表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/26

私の願い。

葉野君は優しい人だ。それに明るく前向きに物事を考える。


そんな人と一緒に人生を歩めたらどんなにいいか……。

だけど、そんな優しさが時にはあだになるんだよ?分かるかな。



私は友達になれればそれでいい。それ以上は望ましい。

密かにそう決めたけど。好きな気持ちはそのままに、胸の奥にしまう。


葉野君の離婚はやはり進まない……。

奥さんだってやり直したいのだろう。

けれど時折くる電話で、私の事を想っていると言ってくれる。


それが切なく悲しい。


私の叶わぬ片想い。それ以上望まないと決めた。


『葉野君さ。 家族を大事にしなよ。 私達は同級生で友達。 それ以上になったらいけないんだよ……。 葉野君と友達でいられるだけで、 私は十分だよ』


『……それでいいの? 本当にいいの?』


『欲張りになったらいけないよ。 だから……。 ね?』



好きだからこそ、それ以上を望まない。

大切だからこそ、傷つけたくない。


二十年後の私の片想い。私の好きな人。

幸せでいてほしい。

それが願いだ。



『離婚しても、 一緒になれない?』


『奥さんは望んでないよ?』


『オレの気持ちは?』


『家庭を大切にして』


『とにかく……。 まだ結論出さないでよ……』


無駄だよ。きっと。離婚はしない。

今ならまだ大丈夫だから。


ねっとりとした暑い夏の始まり。

あんまりドロドロしたくはないな。



『葉野君の気持ちは嬉しいよ? だけど私は友達になれればいいだけだから。 だから……』


これ以上何かを期待したくない。

私の気持ち揺らぎたくないから。



『話し合いしてるから。 待っててよ』




葉野君の気持ち……。嬉しいけど、誰かを傷付けてまで、何かを犠牲にしてまで離婚する意味があるのだろうか。



ぼんやり窓の外に目を見やる。

白い雲がモクモクしていて、隙間から太陽の陽射しが差し込んでいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ