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愛澤春樹に平凡な日常は訪れない。  作者: 山本正純
前編 愛澤春樹の会合
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第二話 朝食

 その気合いの入った坂上の言葉がテレビに流れる。その様子を神奈川県横浜市内にある一軒家のリビングで三人の男女が見ていた。

 黒いショートボブの女はテレビを見ながら紅茶を淹れている。その机には三枚の白い皿。

 机に置かれた白い皿に髪型を七三分けにした男がホットケーキを盛り付ける。


 金髪のスポーツ刈りの男はソファーに座り七三分けの男に話しかける。

「怪盗リアス式海岸が再び動き始めたというのは本当らしいな」

「そのようですね」

「ところでなぜこのタイミングで怪盗の命を狙う。怪盗リアス式海岸は今度の標的だろう」

 流暢な日本語を話す外国人に七三分けの男が鼻で笑う。

「分かっていませんね。これまでしてきたことと同じですよ。邪魔だから消す。正確には生け捕りにしてあの情報を聞き出してから殺します。銃殺はあなたに任せるとあの方も言っていましたよ。レミエル」

 レミエル。これは外国人の名前ではない。彼の本名はジョニー・アンダーソン。テロ組織『退屈な天使たち』のメンバーで『レミエル』は彼のコードネームである。

 そのレミエルは不満そうな顔をして呟く。

「銃殺か。ライフルで射殺したかったのだが、その口ぶりではハンドガンで銃殺と言ったところだろう。ハンドガンは嫌いだ」

「それならば別の方法もありますよ。ハニエルの日本刀で斬殺。サラフィエルの拳で殴殺。ウリエルのスタンガンで感電死は少し無理がありますが」

「ラグエル。俺はハンドガンを使いたくないって言っているんだ。別の奴に殺人は任せない」


 七三分けの男。本名愛澤春樹。退屈な天使たちではラグエルと呼ばれる男は頬を緩ませる。

「半分冗談ですよ。今回の仕事に関しては狙撃と爆破だけは禁止というのがあの方からの指示ですから。狙撃するにも怪盗の逃走経路も分からないから狙撃に適しているポイントで待ち構えて狙撃というわけにはいかないでしょう。暗殺現場として用意された廃工場の近くにも狙撃ポイントもありません。その代り街中で銃撃戦をやってもいいという許可を受けています」

「街中で銃撃戦の方が派手な気がするが」

 レミエルが正論を口にする。それを他所にラグエルは言葉を付け加える。

「被害を最小限にすることが条件です。一般人に意識不明の重体にするまではOKだけど殺したらNGです」

「あの方の価値観が理解できない」

「同感です。全く被害が最小限になっていない。朝食を食べたら作戦会議に行きますよ」

 愛澤とジョニーがリビングの椅子に座り、ホットケーキを口にする。

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