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愛澤春樹に平凡な日常は訪れない。  作者: 山本正純
後編 愛澤春樹の激闘
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第十八話 偽者

 テロ組織『退屈な天使たち』のアジトの部屋に設置された机の前にサマエルが座っている。その机の上にはノートパソコンとコーヒーが注がれたカップが置かれている。

 部屋の壁には百台を超えるモニターが埋め込まれていた。モニターにはアユカワビルから半径二キロメートルに設置された全ての防犯カメラの映像が映っていて、ノートパソコンにはアユカワビル周辺の地図が映し出されている。その表示された地図の上で無数の赤い点が動いている。

 モニターに映された防犯カメラの映像とノートパソコンの画像を比較しながらサマエルが呟く。

「作業に結構時間がかかったな。ざっと三時間くらいか」

 サマエルがモニターをチラ見すると偽物の怪盗がバイクを停車して拳銃を発砲している様子が映った。怪盗が発砲した銃弾は警察官が運転するパトカーやバイクのタイヤを撃ち抜く。画面に映ったパトカーはクラッシュを起こす。そしてパトカーが道路を塞ぐように停車すると、偽物の怪盗はバイクから降り道を塞ぐパトカーの屋根に乗る。

 偽物はフルフェイスのヘルメットの下で頬を緩ませ、綺麗な白い衣装に仕込んだマシンガンを見せ、躊躇することなくマシンガンを乱射。

 次々と警察車両のタイヤを撃ち抜かれていく。

 

 その様子が映った防犯カメラの映像を見ながらサマエルがコーヒーを一口飲む。

「こういうシーンはどうしても目を奪われる」

 サマエルが画面を見ながら頬を緩めると携帯電話が鳴る。携帯電話には東條という名前が表示されていた。

「サラフィエル。何の用だ」

『警察は俺らの思い通りに動いているのかが気になったから連絡したちゅうわけやねん』

「今のところ大丈夫だ。パトカーは五か所に分断されたよ。現在ポイントAで偽物が警察を足止めしている。一分後には制圧が完了するだろうな」

『ほんで俺の出番はいつ頃になるん』

「今のところはラグエルの連絡待ちだ」

『分かったわ』

 電話が切れサマエルは視線をノートパソコンに移す。パソコンの画面の右端にはチャットのような画面が表示されている。

 この画面を通してサマエルは作戦の進歩状況を知る。しばらく画面をチェックしていると仲間からのメッセージが届く。

『青ネクタイ。ポイントA制圧しました』

 その後でサマエルはノートパソコンに表示された地図を見る。その画面の三か所に多くの赤い点が集まっている。

「この位置は七十九番と十五番と五十三番のモニターか」

 サマエルはノートパソコンを操作して三か所の防犯カメラの映像をパソコンに映す。

 それによりパソコンの画面が四分割される。そこに映し出されたのは三か所で発生している銃乱射事件の様子だった。


 手口はどれも同じ。まず各ポイントに偽物が運転するバイクが停車して、拳銃を取り出しパトカーのタイヤを撃ち抜く。それで停車したパトカーの屋根に乗り残りの警察車両のタイヤをマシンガンで一つ残らず撃ち抜く。

 サマエルは再び頬を緩め元の画面に戻す。

 それから続々と偽物たちからの連絡が届いた。

『赤ネクタイ。ポイントB。排除完了した』

『黄色ネクタイ。ポイントC。排除完了っと』

『ピンクネクタイ。ポイントD。排除完了っす』

 邪魔な警察車両を処分する鴉たちの作戦が終わりを迎えサマエルは拍手する。

「素晴らしい。予定より五分も早く排除するとは。残りは本物を追う警察の排除か」

 拍手の音が響く部屋の中でサマエルは再びノートパソコンの画面を見ながら、キーボードを打つ。彼はパソコンの右端の画面にメッセージを入力する。

『サラフィエル。そろそろ出番だ』


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