その世界には豚未満の生物が存在していた(2)
「これは、鮮血連理草の記憶?なのかな・・・」
「正解であり不正解よ。彼女は自分が夢の世界で殺した人間の記憶や経験の一部を奪う力を持っている。だから彼女は肉体的には処女だけど、夢の世界でほぼ毎晩こいつらに輪姦されて精神的には非処女なわけ」
背後から声をかけられた。
振り返ると見知しらぬ女性が立っている。作治の知っているような、でもやっぱり知らない女性だ。
外見年齢三十歳程度。身長は195センチ。
揺るかなウェーブの亜麻色髪の女性だ。
黒光りするレザーグローブとブーツ。臀部と乳房はバンテージ状の革紐でわずかに覆われているだけである。
素肌のの露出した部分には異常に発達した上腕筋や大腿筋、そして腹筋などが確認できる。
まるで男性のような体つきだ。
しかし、ウェストはくびれ、尻は突き出し、両方の乳房は大きな膨らみをもっているのだからやっぱり女性なのだろう。
「あなたは?」
「その昔。ここにいるような豚みたいな魔法使いにとっ捕まったマヌケなエンプーサよ。そして、その後連中が遊びやすいように肉体を改造された。睾丸と尿道をとりつけて、さらに卵巣と乳腺の機能を強化してバランスとってくれたらしいわ」
「なんだただのフタナリか。そんなの日本じゃ気にならないレベルです」
「き、気にならない・・・?!!」
作治がまったく顔色を変えないことについて、エンプーサの女性はかなり驚いた様子であった。
「まぁ、世界に誇る変態国家なんで」
「・・・なんというか、魔法学科の生徒さんって。やっぱすごいのね」
「普通学科です。で、ここはスィートピーさんの記憶の中ってのはわかりましたけど、他の人たちは?」
「アミーラ?ああ、あの子達なら先に出てるわよ。あんたがここにいるのは彼女と、スィートピーと一緒だったから。だから彼女の記憶のより深いところに引きづり込まれた。出る方法は二つ。スィートピーちゃんを助けるのを諦めて彼女を置き去りにする」
「もう一つは?」
「彼女の記憶を奪う。即ち、毎夜夢の中で彼女を犯している連中をあんたが持っていく」
そして、かつて魔法使いたちに掴まって肉体を玩具として最適に改造されたエンプーサの魂(?)は一冊の本を取り出した。
「じゃあそちらで」
躊躇なく本を受け取ろうとする作治に対し、魔法使いに肉体を弄ばれたエンプーサの魂は警告した。
「あんたはいいことをしようとするつもりかもしれいけど、これは彼女の、スィートピーの記憶を改ざんするってことなのよ。つまりこれをやっちゃう時点であんたはあたしの体を弄り回して遊んでた連中と同レベルになる。それでもいいって言うのならこの本を受け取りなさい」
「生憎と、そういう偽善行為をするのが普通学科の生徒の役目だと思ってます」
作治はそう答えて、女性の魂(?)から本を受け取る。かなり分厚い。クトゥルフ神話TRPGのルールブックか、コミケカタログ並だ。
「じゃ、その気になったら夢の世界でその本を開いてみて。あたしの体を好き放題にできるわよ。夢限定だけど」
「覚えておきます」
「それともう一つ。アミーラはエンプーサという種族が人間達からどのように扱われたか教科書で読んだことはあるけど、実際にどのように扱われたかは見たことはない。彼女には言わない方がいいんじゃないかしら?」




