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あの頃の。

久しぶりにデパートへ買い物へ。子供の衣類やら雑貨やらを買い、CDショップに立ち寄った。


「久々に何か買おうかな」


CDを選んでいると、店内に懐かしい音楽がかかった。

昔夫と観たアニメの音楽。車好きの夫がよく観ていて、私も観せられたやつだ。



「懐かしいな……」


ふと呟き当時を思い出す。


同じ会社で知り合って、あっという間に結婚した夫。嫌な思い出ばかりではない。

映画が好きでDVDなどよく一緒に観てたり、映画館に行ったりしたなぁ。

懐かしい音楽は私を不思議な気持ちにさせた。嫌いで別れた訳ではない。出て行った当初は納得いかなくて電話で文句を言ったりした。何で?と思ったし、本当に悔しくて悲しかった……。


それでも幼い我が子を育てなければならないし、いつしか割り切る事を選んだ。


ようやく落ち着いて、今の生活に慣れたのに、やり直したいなんて。バカも休み休みにして欲しい。



「懐かしい音楽かけるなよ」


勝手な文句を言い、何も買わずに店を後にした。



買い物を済ませ家に帰ると電話が鳴った。

カバンからスマホを取り出し、着信を見た。知らない番号……。誰だろう。



『もしもし……』


『大原さんですか? 葉野の家内です』


『あ……。 何かご用ですか?』


「度々すいません。 夫が出て行ったの、 ご存知ですか? 貴女と人生歩みたいと……」


『葉野君から電話はありました』


『私は離婚するつもりはありません。 この間も申しましたが、 お願いします。 私の家庭を壊さないで下さい』



私の家庭を壊さないで……。


似たような言葉を私も言った気がする。

夫の彼女に……。


「主人を返して。 私の家庭に入って来ないで……」


今の私は同じ事をしているのだろうか?

葉野君の家庭を壊すの?


『申し訳ありません……。 今は何も言えません』



電話を切った後考えた。私と同じだ。

今でこそ割り切る事ができたけれど、あの頃は納得いかなくて、何度も返してとすがった……。

人様の家庭を壊しているの?あの人と同じ事をしているの?



夕飯の支度をしながらも自問自答した。



『葉野君? 今日奥さんから電話あったよ』


『何言われた?』


『家庭を壊さないでって……』


『もう壊れてるよ』


『でも……。 やっぱりダメなのかな? 新しい人生歩けないのかな?』


『大丈夫だよ。 きちんと納得させるから……』



葉野君の言葉を信じたいけれど、やはり奥さんの気持ちも分かる。

まるであの頃の自分だったもの。


葉野君とは一緒になれない……。

ぼんやりと考えた。

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