炎の法(4)
不死公が降らした豪雨により、火事は無事に沈下した。
だが、元々建物が古かったせいもある。火災で建材が損傷した影響もあったのだろう。膨大な水圧が一時にかかった負担に耐えきれず、
五階建のビルは一瞬にして倒壊した。
すぐそばで降雨の魔術を行使していた不死公を巻き添えにして。
「ど、どうしよう?潰れちゃったよ?!!」
慌てる作治に対し、
「問題ないぞ。不死公だからな」
「そうだよな。不死公様だし」
「ええまったく。不死公様なら大丈夫です」
皆一様に不安げな様子を見せない。
やがて崩れた瓦礫を押しのけ、ボロボロになった布きれをまとった白骨死体が起き上がる。
「おお、やはり不死公様はまったくの無傷・・・!」
水に濡れたコンクート片を退かしながら不死公は何事もなかったかのように歩き出す。多少骨格に焦げ跡がついているもののすごぶる元気そうだ。
もう死んでいるけど。
「さて。サクとやら。貴公のおかげで多くの者が救われた。本来ならば褒美の一つもやりたいところだが今の我はこの国の王ではなく、一裁判官だ。我の一存でそのような事を決めるわけにはいかん」
「はぁ」
「そこで貴公に二ヶ月の執行猶予を与えるので、その間に我が国で現在指名手配中の人物を探し出し、引き渡して貰えないだろうか。勿論生死は問わん。さすれば貴公を無罪放免にしてくれるよう、関係各所に働きかけることにしよう」
「出来なかったときは?」
「世界の果てに隠れていても、探知魔法で貴公の場所を探して転移魔法で移動したのち、貴公に即死魔法をかける」
「よかったのう。サク。とりあえず寿命が二ヶ月伸びたぞ」
「うん。ありがとうアミーラさん」
「そうそう。貴公に一つ言い忘れておったことがある」
「不死公さんまだなにか?」
「この人種連邦合衆国から人間共の国まで、徒歩で六か月。船で二ヶ月かかる」
作治は思った。あれ?僕積んでないか?




