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愛澤春樹に平凡な日常は訪れない。  作者: 山本正純
前編 愛澤春樹の会合
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第六話 集合

 日向沙織が暗号メールに目を通していると愛澤のヤンボルギーニ・ガヤンドがコンビニの駐車場から発信する。

 ジョニーは慌ててポルシェ・ボクスターのハンドルを握るが、日向沙織は彼の腕を掴む。

「待ってください。追跡は止めてください。ここは暗号を解読して先回りした方が良いと思います」

「だが俺には分からない。暗号が数字とアルファベットで構成されているのは分かるが」

「それと暗号の最初の文字が0から始まっているのも分かりますよね。それと暗号に三回0Dという文字が出てくるのも気になります」

「それならアルファベットがABCDEしかないのもおかしい」

 

 ジョニーと日向沙織がコンビニの駐車場に停車した自動車の中で唸っている頃イタリアンレストランディーノに七人の男女が集まった。

 黒い短髪。黒いスーツにサングラスをかけた四人の男。ネクタイの色以外が同じ格好。この男たちはテロ組織『退屈な天使たち』の幹部ウリエルの護衛部隊『鴉』のメンバーである。

 同じスーツに身を包んだ四人の男がテーブルを囲む。レストランのカウンター席には三人の男女が座っている。

 黒い髪を肩の高さまで伸ばして後ろ髪をポニーテールに結った低身長の女。その女は黒いスーツに身を包んでいる。この女の名前は宮本栞。組織ではウリエルと呼ばれている組織の活動資金を稼ぐ女だ。

 ウリエルの隣には白いワイシャツの上に青色のセーターを着た長髪の女が座っている。

 女の名前は江角千穂。ハニエルというコードネームを持つ彼女は組織では主に情報収集を担当している。

 ハニエルは隣に座るウリエルに話しかける。

「先程ラグエルさんからは会議を欠席するって連絡が来ましたよね。会議の進行は鴉のピンクネクタイに任せるって」

「ピンクネクタイ進行の作戦会議は半年ぶりです。だから彼に任せても大丈夫だと思ったのでしょう。作戦の資料はサマエルのタブレットに送ると言っていました。そこから組織が給付したタブレット端末に資料が配布されるはずです。そうじゃなかったらイジメですよ。私は未だにガラケーだから資料が見られないから」

 

 二人が会話を楽しんでいるとハニエルの隣に座った茶髪に赤い眼鏡をかけている痩せ型の男がぶっきらぼうに声をあげる。

「何やねん。ピンクネクタイって。もっとマシなコードネームはないんかい」

 男が関西弁でウリエルたちに聞くと厨房からコック帽を被った中肉中背の男が笑いながら現れた。

「サラフィエル。コードネームがないから適当にピンクネクタイと呼んでいる。識別する手がかりといえばネクタイの色と口調。スペック。以上三種類しかない。声質も似ているから声だけでは判別不可能」

 シェフにコードネームを呼ばれ男はコップに注がれた水を一口飲む。

 関西弁の男のコードネームはサラフィエル。本名東條清太郎。ウリエルから受け取った活動資金で爆弾や拳銃などのテロ活動に必要な物品を密輸する取引のエキスパート。

 一方コック帽を被っている男の名前は板利明。イタリアンレストランディーノのシェフで組織ではサマエルと呼ばれている。ハッキングを駆使してメンバーたちをサポートする。


 八人の男女がレミエルの到着を待っているとウリエルの携帯電話が鳴る。ウリエルが携帯電話を開くとメールの差出人がラグエルであることが分かった。

 ウリエルはメールを隣に座るハニエルに見せる。

「ラグエルからです。暇つぶしになりますよ」

 ハニエルはラグエルから送られたメールを読む。

『レミエルは会議に遅刻します。そこで皆様には面白いクイズで遊んでください。問題です。レミエルと日向沙織は僕の暗号を解読できるのか。正解者で賞金八万円を山分けしてください。尚二人に出した暗号は以下に記します。0D6C1D1A6A 0D8A 0E4E 0D1B』


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