二十年。
自宅に戻り子供達に心配をかけたこと、そして新しいパパは来ない事を話さなければならない。
夕飯の後、子供達の部屋に行き話をした。
「新しいパパいらないよね……? ママお断りしたから心配しないで」
「ママ、結婚しない?」
奈々が尋ねる。士雨は俯いたまま顔をあげない。
突然の私の言葉に少し驚いている様だが。
「士雨……。 ごめんね。 嫌な思いさせちゃったよね? これからもばぁばと皆んなと頑張ろ?」
「ママはそれで幸せ? 新しい人の事、好きなんじゃないの? 僕達びっくりして嫌な態度とっちゃったけど、ママ大丈夫なの?」
顔を上げ、真剣な眼差しで言った。
「ママはあなた達がいればいいの。 それがママの幸せだよ」
違わない。事実だ……。けれど心の中で何かが引っかかる。
しかしもう言ってしまった言葉は取り消せない。大丈夫。元に戻っただけだ。
二人をベットへ寝かせ部屋を出た。
リビングでスマホを眺めながら自作のブレンドティーを口にする。
今まで葉野君とのメールのやり取りや、会話を思い出し、胸の中が苦しい……。
未来を夢見た結果がこれだ。でも仕方ない。
不安定なまま側に居られないし。
受信メールをスクロールして涙が出た。
「葉野君……」
想うは貴方唯一人。甦るはあの頃の自分。
真っ直ぐに貴方を想って切なくなっていた頃……。
「元気でね」
受信メールを削除した。勿論送信メールも。
片想いはやっぱり叶わない物で、苦しいものでしかない。
二十年後も叶わぬ想いに蓋をした。




