長く道のりを安置を求めて幾億光年(5)
再び転移した作治達は港のような場所だった。大きな船から倉庫に人間の人足達が荷物を移し替えている。桟橋に打ち付ける波から遠く離れ、青空高く飛ぶのは海鳥だろうか。
「どうやらイスカンドリアについたようですね」
パッショリが何かの穀物を積めた袋を担いだ人足達を見ながらそう言った。
「ここは魔王領からどれくらい離れた海なんですか?」
「イスカンドリアは港町ですが、ここは海じゃありませんよ」
作治の問いに、パッショリはそう答えた。
「そこの貨物船が接岸されてる桟橋近くで水を飲んでみてください」
「え?水を?」
作治は両手で水を救って口に運んでみた。
「・・・真水だ」
「このブルカナ湖は超強大な淡水湖ですからね。飲めて当然ですよ」
その淡水湖の向こう岸は、綺麗な水平線になっていて、青い空と雲があるだけだ。
「対岸は見えませんが、貨物船で二ヶ月行った先につい先ほどまで私たちがいた魔王領があります」
「どうして荷物をさっきの転移装置で送らないのかな?早く届くのに」
「わかりませんね。武器や兵隊だって大量に送ればすぐにだって人間の国を攻め滅ぼせるでしょうに」
「なにを言うておる。武器や兵隊どころか冒険者とかいう名の野党の群れを魔王領に送りつけるのは人間の方だろうに」
「そりゃ確かにそうだけどね、ってあれ?」
すぐ背後にアミーラが立っていた。露店で買ったのだろうか。
ミカンを皮ごとかじっている。
「アミーラさんも転移装置で来たんだ」
「言わなかったか?妾は母に迎えに来てもらうと」
「ああ。そういえばそんなこと言ってたような」
「それでお主たちより早く辿り着いた」
喰いかけのミカンで指示した先には一台の馬車があった。
「コンパーネにあったものを借りてきた。パッショリの名前で話をつけてあるから問題はなかろう?」
「それはよいですが、私たちは転移魔法陣で来たんですよ?」
「それがどうした?」
「いやだからさ。僕達は転移魔法で来たんだからアミーラさんがお母さんに転移魔法で送ってもらったにしろ、随分用意がいいじゃない」
「妾は転移魔法で来てはおらぬぞ?飛行魔法だ」
作治とパッショリの問に、アミーラはそう答えた。
「飛行魔法?飛行魔法って転移魔法より速かったっけ?」
「まず妾の母が巨大な鳥のような姿に変化して、妾を飲み込む。そのあと天空高く飛ぶ。雲より高くな。そうすると空気がなく、息ができないあらゆる生物が住いかかる距離を二時間ほどで移動できる。理屈は知らぬが、空の星が瞬く世界では石ころを蹴り飛ばすだけでいくらでも早く動けるようになったり、ネジを放り投げてぶつけるだけで人間が粉々になると母はオオボラ吹いておるがな。転移魔法より消費する魔力が少ないので母が移動するときはいつもこの方法らしいぞ」
「・・・アミーラさんのお母さんなら不死公余裕で倒せませんか?」
「理由がないな。妾の母はエンプーサだし、不死公はエンプーサにも住みよい国を造ったからな」




