〜俺が魔王〜
「俺が…第二の…魔王…!?」
「そうだ。ところで魔王様?人間に危害を加えるつもりは?」
「一切ない。俺はただ平和に暮らしたいだけだ」
「それはなんと良いことか。」
その瞬間、カイが跪いた。
「それでも貴方は魔王だ…」
「な、なんだ。魔王って悪い存在じゃないのか?」
「一般的にはですが。でも僕はっ!貴方が…魔王様が大好きなのです…!」
ひいぃいいぃ怖い怖いなにこの人っ!!!
本気で命の危機を感じる!!
「魔王が好き…と?」
「はい!醜き人間共を駆逐することのできる唯一の御方ですから…!!」
な、なるほど。コイツは人間が嫌いなだけで…。あれ?となるとこれ…
「ですが…人間を駆逐する気のない魔王など…」
「ちょ、ちょっと待て。俺も決して人間が好きなわけではない。」
「ならなぜ…!」
「美しいのだ」
「……どこがですか。どこがっ!自分らの事しか考えず自分が正義だと疑わずに刃を振り続ける者達のどこが美しいと言うのですっ…!」
「そうだ。たしかに人間は、自分の事を棚に上げて愚行を繰り返す。」
「ならば…!」
「その愚行を繰り返して自ら自分の首を痛めつけた挙句に儚く散るのが美しいのだ。そして、その中で愚行をせぬ者はもっと美しい。」
「そう…ですか。」
「なに、ただの価値観の違い。そんな価値観の違いで争っていては人間と変わらぬというもの…。顔を上げろ。」
「人間と…変わらない…か…。申し訳ありません。己の愚かさを痛感致しました。」
「失敗し学ぶのは生物の根幹。分かれば何度失敗しようと構わん」
「なんと寛大な御心…!」
かくして、魔王の俺は一人仲間を手に入れたわけだが…。如何せんやることがない…。どうしよ…。
いっそ建国でもしてみるか…?でも歴史とか公民どころか義務教育すらロクにやってこなかった俺じゃ国同士のやつなんてできるわけもないし。そもそも面倒くさいし…。
なんかおもしれぇことおきねぇかなぁ〜