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身近な伏兵

そんな風に自分勝手な事を考えていたある日、長男の担任の先生から電話がかかってきた。


「少しご相談がありまして……。 士雨君最近変わった事ありますか?」


「変わった事……? 学校で何か問題を⁈」


「いえ、 寧ろ大人しすぎると言いますか、

自分を抑えていると言いますか……。 事情を聞いても何も答えなくて。 休み時間も一人で過ごしていたり、 お友達とも余り話をしなくて。 差し支えがなければご事情をお伺いさせて頂きたく思いお電話を」


「……そうですか。 ご心配おかけしまして申し訳ありません。 実は再婚を考えておりまして……。 恐らくその事だと」


「再婚ですか! それはおめでとうございます。 ……それなら士雨君も喜ぶはずだと」


先生の声が明るくなった。


「いえ……。 反対されてる感じでして……。 良く話し合いますが、暫く時間がかかりそうでして」



そんな話をした。


先生はいい事だと言ってくれたが、私としては複雑だ。

まさか子供に負担をかけてしまっていたなど考えもしなかったから。


「きちんと納得して貰おう」



けれど簡単にはいかなかった。

士雨どころか奈々の様子も何と言うか……。

私はため息をつくしかない。



思わぬ伏兵が身近にいたなんて。


今すぐ再婚は勿論できない。しかし未来を考えてしまった時点で私の幸せになりたい願望に火がついてしまった。


けれど子供達が幸せになってくれなくては困る……。


盛大なため息を吐き、夕飯の支度をする為にキッチンへ向かった。



「あんた、いい人いるの?」


キッチンの冷蔵庫を覗いていたら後ろから声がした。


「母さん!」


そうだ。実母もいたんだ……。

今更だが母にも説明しなければならないのか。

益々憂鬱になってしまうなぁ。



基本二世帯みたいな生活をしているがやはり再婚とかそういう事になると無視はできないなぁ。


色々考える事がある。


「はあ……」


気分が何となく優れない中、私は野菜を切った。



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