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普通学科の劣等生(旧題魔法文明滅亡一万年後)  作者: 虹色水晶
第一章 一万と二千年後の君へ
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一万と二千年後の君へ(6)

 作治の古代遺跡巡りは続いていた。

 建物の一部が崩れ、階段状になっているところを登って上層階に二人は登って行く。

 アミーラに案内された場所は、牢獄のような、或は使われなくなった研究所のような場所だった。

 床にはひび割れたディスプレイと、キーボート。パソコンの残骸が転がっていた。


「一万年前、おそらくはここでオークなどと呼ぶ亜人種などが産み出された」


「ここで?」


「うむ。これを見るがよい」


 アミーラはフランドル衣装のポケットから、USBメモリのようなものを取り出した。


「ウエハースにも似た形をしておるだろう?この石の棒はな。古代魔法文明の書物なのだ」


「えっ、書物?それが?」


「ちょっと見ておれ」


 アミーラはUSBメモリ、もとい古代魔法文明の書物に魔力を込めた。

 するとアミーラと作治の間の空間に、映像が映し出されていく。


『グヘヘヘヘ。俺達オークのガキを産まされる気分はどうだ?』


『くっ!私は誇り高き帝国の騎士だっ!たとえ何匹オークの子供を孕まされようとも決して屈することはないっ!!』


 アミーラは古代魔法文明の書物、もといUSBメモリに魔力を込めるのをやめた。


「・・・なんすかこれ?」


「これは人体実験の記録の一部らしい。具体的には人間と、それ以外の種族との間で子供ができるか、その詳細な記録だな」


「本当にそうなのかな・・・?」


「実際、今現在地上に生きておる亜人種すべてが人間と交配可能であろう?勿論、妾も含めてな」


 アミーラはその小さな石のような、魔法文明の書物で壁の一角を示した。

 そこは一万年前はガラスでもはめられていたかもしれない場所なのだろう。右手に扉。壁一体に砕けたガラスの破片。

 まるで警察署の取調室の遺跡のようだ。

 その向こう側にあるのは一体の白骨死体。

 金色に輝く冠やら鎧の残骸のようなものを着けている。

 腕には手の甲から、肘のあたりまでを保護するガントレットらしきもの。

 脚には足の裏やアキレス腱の部分が剥き出しになった奇妙なデザインのグリーブを履いている。


「兵隊の死体?」


 作治はアミーラにそう尋ねた。


「さっき見せた映像があるであろう?あれとほぼ同じような事をされた者の亡骸だ」


「え?じゃあ女騎士の死体なの?!!」


「正確には女騎士ではなく、魔術師の死体だ。妾達は彼女を『アマテラス』と呼んでおる」


「『アマテラス』?」


「妾達の伝承に登場する女神だ。人々の平穏な暮らしを守るため、勇ましく武装し、蛮神と戦ったが力及ばず捕えられ、薄暗い洞窟の中で慰み者にされたという」


「僕の知っているアマテラスの伝説と大分違うなぁ・・・」


「伝承というのは得てしてそう云う物であろう?で、あの者の身に着けている具足なのだが」


「ピカピカ光ってるよね。金じゃないみたいだけど」


「オリハルコン製だ」


「オリ、えええええええっ!!!???」


 作治は半身右半身を麻痺させ、左半身をのけぞらせるほどに驚きながらも大声を張り上げる。


「オリハルコンって、伝説の勇者が魔王を倒すため為に使う武器を造るときに使う金属じゃあないのかっ?!!」


「うむ。あらゆる魔法を遮断する性質がある。お主がもし不死公と一戦交えようというのであれば是非ともオリハルコン製の武具を揃えるべきであろうな」


 言って、アミーラは床に転がる一万年前の白骨死体を左の親指で刺し示した。


「ときにサクよ。お主がもし不死公と戦うと言うのならば、丁度あそこにオリハルコン製の鎧があるぞ?」


「死体からはぎとれと?」


「妾は母から戦場で仲間の死体から弾薬を拾って戦えと教わった。遠慮するでない」


「いや、それとはなんか違う気が・・・」


 なおもアミーラが話を続けようとした時、大変不愉快な音が室内に響いた。

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