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第二話「同棲」


 今朝、お母さんと父親が出て行った。

 私は心配する父親に何度も大丈夫と言って、行かせた。

 姉の友恵がたまに帰ってきて様子を見てくれるそうだ。姉はもう社会人で彼氏がいるそうだ。たまに帰ってきてはすぐまたどこかへ行ってしまう。姉は明るい性格でよく私の面倒を見てくれた。

 

「さて……と」

 私はため息を一つついてから朝食の準備に取りかかった。

 朝は簡単なものにする。トーストにハムだけだ。足りるかどうかはわからない。毎日お母さんはご飯をちゃんと用意してくれた。まぁ、学食でなんとかなるだろう。

 私はさっさと食べて準備を済ませると家の鍵をきちんと閉めて家を出た。

「よっ」

「みみみみみ、水沢くんっ!?」

 何故かいつものように白衣に身を包んだ彼がそこに立っていた。

 一体彼が何故――?

「お前んちも親、転勤か」

「え?」

「俺んところも昨日の夜に出て行った」

 なんと……! まさか、そんな偶然が。

「ったく。こんな中途半端な時期に転勤なんてな」

「あ、うん……そうだね」

 私はその後いつものように登校した。彼もいつものようにパソコン片手に歩いていた。車や障害物にはきちんと反応してよけるところがすごかった。

「あ、これ」

 私が疑問に思っていることに気づいたのか、彼は自分の頭を指さした。私はそこをのぞき込む。

「カメラが付いていて、パソコンの方で確認できるんだ」

「そんなことまでしてパソコンをやりたいの?!」

 彼のことは未だによくわからない……。


 

 そしていつも通りの日常が終わろうとしていた。

 私は久々に彼と帰ることになった。彼は何故か化学部を休んだらしい。

 そしていつもの分かれ道まで来た――が。

「あれ? 今日はこっちから帰るの?」

 私と同じ方に付いてきていた。

「いや、こっちが帰り道だが」

「え? 嘘」

 彼の家は別の方角なはずだ。

「あ、朝に言わなかったっけ? 今日から、山倉んちを借りて暮らすことになったから」

「……え?」

 一体何を……?

「俺んところ、実はもう次の転居者が住んでるんだ。わっけわかんないが、父親がそうしたらしい。……朝、それを言うためにわざわざ行ったのに」

「……マジで?」

「あぁ。そんで、今朝、山倉んところの両親に電話したらどうぞよろしく――って」

 ……なるほど、全くわからん。

「ま、よろしく」

「あ、こちらこそ」

 よくわかんないけど、そういうことになったのか……。

 ……これって、同棲?

 やばくない?!

 好きな彼と同じ屋根の下なんて……!! うわぁああ! 恥ずかしくなってきた!

 私はふと彼の方を見ると彼はパソコンのモニタを見ながら面白そうにニヤニヤしていた。



「ちょ、ちょっと待って!」

 私は彼を玄関の前で待たせて先に家の中に入ると深く深呼吸をした。大丈夫だ、問題ない。ただ、一緒に住むだけだ。そう――

「うわぁあああああっっ!!!!」

 スンマセン! スンマセン! 今までにそんな妄想は何回もしましたけど、実際そうなると緊張してもう何もできないんですよ! だから許してください!!!

 そうだ、落ち着こう。冷静になれ。

 ……よし!

「水沢くん、入っていいよ」

「あぁ」

 がちゃとドアが開く。

「お帰りなさい。ご飯にしますか? お風呂にしますか? それとも……わ・た・し……?」

「すまん、間違えた」

 がちゃ 

 ……なにやってんだろ、私。



 そんな感じで私、山倉月美は彼、水沢浩太と同棲をすることになった。

こんにちは、まなつかです。


なんか、すごい急展開ですよね。

まぁ、いいじゃないですか。

さて、どんどん書いていきますよー


それではっ!!

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