紅蓮の弾丸(2)
「一体なんなんですの?あれは?」
言ってから、鮮血連理草には思い当たる節があった。
500メートル前方に立っているのは、自分と同じくらい背丈の鋼の巨人。
あれは魔術師の墓場の廃墟に転がる、巨大な人型兵器の残骸。
古代魔法文明の遺跡にあったものはどれもこれも皆壊れていた。
だが、動くものをみるのは、
「これが始めて・・・!」
鮮血連理草は歯ぎしりした。
おそらくあれを創ったのはアミーラだろう。自分と同じエンプーサなのだから、金属でできた物を造ることなど容易い。
それだけでなく、ここは夢の世界だ。
エンプーサ本来の基本制約である、自分の体重より重い物を造りだすことが基本原則を『無視』できる。
古代文明の人型兵器は巨大な銃を構える。
もっとも、今の鮮血連理草自分の身長を10メートルに巨大化しているのだ。
巨大ではなくだいたい丁度いいサイズの大きさの銃だ。
そう。身長2メートルの人間が豆鉄砲を身長10メートルの自分に弾丸を撃ち込んでもたいしたことはない。
だが、身長10メートルの巨人が同じく身長10メートルの自分に弾丸を撃ち込めばどうなるのか?
小学校で習う四則演算は算術の基本だ。
10分の10は即ち1。
10/10=10/10。
1=1。
等身大の生身の人間に銃弾を撃ち込むの変わらない。
「随分と面倒な物を創ってくれましたわね!わたくしは面倒が大嫌いなんですのよ!」
鮮血連理草はボヤキながら、左手にヒーターシールドを造りだす。
表面に蝶をあしらったデザインの模様が描かれたそれは、野球のホームベースを若干縦に伸ばしたような形状だった。




