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進まない話。

葉野君の奥さんからの電話。正直ちょっとだけ苦しくなったし、その位置が羨ましいとも思ってしまった。


葉野君の隣……。



「お母さん! 明日学校に巾着持って行くんだけど」


「ええ? 巾着? ないよ。 どうしよう」


「学校で使うの〜!」


長男の突然の巾着騒動。ゆっくり色々考えられない。



ミシンを取り出し、余りの布で巾着を作った。


縫い目は……。使えればいい。



「もっと早く言ってよね?」


「忘れてたのお母さんじゃん!」



私は母である。女として生きる前に母として生きている。


離婚した時そう決めた。


前の夫は他所で浮気をし、結果出て行った。

夫は女の私を求めたが、私が子供優先にしたのがいけなかったのか、若くはないけれど、魅力を感じた人を選んだ。


それから私は母として益々頑張ろうと思ったのだ。

男なんていらない……。


ただ、やっぱり別の生き方もしてみたい。

誰かに求められたい。素直な気持ちだ。




葉野君の離婚は、中々進まないようで。

時々くる電話で謝っていた。


『あいつ、 自分の浮気を隠してる。 弁護士にオレが浮気してるって言ったらしい』


『もしかして、 私? やだ! 浮気してないじゃん』


『証拠はないから大丈夫だよ。 でも隙は見せられないな……』




結局は離婚しないんじゃないの?

あんな事言っておいて。


葉野君は本当に私がいいのだろうか。

それさえも疑問だ。



女として誰かの隣で生きていきたい。もちろん母としてもだけど。


二十年振りのかたおもいの相手が、私をそんな気持ちにさせた。



『大原の事は本気だよ? だからもう少し待っていて欲しい』


受話器越しで囁く声は、私の枯れた心を潤した。


ドロドロは嫌なのに……。巻き込まれたくないに。

いつの間にかドツボにはまった?


はっきりしてよね。葉野君。

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