うそ?本気?
居酒屋に入った私達。
「オレビールね。 何飲む?」
「私カクテルかな? 甘いやつ」
お酒と少しのつまみを注文した。
「外で飲むの久しぶりだな。 何か嬉しい」
「仕事の付き合いとかで飲まないの?」
「基本はね。 子供いるし、 定時上がり」
お酒が運ばれてきて、まずはカンパイ。
「何にカンパイ? 二十年振りに?」
「中野先生に……」
「何だそれ。 まぁいいか。 んじゃカンパイ」
一口カクテルを飲んだ。
「やっぱり美味しいね。 家飲みとは違う」
「外で飲むのもたまにはいんじゃない?」
「まさか葉野君と飲むなんて思わなかったよ……」
「オレも。 まずあんまり話した事なかったよね」
「遠い存在でしたから。 声もかけられなかったよ」
運ばれた唐揚げを口にした。
「同窓会いつだっけ? 幹事誰?」
「えーと……。 来週かなぁ。 幹事は意外な人だよ。 ハガキ見なかったの?」
「見たけど忘れた」
「案外いい加減なんだね……」
「オレはいつでも真面目です」
ビールを飲みながらそう言った。
真面目だっけ?いつもふざけてたイメージがあるからな。
「それより奥さんいいの? せっかくの休みなのに。 家族孝行しないとダメなんじゃないの?」
「うーん。 確かにそうだけど。 たまには息抜き? 家族は大事だけどね。 たまには同級生に付き合いますよ」
「誘ったのそっちでしょ?」
やはり真面目ではないぞ?いい加減でもないのかな。
でも何だか嬉しいな。再会した事、こうしてお酒をの飲める事。
同級生。単なる昔の同級生だけどね。
「仕事は大変? 子供育てながら仕事してるんでしょ?」
「まあね。 旦那からはあんまり貰えないし、 それなりの仕事しなきゃ、 たべられません」
「再婚しないの? 出会いとかあるんじゃない?」
「皆言うけど、 もうやだよ。 一度失敗するとね、 嫌になるんだ。 男の人はこりごりです」
「オレでも……?」
「何言ってるの? あり得ないし」
「家族は大切だよ? でも最近上手くいかなくてさ。 喧嘩ばっかり。 合わないのかなぁ。 何て思ったり……」
「深刻だね……。 でもさ、 上手くいかない時は誰とも上手くいかないよ。 私がそうだしね」
「同級生なら大丈夫かもよ?」
枝豆を食べていた手が止まった。
本気?冗談だよね……。
「あり得ないから……」
「オレ振られた?」
全く何処まで……。
半ば呆れながらカクテルを飲んだ。
たちの悪い酔っ払いか。
「不倫は嫌よ。 ドロドロとか面倒でしょ」
「はっきりさせるよ」
「本気なの……?」
何も言わずビールを飲む葉野君。
何と無く、居ずらいなぁ。
「本気で付き合う?」
完全に頭が混乱した。久しぶりの同級生の突然の言葉。
ウソだよね……。
私はただの酔っ払いの戯言として聞いた。