なるとクラブ(3)
廃墟の街中を、作治達はメタルイーターから逃げていた。
どこまで逃げればいいのかわからない。
誰か自分たちの代わりにメタルイーターと戦ってくれそうな人がいればよいが、先ほど携帯電話から聴こえてきた内容からして、救援部隊とやらが来るのは絶望的だ。
あてもなくコンクリートジャングルを彷徨っていると、
SUBWAY→
の文字が見えた。
「アミーラさん、こっち!」
作治は走る速度を上げると誘導すようにSABUWAYの方に走りこんだ。
確か、SUBWAYは地下鉄の意味のはずだ。
一万年前の地下鉄跡を通って安全な場所まで逃げることにしよう。
作治はそう考えた。
半壊した入り口からプールに飛び込むようにダイビング。
腹部を中心に擦るような痛みを伴うものの、何も危険なものはなかったようだ。
続いてアミーラが走りこんでくる気配がした直後、二人が飛び込んだ入り口を中心に激しい振動が起こった。
振り返れば巨大なハサミの一本がこちらに向かって伸びているではないが。
「ふう。ここまでくれば大丈夫だ」
作治はそう言って立ち上がった。
「それでサクこのあとどうするのだ?」
「ここは地下鉄のいりぐ・・・」
そこまで言いかけてから、作治には壁に貼ってある、色あせたポスターを見つけた。
『新作 極 大 ダイ ダイ フルーツ サンド!!』
長めサワーブレッドを横に切り裂き、中に果物をふんだんに詰め込んだサンドイッチだ。
「そっちのサブウェイだったか・・・」
「のう、サク。あれはサラダか?それともパーニスか?」
アミーラはメロン、イチゴ、ブドウ、オレンジ、バナナ、マンゴー。そしてパインが乗ったサンドイッチの写真を見てそう作治に訪ねてきた。
「え?ああ・・・。まぁどちらかといえばサラダじゃなくてパンじゃないかな?サブウェイはサンドイッチ屋だし」
そう答える作治に、アミーラはニヤリ、と笑いながらこう答えた。
「そうか。あれはパーニス(ケーキなのか)。では妾は必ずやこの場を生き延び、あのパーニスを食う。お主も異存ないな?」