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愛澤春樹に平凡な日常は訪れない。  作者: 山本正純
前編 愛澤春樹の会合
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第五話 変装

 愛澤の自動車はコンビニの駐車場に停まる。一方ジョニーもコンビニに自動車を停めた。

 停車した車内で愛澤は頭を掲げスマートフォンを操作している。その様子は愛澤の自動車から離れた位置の駐車場に停車したジョニーの自動車からは見えない。


 一分後彼は手を止める。

「ああ」

 その後は発声練習。愛澤は灰色のスーツのポケットからボイスレコーダーを取り出す。 

 彼はボイスレコーダーのスイッチを押し十代くらいの少女の声で録音する。

「私は山田君のことが好きなの」

 アラフォーの男のセリフとして聞けば万人が興ざめする。だがこの作業は愛澤にとって必要なことである。

 愛澤春樹は変装が得意である。彼の変装技術は知り合いでさえも欺くことができる。さらに声紋まで模写することができる。

 幼児から小学校高学年までは身長の関係もあって変装できないが、中学生から老人までなら誰にでも変装できる。

 ボイスレコーダーに変装する人物の声を録音した理由は最終チェックをしたかったから。

 ボイスレコーダーに音声を録音することで自分の声を客観的に見ることができる。それにより他者から見た違和感を削除する。

『私は山田君のことが好きなの』

 ボイスレコーダーから流れたのは中学生くらいの少女の声だった。


 彼は助手席に置かれたアタッシュケースを開ける。その中には変装用のマスクが入っていた。複数個用意されたマスクから中学生くらいに見える少女の顔を選び、手元に置く。

 さすがに中学生のような見た目で自動車を運転するのはマズイだろう。その直後愛澤のスマートフォンにメールが届く。そのメールの差出人は愛澤がこれから会う人物。愛澤はメールの文面に目を通し返信する。

『徒歩か公共交通機関で来てください』

 奇妙な要求を相手に伝えた愛澤は腕時計を見る。時間が余っていることを確認した彼は再び誰かにメールを打つ。

 そのメールはコンビニの駐車場から愛澤の動向を伺っていたジョニーのスマートフォンに届いた。


 ジョニーはスマートフォンを取り出す。そのメールの文面を読みジョニーは失笑する。

 その後でジョニーは愛澤からのメールを表示させたスマートフォンを助手席に座る日向沙織に見せた。

「愛澤からのメールだ」

 そのメールの文面は以下の通り。

『ジョニー。あなたたちが僕を尾行していることは分かっています。僕の野暮用が何なのかが気になっているのなら、ヒントを与えましょう。追跡で僕の行き先を特定するのは禁じ手です。僕は以下の暗号が示す場所に向かいます。0D6C1D1A6A 0D8A 0E4E 0D1B』


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