればなるほど、お尻の辺りからひょっこりタヌキの尻尾が出ている。
「もっかい、それ。」
と子ダヌキは変化するが、何度やっても結果は同じだった。
「あれれ、おかしいなあ。」
元の姿に戻った子ダヌキの頭を見た子ギツネは、変化に失敗した理由を教えてあげた。
「タヌキくんの頭に乗せてる葉っぱ、枯れ葉だよ。」
二匹は顔を見合わせ笑った。