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二十年後の片想い。

翌朝は休日だった為、私は子供達に葉野君の事を改めて話した。



「士雨、奈々。 ママね好きなひとがいるの。 『パパは来ない』と言ったけど、ママはパパになって欲しいと思ってる……。 ごめんね……。 でも分かって欲しいんだ。 今度その人に会ってくれないかな?」


士雨と奈々の部屋のベッドの上、私は真剣に話した。




「ママもう悲しい顔しない?」


「ママ幸せになる……?」




二人の言葉に驚いた。


私の気持ちを見抜かれていたんだ。

情けないやら申し訳ないやら……。



「あなた達と一緒に幸せになりたい。それがママの願いよ。 だけどその中に新しい家族が来てもいい……?」



恐る恐る尋ねた私に 「いいよ……」


士雨がそう言ってくれた。まだ完全には納得などしていないだろう。けれど自分の中で一生懸命理解しようとしているのだろう。


「奈々もいいよぉ」


こちらはどごで理解しているのか……。けれど奈々なりに理解しようとしている様な……。

「じゃあ今度のお休みの時に、その人と会ってくれる? お名前は葉野紘斗さん」


「分かったよ」


「うん」





落ち着いてゆっくり話せて良かった。実際葉野君と会ってみないと分からないけれど、きっと受け入れてくれると願いたい……」





『もしもし葉野君? 子供達の了解得たよ。 今度会って欲しいって言った」


『そっか、 良かったよ。 いよいよご対面だな』


『うん。 宜しくね』




葉野君に報告の電話をし、会う日取りも決めた。


そして私は自分の母親にも色々話した。


母親は 『貴女が決めて、子供が幸せになればいいよ』


それだけ言った。


実際葉野君とも会う事になるだろう。




それから元夫に電話をし、やっぱり再婚を考えている事と、それでも面会は変わらずにと話した。


『本気なんだ……? だったら何も言わないよ。 子供達の幸せ考えてるなら』



『勿論最優先だよ』


『ならいいよ』


『ありがとう……』



思いの外すんなり了承したのには驚いたが。




少しずつ、少しずつ。私自身も周りも前を向いて歩き出している。


私の二十年越しの片想いも動き出している。

叶わないと諦めた片想い。

夢にまで見た葉野君との再会。


それは偶然ではないと信じたい。


この世の中に偶然など無く、全ては必然。

私はそう思いたい。


これからの未来を考えると不安だらけだ。

でも……。決して後ろは振り向かない。

前を見据え、顔を上げて歩いて行こう。



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