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番外編②【さん・Hey・Fhoo!】
※短いです
17年前。
これはジルがまだ10歳、王家追放直後で浮浪児だった頃。
「ねえ君」
「……」
水色の髪の吸血種 ポラリスは訊ねた。
「あの建物の高さ分かる?」
「…どれ」
「あれだよ。塔みたいな高い建物」
幼き頃のジルは目を細め、現在地から塔までの距離を求めた。
「ここからは168√3m」
「塔は?」
「……斜辺が分かるなら」
三平方の定理を使おうとしたのだが——
「知らないよ」
その言葉に、ジルはだんまり。
ポラリスは「悪かったってば」となだめるが、どうやらその必要性は皆無だったようだ。
「直角三角形において、tanθイコール底辺分の高さ。両辺に底辺を掛ければ高さは——」
「ごめん、やっぱいいや」
「……え? 何で」
「知りたかったのは"高さ"じゃなくて"高そうか"だから」
「感覚派め」
「えーっと、tanθが15°だから…」
その後、塔の高さはおよそ78mだと分かった。
そして現在。
「って事があったよね!」
「そうだな」
そしてこの後、ジルとポラリスは軽く戦った。




