なるとクラブ(5)
「ロケットランチャーを知らないの?」
少々戸惑いながらも作治はアミーラに確認する。
「うむ。というか、まさかサク。お主、『ロケットランチャーというのはドラゴンだって一発で倒せる魔法の杖なんですよ(ドヤァ)』とか言うのではあるまいな?」
「黒髪ロングヘアーの漆黒のドレスを着たハルバード使いがそんな連中と一緒に旅をしたって話をしたって噂を聞いたことはあるよ」
「そうか。『ろけっとらんちゃー』とやらはハルバードの一種なのか」
言うなり、アミーラは高く掲げたその右手に長大なハルバードを現出させた。
そして、次の瞬間その重みで潰れた。
「うぉいっ!!」
「フフフ、どうだ?成功したであろう?」
長くって大きくて太い鉄の槍斧に小さな肉体を歪められる様に押し付けられながら、アミーラは作治に微笑んで見せた。
「成功したか?じゃあないでしょ?!どうしてハルバードなんて出したんですかっ?!」
「たった今説明したではないか。妾達は武器だの防具だのを造りだすのに魔術を行使する必要などない。ただ頭の中でイメージするだけでそれが瞬時に出てくるのだ」
「じゃあ戦車出してよ!僕がそれに乗って戦うからっ!!」
作治はヤケクソになってよく考えもせずにそんなことを言ってしまった。
「うむ戦車であるな」
アミーラが念じると金属製の、車輪と椅子のような物体が出現した。まるで人力車のようだ。
「なにこれ?」
「戦車だ。あ、馬とか牛とか、生き物は出せんからな。で、これでどう戦う?」
残念ながら、作治は征服王と呼ばれそうなほど筋肉質な男ではない。むしろひょろひょろしている。
「戦車って・・・普通でしょ?」
「タンクとな?」
今度は水槽がでた。
「貯水槽だ。中の水ははいっとらん」
「こんなもんどうしろと?」
「いや。サク。お主のアイデア自体は正しいぞ。メタルイーターの弱点の一つなのだからな」