逆説裁判(3)
「イスカンドリア・コンパーネに所属にする弁護会計人。ルカ・パッショリと申します」
牢獄に入って来た紳士服の背筋のスラッ、と伸びた背の高い男はそう名乗った。年齢は30歳くらいだろうか。
そういえば、作治がこの世界で人間(?)の男性を見たのはおそらく彼が初めてだろう。
「イスカンドリア・コンパーネって?」
「コンパーネとは同じパンを食らうものという意味でして・・・」
そこまで言ってからパッショリは少し考え、
「簡単に言えば人間の国にある商人の組合です」
と、簡潔に答えることにした。
「商人の組合?そこの人がなんで僕の裁判の弁護人するの?」
「取引先からの依頼です」
「ちなみにその取引相手というのが妾の母だ」
アミーラが補足した。
「アミーラさんのお母さんってどんな人?やっぱり商人なの?」
「エンプーサだ。妾と同じく、な」
「ということはやっぱり武器でも防具でもなんでも好きなだけ出せるの?」
「ただし規格外のエンプーサだ。具体的には限界のないエンプーサ」
「限界のない?」
「通常のエンプーサは自分の体重と同じ重さの武器防具しか出せない。だが妾の母は湖に飛び込むと、水面から出てくるときにカニ型のメタルイーターがおったであろう?あれの軽く8000倍の体積になって水面から飛び出してくる。無論、単なる金属の塊ゆえ、大砲の弾を撃ち込めば壊すことはできるがな」
「質量保存の法則って知ってるか?」
「あくまで疑似的なものだから戦うのをやめるとただの泥や水に還るぞ。ちなみに不死公曰く、1万年前の無能力者が魔法文明を滅ぼした戦いでは、妾の母のようなエンプーサが1000人、1万人と産み出され、戦争に使われたらしいぞ」
「なんとなく1万年前の魔法文明が滅んだ理由が分かった気がするよ」
「私がアミーラさんのお母さんから依頼を引き受けた理由がお分かりになりましたか?時折頼みを引き受けるだけでメタルイーター1万匹を軽く蹴散らせる、そんな女性が力を貸してくれるんです。取引相手としては悪くないでしょう?」
パッショリが苦い笑いを浮かべながら言った。




