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炎の法(2)

「はっ?魔法を使わずに?燃えるビルから屋上にいる助けろと?」


 作治は不死公に再度聞いてみた。


「先ほど聞いた通りだ。あの建物は五階建。消防設備の類は一切ない」


「そう、みたいですね・・・」


「魔力探知の魔法で確認してみたが、上に残っているものはほとんど魔法が使えない者が大半のようだな。オーク、ドゥエルガル、ディザトリアン。それとエンプーサはいない」


「いないって?」


「彼女たちは道具を造ることができる。その気になれば金属の梯子を造って下まで降りることができるからな。さて改めて問おう。


1.上に魔法を使える者はいない。道具はない。

2.燃える建物から下まで人を降ろしたい。

3.出来ないときは貴公をあの炎の中に放り込み、火あぶりの刑にする。


以上、何か質問は?」


「フフフ、アアハハハ!!ホーーーホホホ!!!決まりましたわ!火炙り!火炙りですわ!!さっそくこの人間を炎の中に放り込みましょう!さあ早く、今すぐ!直ちに!!!」


 ラティルスが高笑いする中、作治は屋上にいる人を見ていた。


「あの人たちを服を着ていますね」


「うむ。貴公ら人間と変わらぬ。剣で切られ、矢で貫かれれば死ぬ。勿論炎に巻かれてもな。我は一応不老不死だ。いや、既に死んでおるから不老永死かな?」


 作治はほんのわずかばかり考え、こう言った。


「服を脱いで、それを結んでロープにしたら下まで降りられるんじゃないですか?」


「オーーホホホホホ!!!そうですわ!!服を脱いでロープにすれば魔法を使わずに屋上から下まで・・・ファッ?!」


「聴こえるかのー?不死公の指示だ。屋上に残ったものよ。服を脱いでロープを造り、下まで降りてくるのだーーー」


 アミーラに言われ、屋上に取り残された人々がロープを造り始めた。


「えっと。じゃあ下にいる他の方々は万が一に備えて何かクッションになりそうなもの、ソファーとかベッドとか枕とか。なんでもいいから柔らかい布を下に沢山積み重ねてください」


「成程。それなら綱が足りなくても最悪途中で飛び降りればよいな」


「パッショリ。裁判所の待合所からソファーを持ってこい。足りなければ不死公の命令だと言って、近隣の建物から使えそうなものをなんでもかっぱらってくるのだ!」


 アミーラの言ったことに、パッショリはこう答えた。


「私は人間。しかも人類諸国連合のものですよ?信じてもらえますかねぇ?」


「問題ない。不死公の魔力の波動は独特のものだからのう。才覚のあるものなら湖の向こうの人間の国からでも、ないものでも近くにいればすぐに気付く。お主が不死公の命で動いておらぬのならすぐに不死公当人が来て殺されるから大丈夫だ」


「ああ。ちょっとでも魔力のある方たちはわかるんですね」


 パッショリは万が一屋上から人々が飛び降りた時のために柔らかい布を探しに行く。


「ほれ。お主らも早く行かんか。バケツに水を汲んで運んで来るとか。ケガ人が出た時の為に医者を探してくるとか」


「それもそうだな」


「不死公様の命令だからな。従うのは当然だよな」


 アミーラに言われ、怪物軍団もそれぞれ何かしら必要な物を探しに散らばっていく。


「おいラティルス。お主は何もせんのか?」


「わたくしはそこの強姦殺人犯が逃亡しないように監視する必要がありますの」


 ラティルスは冷ややかに言った。

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