思い出の共有。
小学校時代のアルバムを一人見ながら、改めて葉野君との事を考えた。
接点などなかった私達。唯一の思い出は六年生の時、授業で作ったコマの事だ。
コマ回しのコマ……。
木を削り一から作るのだが、不器用な私。上手くコマが回らない。
『回らないの? 貸してみて。 絶対回る様にするから』
『え? いいよ。 別に……』
『貸してみて』
私からコマを取り、本体から棒を取り出し、短く切った。
何をいきなり……。
そう思いつつ、また本体に棒をさした。
そしてヒモを巻き回す。
『回った……。 ありがとう』
些細な事だが嬉しかった。
何故葉野君がそんな事をしたのかは分からないし、もう忘れただろう。
けれど私は今でも覚えている。
好きな人にそんな事をしてもらったのだから。
大した思い出などないけれど、小学校時代の思い出を共有できる存在。
"思い出の共有"
葉野君の言葉だ。
確かに接点など余りなかった私達。
けれど当時の思い出を共有できる人に変わりない。
だからこそ今更ながらもあの頃の私が顔を出すのだ。
唯の友達でもいい。あの頃を語れる存在でもいい。
会って話がしたい。そんな事を願った。
友達と言うより、単なる同級生なのだから、友達からやり直したい。
それさえも叶わぬ夢なのだろか。
かたおもい。だけど友達。
それ以上望むのは欲張りな話。
私はアルバムをめくりながらそんな事を思った。




