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普通学科の劣等生(旧題魔法文明滅亡一万年後)  作者: 虹色水晶
第六章 コーラを片手に、テーブルの前で仕事に励む連中
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高級車に乗ってゴミのポイ捨てする人ってたまにいるよね

 作治達はアミーラが用意していた馬車に乗り、街の中心部に向かう。

 途中、道の真ん中で馬がフンをして、アミーラがそれを掃除しようとした以外はまったくの順調な馬車の乗り心地であった。

 流石に自分より年下の女の子にそんなことをさせるわけにはいかないので、馬のフンの始末を作治を引き受けることにした。


「流石は魔法学科の劣等生だな。道に落ちた馬のフンの後始末をするなんて、誰にでもできることではないぞ」


「僕は普通学科だよ。まぁお望みとあらばトイレ掃除でもなんでもしてあげてるけどね」


「うむ。やはり夫にするなら原子分解魔法で人間を後かたもなく消滅させる男より普通の家庭的な男に限るのう」


「なんだよその言いぐさは?」


「お主は人間を料理して食う女と、野菜や魚を料理して食う女。どっちを嫁にしたい?」


 レンガ造りの建物が多くみられる街中を荷馬車や買い物客。冒険者らしき旅人とすれ違いながら馬車は進む。

 やがて敷地面積の広い、三階建の建物に辿り着いた。

 周囲が薄い外壁に囲まれているほか、別棟の倉庫。馬の鳴き声がする建物も別にある家畜小屋だろうか。


「なんで街中に牧場みたいなのがあるの?」


「牧場ではないぞ。荷車を引くための馬と牛を飼っておるのだ」


「ああ、そうか。この世界には自動車がないから・・・」


「それとこの間高速輸送業を開業しようとして、瞬翔竜を飼おうと言う話が持ち上がったのだが、街中でドラゴンを飼うなぞもってのほかと騎士団や役人からキツクお叱りを頂いて断念したそうだ」


「当たり前でしょ」


「魔王領だと街中でドラゴンを飼ってもいいらしんですけどねぇ」


 パッショリが酷く残念そうに言った。


「そうなの?」


「ええ。転移装置のない洞窟とか、辺境の村などに冒険者が飛龍に乗って駆けつける。需要が十分見込めますし、採算が採れる商売だと思うのですが」


 断念した新規事業の話をしながら、三人は建物に入っていった。

 建物の入り口付近は飲食店を想起させる造りになっており、複数の円形テーブルが並び、奥には調理台のついたカウンターテーブルもある。


「なにここ。宿屋?酒場?」


「ああ。イスカンドリア・コンパーネは魔王領からの輸入品を人類諸国連合各地に販売して利益を得ている貿易商社でして。取引先商人に魔王領からの商品を試食してもらうことが多いんですよ。で、応接間もかねて飲食もできるようにしてしまえと」


「まぁそれはいいんだけど」


 作治は酒場のような構造の、応接間にいる人々を指した。


「ここ人間の国だよね」


 人間に混じって、サラダをつつくカバだの、タルから直接酒を飲むゾウ頭の人がいる。


「あの人達人間じゃないよね」


「ええ。そうですよ。彼らは魔王領から来てくださった商人の方々です。それが何か?」


 作治の問に答えたパッショリもアミーラでもなかった。小太りの、ビール樽のような体系の中年男性だ。


「支部長ではないですか。普段執務室で魔王領の砂糖をふんだんに使った菓子類を食しているばかりだと思っていましたが」


「あまり失礼な事言わないでくれよパッショリ君。私は人間の国に商会の代表としてお客様に安全な食品を提供せねばならんのだよ。試食品の段階で自分で食べて、それが毒でないと確かめないとね」


 大きなおなかをさすりながらコンパーネの支部長は言う。


「魔王の支配している国から食料品を輸入しているんですか。例えばどんなものがくるんですか?」


 少し興味があったので、作治は聞いてみることにした。


「蜥蜴の商人から、氷で冷やしてもよし。焼いてもよし。鍋でにてもよし。いか様にしても美味しく食べられるというタガメの瓶詰を受け取ったことがあるよ。もちろん人間向けへの販売は企画すら建てられなかったがね」


 聞かなければよかった。作治は後悔した。

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