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久しぶり。

彼のケータイ番号が書かれたメモを見つめ、私は思案した。


「同窓会で会えるのに、 電話しても迷惑よね……。 でも当日話せるか分からないし」


暫く考え、再びスマホをてに取った。


私のこの行動の早さ、あの頃あったら良かったのに。


考えた挙句、当たり障りのないメールを送る事にした。


心臓は既に限界なくらいにバクバクしている。

メールするだけなのに、こんなにも心臓がうるさくなるのか。




『大原ふゆと申します。 覚えていますか? 突然にメール、ごめんなさい』


挨拶文から打った。


現在の事や同窓会についての文を打ち、送信ボタンを震える手で押した。


もう取り消しきかない……。


スマホをテーブルの上に置き、子供達をお風呂に入れた。


「ねぇお母さん。 さっき誰と話してたの?」

長男の士雨(しう) が質問してきた。


「うーん。 お母さんのお友達のお家だよ」


「じゃあメールは?」


……見てたのか。侮れないな。


「昔のお友達だよ」


「お母さん、 顔あかーい!」


長女の菜々が言った。


もう! 子供って本当よく見てる事。


「いいから、 早く上がろう」



パジャマに着替えテーブルの上のスマホを見た。


「ん? メール?」


受信ボックスを開き固まった。



「ウソ! 葉野君からだ!」


彼から返信がきたのだ。


再び心臓がバクバクする……。


私は返信メールを見た。



『久しぶり! 元気だった? 同窓会行くよ。 会えるの楽しみだね。』


そう書かれていた。


うーん。確かに久しぶりだが、久しぶり過ぎないか?二十年は久しぶりなんだな。


でも嬉しかった。本当に嬉しかった。


何の疑問もなく返信する彼。突然元クラスメイトからの、しかも余り接点のない相手からのメールに、何の疑問も持たずに久しぶりと返す彼。


「不思議だとか思わないのかな?」


そうは言ってもやはり嬉しいので、月ちゃんに報告メールをした。


私の一連の行動にやや驚いていた様だが、良かったね。と言う返信がきた。


うん。良かったよ。


ずっとずっと好きだった。中学に入って、益々接点無くなってもたまに見かけるとドキドキした。


中学の途中で転校した私だったが、偶然会った時など手を振ってくれたし、分け隔てなくの同級生。


中学時代、別の人を好きになった時もあったが、結局はまた彼を想った。



「お母さん。 寝よ〜?」


目をこすりながら菜々がそう言った。


「片づけあるから先寝なさい」


「分かった。 お休みなさーい」



私は昼間できなかった部屋の片づけなどをしながら、やっぱり返信が嬉しくて。


「久しぶりかぁ。 へんなの……」


独り言を言ったりした。



やっぱり面白い人だ。奥さんが羨ましい。


もしも勇気を出して告白していても。付き合うとかは多分なかった。


ただの同級生だから。


少しの寂しさと後悔はあるが、人生何て分からないなと思った。

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