その世界には豚未満の生物が存在していた(1)
この部分は若干グロ描写有
扉の先は、夢の外ではなかった。
先に扉をくぐったはずのアミーラとパッショリもいない。
薄暗い部屋。大きめの食堂のところだった。
中央にテーブルクロスのかけられた長めの食卓があり、そこには多くの人間が席についていた。
そう、人間なのだ。作治が魔王領の遺跡であったオーク達と違い、脂肪の塊。
全身がゴキブリの様にてかり、大便を食して育つ豚の様に肥っている。
テーブルには中央部には真っ赤なワインが吹き出す噴水がある。
おそらくクロスがかかった机の下になんらかの仕掛けがあるのだろう。
肥った男たちは皿に盛られたチャーハンを手づかみで食べてはグリーンピースを吐き出していた。
いや。彼らが吐き出しているのはグリーンピースではない。
真珠だ。チャーハンの中に真珠が入っているのだ。
「オードブルのに引き続きまして、魚料理と肉料理を同時に召し上がっていただきます」
魚料理と称して調理師が持ってきたのは胡椒の海の中で泳ぐイルカだった。
いや、それだけではない。このイルカは口を動かしている。生きているのだ
ピピッ・・・・ピピッ・・・・
イルカの腹部から、妙な鳴き声がした。イルカの鳴き声ではない。
「それでは調理を開始いたします」
生きた孔雀と、白鳥と、トカゲが運ばれてきた。
ごく普通の孔雀と白鳥とトカゲに見える。だが、それらはテーブルのイルカに向かって一斉に炎を吹き始める。
「ほう!これは凄い!魔王領に住むという不死鳥や火蜥蜴を捕まえたというのか?!」
「はは、これはこれは。本物でしたらお客様の命を奪いかねませんよ。これは宴し物と調理器具を兼ねたアントルメ。やはり料理は見た目から味わっていただきませんと」
調理人の言う通り、孔雀達は羽ばたきながら炎を吐いている。しばらくすると自らの口から漏れ出る炎で頭を焼かれ、動かなくなる。
その度に新しい鳥に取り替えられ、再び火がつけられる。
やがてイルカの丸焼きが焼きあがった。その腹にナイフが突き立てられる。
腹からは全身の毛をむしられた小鳥が何匹も出てきた。皆程よく焼きあがっている。
「お好みのだけ、胡椒のソースをおつけてお食べください」
「この魚は鳥を食べるのですか?」
「まさか。調理の前に無理やり口に押し込んだのです。孔雀たちにも腹に火を吐くように細工をしたまでです」
宴は続く。客の一人が臨んだので、調理人がイルカの目玉を抉り出し、火で炙り、皿に盛った。
「それではデザードで御口直しをして頂きたいと思います」
宴の締めとして、デザートとやらが運ばれ、いや。歩いてきた。
デザートは、裸足で、衣服をつけておらず、下着の代わりに生クリームのようなもので胸と腰を覆っていた。
「エンプーサのグラニテ添えでございます。皆さまテーブルマナーとして、素手で召し上がって抱くようお願いいたします」
「うむ。気に入らなかったら、ナイフとフォークを突き立てるのだな」
「はは。私の大好物だ。これに目がなくてな」
「少々あきてきませぬかな?」
「己の命がかかってるとなればこいつらはそれこそ死ぬ気で頑張るからな。まさに我々人間の玩具になるために産まれてきた種族だ」
「まったくだ。エンプーサのような魔物を造ってくださったことを神様に感謝せねばなるまいて」




