表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シダロクの生計向け黒い百合  作者: リナモ/アヤ
1/3

プロローグ.私が始めての不合格者です。

*この小説は現在、韓国のJOARAという小説サイトで連載しているリナモさんの作品です。*


1番。道で剣を持った男に出会ってしまった。彼を説得しなければならない場合、貴方はどう反応するのかを述べてください。



シナは周りを見渡った。困った顔をしたり、悩んでいたり、または自分のよう周りを見回っていたりしているのが見える。皆、これをどう理解すれば良いのかという顔付きで困っているのがはっきりと伝わってくる。シナはまた問題用紙へと視線を向け、次の問題を確かめた。



2番。言葉が通じない外地に一人で残された。食べ物や寝泊りをどう解決するのか、その方法を述べてください。



「あのう…」



結局、誰かが手を上げた。シナ以外にも大勢の視線が試験監督へと集まった。髪の毛一本まで綺麗に束ねられている彼女は凄い美人で、少し笑っているような印象だったが、綺麗というよりは冷たいという感覚を漏らせる感じがした。声もどこか機械のようで、無味乾燥に聞こえてきた。



「ご質問でもありますか」

「これ、試験用紙、間違ってるみたいですが」



というと、彼女の表情が固まり、まるで質問が間違っているように思わせた。こつこつ靴の音を立たせて近づいた彼女は試験用紙を引っ手繰ってそれにざっと目を通した。やっぱり、自分だけ変な試験用紙を貰ったわけではないんだと、すこしはほっとしたシナは彼女の返事を待っていた。しかし、彼女は試験用紙を質問者に返しながら言い出した。



「異常ありません」

​「は?」

「ご覧の用紙は、我が研究所の新人研究員の採用のための適性検査試験用紙に間違いありません。慎重に答えを書いてください。また、試験を始まる前に申し上げたように、紙とペンはすべてこちらで配布したものを使わなければなりません。これらは退室の時にそのまま机の上に置いてから退室してください。この後から、質問は一斉、受けませんので参考にしてください」



余りにもはっきりした答えに試験場は一気にざわめいた。シナは再び試験用紙へと目を通した。その後の問題は次々に深刻になっていた。



3番。ファンタジー系の小説の読んだ経験はありますか?あるとしたら、普段、どのぐらい読んでいるのか述べてください。


4番。危急な状況に会えば連絡できる人と、その人数を述べてください。


5番。恋愛中のデートコースの中に一番頭に残る場所を書いてください。恋愛の経験が無い場合は「無い」記載してください。


6番。愛と職、どれか一つを選ばなければ無い場合、何を選ぶか、またその理由について正確に述べてください。





これは適性検査って言うか、心理テストって言うか、言い切れない曖昧な問題だった。どこかで「いい加減にしろうよ」と、一人言するのが聞こえてきた。シナはここの知らせを紹介してもっらた「おじさん」の言葉を思い出した。





「知らせがあったから教えておいたが、贔屓なんかは期待しない方がいいぞ。適性検査だけ合格すればいいが、検査内容は絶対機密って言っちゃってさ、どうしても見せてくれないんだよ」



こんな内容なら、問題用紙を先に見たとしても、何か機密なのか知らなかっただろうねとシナは思った。折角のおじさんからのお知らせだったから一応、支援してみたけど、これなら合格出来ても、出来なくても、悩み事になるようだった。しばらく悩んでたシナはいつもの習慣で、自分の一人言を用紙に書き出した。





「どうしてこんな問題を出したんだろう?」



試験監督は確かに、「適性検査」と言った。しかし、シナの知っていた一般の会社たちの適性検査だとしても、これとは全然違っていた。センター試験のような問題を出す所も大勢あるという噂は聞いたけど、国の支援を貰いながら研究を行うという国立研究所では、なぜこんな問題で人を選んでいるのか。一人言を書いてまた考え込んだシナは不意に用紙を見て、自分の目を疑った。彼女の一人言の下に、先までは見掛けなかった文がまるでインクが紙に滲みこむよう、浮かんでいたから。



「規格に合う人間を選ぶため」

「?!」



シナは思わず息を飲み込んだ。紙には文字がどんどん鮮やかになり、誰か力を込めて書いたように紙の上に浮かんであった。シナは用紙の裏面と手に持っていたペンをじっくり観察した。ペンはどこでもあるようなモナミ-韓国のペンを作る会社-のボールペンのようで、紙はただ白いだけ。混乱に陥った彼女は周りを見回ったが、そのうち、自分を見つめていた試験監督の視線に向き合う形になってしまっていた。シナの反応を予想していたかのように、彼女はそっと微笑み、唇だけ動き出した。



「シズカニ」



声は聞こえなったが、話す内容は明確だった。その後、口に当てた彼女人差し指が再び内容を確認してくれる。何の手を使ったのかは分からないが、紙に浮かんできた文は研究所からの作品であることは確実になった。回りでは空気読みが早い人々の目つきが変わり、真面目に用紙に答えを書いていくのが見えた。シナも自分の用紙へと目を回した。一応、何でも良いから書いてみよう。と、1番の問題に対する答えを書いていく。



「男の服や顔立ちなどを確認し、なぜ剣を持っているのかを先に聞く」



 答えを書いて少し待っていると、他の文が同じ形で浮かび上がってくる。文はまるで彼女の答えを理解したように、また他に質問をしてきた。



「彼は見かけない衣装をして、泣いている。さらに、聞いたこと無い言葉を使っていて会話が出来ない。どうするのか述べなさい」



 やはり、勘違いではない。シナは体を固まった。試験場は他の意味でざわめいていた。空気を読んだ試験監督は高低の無い声で言葉を発した。



「お静かに。試験場の中では静かにしてください。合格者は全着順で、早めにパスした方が有利です」



 監督官の言葉で一気に雰囲気は静まった。そして鋭い空気が感じられる。国立研究所っていうから、まだ公開していない最新技術でも開発してるかもしれない。シナは不思議な気持ちを隠せず、質問に対する答えを書いていった。





「低めにポーズをとって、できるだけ落ち着き、手と足で自分の意思を伝う。一番は相手が落ち着けるようにするのだと思うから」

「彼があなたを殺そうとするかも知れない」

「泣いているというのは混乱しているせいで現れたハプニングである可能性が高い。その理由だけ分かってきたら、妥協できる方法も見つけると思う」

「傷つくかも知れないのに、怖くはないか」

「勿論怖い。しかし、相手が大人で男なら、私が逃げた所で逃げ切れる確立は低い。避けないのなら刺激するより説得する方が生存にメリットがある」

「武器が手にあれば?」

「武器を捨て、説得する」

「その理由は?」

「上手く使いこなせない武器って、凄く危ない。下手に攻撃してしまえば、まともに考えない武器を持った相手を刺激し、更なる危険を招くことになるかも知れない」



 1番の問題はそれで終わった。そして、次の問題でも、その次の問題でも、答えを書いたら例の見慣れない文字たちの質問が続けて出てきた。



「言葉が全く通じない外地なら、一応、人がいるかどうかを確認する」

「人はいた。しかし、彼らがあなたのことを避けている」

「私にはあなた達に被害を与える意思が無いって事を先に示そう。その中に子供がいれば、あの子と視線を合わせて、遠くでも近くでもない距離で子供に助けを求めよう。近づくのが子供なら、ほぼ緊張を解いてくれるから」



 シナに対しては、ファンタジー小説など読んだ事が無く、危急の状況に呼べる人といえばたった一人、お母さんの妹であるおばさんだけだった。恋愛はともかく、友達も余りいなかったので、5番の問題もシナには無意味。6番の愛と職、どちらを選べっていう問題には一瞬も迷わず、職を書いといた。理由を聞く文字の質問にシナは答えた。



「愛無しでは生きれるけど、お金無しでは生きられないから」





 余りにも正直な答えに落ちたらどうしようと少し悩んだが、試験用紙の一番下には「心理的な要因だとしても、嘘を書いたことが明らかになれば、デメリット有り」という文が書かれてあったのだ。自分の考えが当たるようにと願いながらシナは素直に書こうと決めた。夢見るような気持ちで一つ一つ答えを書いていると、いつの間にか最後の問題も書き終わり、その下に浮かんだ新しい文に会っていた。



「なぜこのプロジェクトに参加しましたか?」



 いずれ空席が増え始めた周りを見たシナは答えを書くのを迷っていた。他の人って、この見慣れない文字と色々話しているようだったけど、自分は1番の問題以外には思い残る質問が無かったからだ。先着順って言ってから、もはやこの試験は駄目かも知れない。そこまで考えたシナは、どうせ受かれないのなら、素直に書こうと、半分は諦めた気持ちでため息を出してから答えを書いた。



「おばが結婚するの。両親の代わりに私のことを育ててくれた人なんだ。これ以上、荷物になりたくないから、独り立ちできるくらいのお金が必要だ」



 書いてからも、素直すぎたかなっと不安が過ぎたが、一応答えを待つことにした。紙には今まで質問してきた文字とはまた別の文字が現れ文を作っていた。



「今すぐ席から立ち、『私が始めての不合格者です』と報告してください」

「……」



 『やはり、お金の話がそんなに気に入らなかったのかな。落としたいなら静かに落としてくれれば良いのに、自分から広告でもしなきゃいけないって言うの?』と思われて、シナの気持ちは一気に悪くなった。少し悩んだ後、席から立ち上がったシナは気持ち悪さを顔から隠せなかった。『そうね、始めてから持ち物なんで高校卒業帳しか無かったんだ。こんな国立研究所みたいな所で受けるはずが無かったのね。次は自分にもっと相応しい仕事を見付けよう』とシナは思った。やがて決心が付き、自分に注がれた監督官の視線に不満いっぱいの顔をして、シナは話した。





「私が始めての不合格者です」



 監督官は以外にも、その言葉を聞くと柔らかく笑って見せた。どう笑っても目が笑っていないように見えた彼女が目から笑うと、確かに綺麗ねとシナは思ってしまった。だとしても不合格者の立場であるシナは早くこの場から出て行きたいと思うばかりだったけど。その時、監督官が言い出した。



「扉を開けてすぐ右に、他の監督官が待機しております。彼女に同じ言葉を繰り返した後、彼女の支持に従ってください。お疲れ様でした」



 その場にいた人々皆、理解できないという顔をしていた。案外にも監督官は90度まで腰を屈めながら挨拶し、シナの脱落コースの案内をしていたから。一言言いたかったシナすらも、余りにも丁重な仕草に怒るチャンスを逃してしまった。無意識に首を下げたシナはかばんを持ってその場を出てきた。今まで何人か試験場を出て行ったけど、誰もシナのような振る舞いはしなかったし、監督官もあんな反応はしてなかった。どこか不快感を感じながら扉を開けて出てきたシナは、右を見てもう一度驚いた。中にいた監督官が話した他の監督官のせいだった。



「何か、指示事項がありましたか?」

「い、いいえ。もし、中の人と双子ですか?」



 試験場の外にいた彼女は髪の毛一本まで綺麗に束ねられている凄い美人で、綺麗だけど冷たいという感覚を漏らせる感じがした。すなわち、中の彼女と全く同じ顔をしている女性であった。彼女もやはり、無愛想な顔付きでシナに尋ねてきた。



「話したいことはそれで終わりですか?」

「……あ、いいえ。あの、その、わたしが始めての不合格者だと知らせよと。その、中にいた監督官さんから…」

「ああ」



 その言葉に彼女も中の監督官と同じ目の笑い方をした。人間の顔って、あんなにも目と口が別々に見えることもあるんだという新しい知識に気づきながら、シナは彼女の答えを待っていた。彼女は丁重な声で話しかけてきた。




「おめでとうございます。初めての合格者のお方ですね」

「……は?」



***


この小説の背景は韓国です。


シナのFull nameは「漢シナ(はん・しな)です。

英語ではHan Shin-aですが、翻訳の途中に、ハン・シナと書くようになりました。

参考にしてください。


***



こんにちは。翻訳家のアヤです。

この小説は現在、韓国のJOARAという小説サイトで連載しているリナモさんの作品です。

ー気になるお方は、www.joara.com で入れると、韓国語だらけの小説サイトを見ることができますー

両方の意見が合い、日本語へと翻訳してここにもアップロードすることになりました。

韓国を翻訳した小説で、韓国の文化や色んな生活は見れると思います。

ーだとしても、日本とそんなに大きい違いはありませんがー

しかし、その分、翻訳上での問題とか、言葉の活用が本場の日本人の皆さんと比べて下手かも知れませんので、こんなところは心得てください。

それでは、よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ