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愛澤春樹に平凡な日常は訪れない。  作者: 山本正純
前編 愛澤春樹の会合
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第四話 行方

 午前八時三十分。日向沙織は緑色のリュックサックを担ぎ、ジョニーが運転するポルシェ・ボクスターの助手席に座る。

 そのリュックサックを見ながらハンドルを握ったジョニーは彼女に尋ねる。

「そのリュックサックには何が入っている」

「変装道具です。簡易的な変装でかつらやサングラス程度しか入っていませんが、気休め程度にはなるでしょう。いつもは愛澤さんが変装を施して外出しているのですが」

 

 日向沙織が車内で簡易的な変装を行うとジョニーは再び彼女に尋ねた。

「その時にあいつは胸を触るのか」

「そんな変態ではありません」

「冗談だ。あいつが変態じゃないことは俺が一番理解している」


 ジョニーが自動車を走らせると、前方を走る白いヤンボルギーニ・ガヤンドが見えた。赤信号で停車している愛澤の自動車を見ながらジョニーが呟く。

「厄介だな」

「何がですか」

 日向沙織が首を傾げるとジョニーは日向沙織の肩に手を伸ばす。

「今俺が運転する自動車の前にあいつの自動車がある。それは俺たちの自動車があいつのバックミラーに映りこんでいることを意味している。あいつは馬鹿じゃないから、ここで尾行を巻くだろう」

「そうですか。だったら愛澤さんの行き先を推理するしかないですね」

 ジョニーは日向沙織の右肩を持ち大声で笑う。

「そんなことができるわけがない」

「ヒントを元に推理すれば簡単です。待ち合わせ場所はこちらで予約しますって愛澤さんは電話で言っていましたね。つまり待ち合わせ場所は予約が必要な場所ということになります。これでカフェやレストランは待ち合わせ場所ではないと言えます。駅かどこかで電話の相手と会うとも考えられるけれど、それでは予約の必要はない」

「それだったら会員制のレストランとは考えられないか」

 ジョニーが自信満々に推理すると、信号が青になり愛澤の自動車が直進する。それに合わせてジョニーも自動車を前進させた。


 走行中のジョニーの自動車の車内で日向沙織は首を横に振る。

「違う。そういうレストランの営業時間は午前十時からのことが多い。ここで一つ聞くけれど、作戦会議の時間は何時から始まって何時に終わるのかが決まっていますか」

「それは午前九時から午前九時三十分までだった。それがどうした」

「愛澤さんは会議に欠席するって言っていましたよね。つまりどんなに頑張っても会議に遅れる場所に行くから欠席するって言った。そう仮定したらその場所からイタリアンレストランディーノまで三十分以上かかる場所が待ち合わせ場所ということになりますね」

「かなり強引な推理だな。そんなことよりなぜお前がイタリアンレストランディーノが作戦会議の会場だと知っている」

「そこしかあなたたちが集まる場所が分からなかったから勝手に想像しただけ」

 日向沙織が補足すると、愛澤の自動車が右に曲がった。その先にはコンビニがある。


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