表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/26

幸せは

思わぬ伏兵登場に焦りを隠せない。


「何か悩み事でもあるの?」


職場の昼休み、マスターの奥さんに声をかけられた。


「あ、いえ。 別に大丈夫です」


しどろもどろになってしまった。


「そう? さっきから電話片手にぼーっとしてるから、何かあった?」


バックヤードの椅子に座りスマホ片手に考え事をしてしまった……。


「いや、大した事ではないのですが……」



私は事のあらましを奥さんに話した。


「そう……。 お子さんにとっては難しい問題なのよね。 丁度年齢的にも」



息子の事や再婚について話し、少しスッキリした。


「子供達には理解してもらうしかないですが、果たしてこれでいいか分からなくなってしまって……。 一人で上手くいくとか簡単に考えていたなんて、恥ずかしいやら情けないやらです」


「簡単にはいかないかもね……。 でも大切なのは自分の気持ちじゃない? 確かにお子さんの事もだけど、貴女が幸せになりたいと言う気持ちとお子さんを安心させてあげる事じゃないかしら? 暗い顔していたり悩んでばかりじゃ益々不安になるんじゃない?」


「私の気持ちですか……?」


「幸せになりたいって言う気持ちね」




仕事の帰り道、夕焼け空をぼんやり眺めながら考えた。

私の気持ち……。


確かに葉野君との未来を夢見て幸せになりたいと思った。けれど士雨や奈々を思うとやっぱり違うのかな。私が暗い顔したらいけない。でも色んな問題を解決するのにはまだ時間がかかるし、子供達を巻きこんでしまうかも知れない。いや、もう巻きこんでいるか。


これ以上辛い思いさせたくない。私の笑顔の元は子供達だ……。



スマホを取り出し葉野君に電話をかけた。


『もしもし葉野君? ごめんね忙しいのに。 私考えたんだけど……。 私の幸せは結局子供達にあって、笑顔でいたいと思った。 士雨の様子がおかしくなるまで気が付かないなんてダメな親だよね……』


『それって、もう会わないって事? 一緒じゃ幸せになれない? 色んな問題をクリアできない?』


『分からない……。 でも笑顔でいたいの。 子供達にも笑顔でいて欲しい』


『泣いてる? オレ行こうか?』


『大丈夫。 もう大丈夫だから……。 ね、 もうやめよ? やっぱりダメだよ私……』


『何度も話したじゃないか! 二人で乗り越えるまで言ったよね?』


『笑顔になれないの。 幸せになれないよ……。 ごめんね、 ごめんなさい……』


『……。 そっか、諦めるしかない? 本当にダメ? やりもしないでダメ?』


『ごめんなさい……』



私はただ謝るしかなかった。 葉野君を幸せにできない。子供達を幸せにできない。二人寄り添えない……。


さわさわと吹く風。オレンジ空の中ただ謝った。


手に届かない幸せは儚く散って。でも目の前の小さな手の中にある幸せを大切にしていこう。


スマホをカバンにしまい、歩き出した。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ